人は無限の可能性を持っている 〜45歳でもトライアスロンチャレンジ〜 ①
日本社会では、年齢とともに可能性が制限されていくという固定観念が根強く存在します。「もう年だから」「この歳で新しいことを始めるのは」という言葉を、私たちは何度となく耳にします。私もその考えに縛られていた一人でした。
コロナ禍で自宅でのリモートワークが始まり、私の生活は大きく変わりました。画面越しのコミュニケーション、外出機会の減少、運動不足。気がつかないうちに、軽度の鬱のような状態に陥っていました。毎日が同じような繰り返しで、何事もおっくうに感じられるようになっていたのです。
そんな日々が変わったのは、「健康な体にのみ健康な心が宿る」という言葉との出会いがきっかけでした。単なる格言として聞き流すこともできたはずです。しかし、日々の疲れと気持ちの落ち込みを感じていた45歳という年齢だったからこそ、この言葉が深く心に響いたのだと思います。
久しぶりにプールに足を運んだ日のことは、今でも鮮明に覚えています。最初は50メートルを泳ぐのがやっとで、これまでいかに体を動かすことから遠ざかっていたかを痛感しました。しかし、継続的に通ううちに、少しずつ距離を伸ばすことができるようになりました。休み休みではありますが、1キロメートルほどは泳げるようになっていきました。そして何より、運動後の爽快感と達成感が、曇っていた心を少しずつ晴れやかにしてくれました。
ただ、このままでは運動を続けるモチベーションを保つのが難しいかもしれないと感じていました。そんな時、ふと中学校の担任の先生がトライアスロンをしていたことを思い出したのです。
インターネットでトライアスロンについて調べ始めると、意外な発見がありました。この競技には多くの経営者が参加しているというのです。水泳、自転車、ランニングという3つの種目を組み合わせた競技は、時間管理能力や集中力、そして何より強い精神力が必要とされます。それはまさに、ビジネスの世界でも求められる要素でした。
さらに調べていくと、距離によってショート、ミドル、ロングというカテゴリーがあることを知りました。コロナで頭が少しおかしくなっていたのでしょうか?数字を見ただけで尻込みしそうになるはずですが、完走だけを目指すのであれば、水泳さえ乗り切れば不可能ではないと思っていました。
初めての大会に向けて
そして遂に、霞ケ浦で開催されるスプリントディスタンスの大会にエントリーすることを決意しました。初挑戦ということで、水泳1.0km、バイク20km、ラン5kmという比較的短い距離の大会を選びました。