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野坂達志『対人援助職の仕事のルール 医療領域・福祉領域で働く人の1歩め、2歩め』遠見書房

。本書は医療、福祉の領域で働くことになった人のための本ではあるが、広く対人関係について関与している人、例えば会社の人事担当者や、精神を病んでいる人を抱える家族にも役立つ内容であると思う。

カウンセリングとしての質問法として、「WHY」を外した質問をすることで、特定の状況で問題が発生していることがわかり、「困ったとき何が助けになりましたか?」と尋ねれば、解決スキルの確認になるそうである。

問題を抱えている人に接する場合に、問題を外在化するとよいと言う。例えば虫のせいにし、「虫退治」をする。虫のせいにすることで、本人や周囲の自責感を最初に取り払い、目標は虫退治または飼い慣らすことと明確化する。どうしたら虫が騒がないか研究させ、工夫や努力に感心しながら、関心や敬意を持つ。虫が弱っていく過程を〇勝〇敗と勝敗表をつけたり、虫のスケッチをする。途中の失敗も想定した脚本を先に示し、ドロップアップを予防する。

職場の個別相談では、幻聴があるといった疾病性と、ミスが多いといった事例性を区別する。また、事実と想像(解釈)を区別し、事実確認をおろそかにしない。事故とヒヤリハットを区別し、管理監督者の不安の閾値を下げる。病気のお陰で何かを得る疾病利得は、怠けと違うことを意識する。

従業員を心療内科や精神科に受診勧奨するときは、丁寧に、強制ではなく自分と家族の判断という形を取る。会社内に専門家がいないときは、まずは内科受診を勧める。身体的な病気がなければ、内科医は精神科受診を勧めるはずである。

休職していた者が職場復帰する場合の復帰日は、きりがいい「1日」とか「月曜日」になりがちであるが、休日の前日、祝祭日の前日にするという方法もあると言う。

メンタルを強化するための第一は疲れない体をつくることで、肉、納豆、チーズ、牛乳、ヨーグルトなど、セロトニンをつくるものを食べる。血流促進のために、入浴、運動、マッサージをする。ヨーグルト+食物繊維をとる。

疲れを散るためには睡眠が一番大切で、入浴して暖まる。夕食と飲酒は寝る3時間前までにする。休日の寝坊は2時間まで、ダラダラしないで1回は外に出る。オンとオフを意識する。日付が変わってパソコン、メール、ゲームをしない。女性はフェリチン値(貯蔵鉄)の検査をする。どうしても効果がなくれば心療内科を受診する。

本書を読んで、いろいろと知らないことを知ることができた。一般の人が、関係ありそうな所を読むだけでも、役立つ本ではないかと思う。




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