IT講師になって変わった人生とその理由
1. IT講師への転身の背景
私がIT講師の道に進んだのは、いわゆるエンジニアからの転職とは少し違います。大学でプログラムを組んだ経験はありましたが、実際の職場では異なる領域での仕事が中心で、プログラムの知識もすっかり薄れていました。講師として仕事を始めたとき、技術の進化に圧倒されながらも「教える」という新しい挑戦に心が弾んだのを覚えています。
最初の頃は、自分の知識が果たして講師として十分なのか、それとも知識不足で悩んだり戸惑ったりしました。例えば、受講生から「JavaScriptの非同期処理について詳しく知りたい」と言われたとき、私自身も非同期処理を深く理解していなかったため、適切な説明がすぐにできませんでした。その経験から、自分が講師として知っておくべき内容をしっかりと整理し、必要な学び直しを始めました。
2. チャレンジ精神を伝える大切さ
私はIT講師として「チャレンジすること」の大切さを、受講生に伝えたいと強く思っています。IT業界は技術の進化が激しく、常に学び続ける姿勢が求められます。受講生に対しても、「完璧であることを求めるのではなく、まず挑戦することが大事」というマインドを持ってもらいたいと感じています。
例えば、ある受講生が「エラーが怖くてプログラムを書くのが不安です」と話してくれたことがありました。その時に私は「私自身も最初から完璧なプログラムを書けたわけではないし、今も新しいことを試す時は不安もある」と伝え、「エラーを通じて学ぶ経験も成長に繋がるから、ぜひ怖がらずに挑戦してほしい」とアドバイスしました。この一言が、その受講生にとって大きな後押しになったようで、その後は自分から積極的にプログラムを書く姿が見られるようになりました。受講生が自信を持って学びに向かう姿を見たとき、講師としてのやりがいを感じます。
3. 人それぞれの向き不向き、理解のスピードに対応する難しさ
IT講師として働く中で感じたのは、受講生一人ひとりの向き不向きや、理解のスピードが異なることです。例えば、あるクラスでは、全員が同じ課題に取り組んでいても、理解の速い受講生もいれば、時間をかけないと分からない受講生もいます。教え方に工夫が必要で、「どう伝えれば全員が理解しやすくなるか」を常に考えています。
あるとき、SQLの授業で全員にデータベースの基礎を教えていると、ある受講生から「わからないまま授業が進んでいる気がします」とフィードバックを受けました。その時点で初めて、自分のペースで進めすぎていたことに気づきました。そこからは、授業の進め方を柔軟に変え、分からない人が質問しやすい雰囲気を作るように努めました。授業後には個別でフォローアップも行い、理解度を確認する時間も確保しました。理解に差がある中でも、全体の満足度と成長度を最大化できるようにするのが講師の役目だと、改めて実感しました。
4. 受講生との距離感とコミュニケーションの工夫
受講生との距離感は、講師として非常に大切です。私は基本的に受講生と親しく接したいと思っていますが、時には厳しい指摘が必要になることもあります。そのため、あまり近づきすぎず、適度な距離を保ちながら接するように心がけています。
また、評価やフィードバックを送る際には特に注意を払っています。あるとき、受講生に「少し理解が遅れている部分があるので、もう少し頑張ってみよう」と伝えたつもりが、その受講生には「私は講師に見放されているのかもしれない」と感じさせてしまったことがありました。その経験を通じて、言葉の使い方や表現には細心の注意を払い、相手の気持ちを考えてメッセージを伝えるようにしています。少しの言い方の違いで相手に与える印象が変わるため、コミュニケーションは繊細に行うことが重要です。
5. 明るく接することの大切さ
講師には様々なタイプがいますが、私はできるだけ笑顔で接することを心がけています。講義中に笑顔でいることは、受講生に安心感を与え、学びやすい雰囲気を作るうえで非常に重要です。ある受講生からも「講師がいつもにこにこしているので、質問しやすい」と言われたことがあり、笑顔でいることの効果を実感しました。
にこにこしていられるためには、普段の生活でもストレスをためないようにしています。例えば、毎日の運動や適度なリラックスの時間を設け、自分自身のメンタルケアも大切にしています。講師としての笑顔は、自然と生まれるものだと考えているからです。
まとめ：IT講師がもたらした新しい人生の価値
IT講師という仕事は、単に技術を教えるだけでなく、受講生の成長を支え、自分自身も成長する機会です。教えることで知識が深まると同時に、自分のチャレンジ精神や人との接し方についても改めて学ばせてもらっています。受講生が少しずつ自信を持ち、成長する姿を見ることは、私にとって何よりの喜びです。
IT講師としてのキャリアを通じて、これまでとは異なる視点から「教えること」と「学ぶこと」に向き合えるようになり、人生において新しい価値を見出しました。今後も、技術だけでなく人の心に寄り添う講師でありたいと思います。
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