援川聡『攻撃型・メンタル弱すぎ・手柄も横取り・やる気なし・自己中心的な 職場の困った人対応マニュアル』WAVE出版
職場でも、クレーム対応はとても難しいもので、良かれと思ってやっていることが相手の反感を買うということもまれではないと思われる。そんなクレーム対応について、大阪府警からスーパーマーケットの渉外担当に転身して、悪質クレーム対応を永年行ってきた著者によるマニュアルが、本書である。
まず、職場のグレーな困った人を5つにまとめる。
1 グレーな攻撃型
あくまで静かに、水面下で相手を追い詰めるステルス攻撃型
2 油断できない被害者型
アドバイスをしたにもかかわらず、相手に被害者になられてしまう場合
3 自己顕示欲の強い策略型
自己評価が高すぎる人、上の顔色ばかり見ていて、責任転嫁が得意
4 伝わらない無気力型
仕事の指示をしても、きちんと聞いていない、つかみどころがない
5 悪気のない押しつけ型
自分にだけ仕事を押しつけてくる、ややこしい案件だけ頼まれる
大切なことは初動。クレーム対応の現場でも、電話がかかってきた最初5分で、その後のクレーマーの態度が変わる。クレームの内容をよく聞き、気持ちを受け止め、共感する。最初の5分の行動が8割方、謝って済む問題に持ち込むことができる。
職場の困った人には、まず相手の言い分を聞いた上で、提案したり、距離を置いたりして、問題行動の刃をかわすようなイメージを持つことである。ときには、周りに協力を頼んで社内全体の取り組みとして解決していくことも必要である。
人間関係を大切にし、常にバランスを取ろうとする、誰かに何かを頼まれると断れない、誰が見ても優しくていい人がターゲットになりやすい。一度でもこちらがキレる、やり返すと悪者のレッテルを貼られてしまうので、まともにやり合って、神経をする減らすよりは、問題行動をかわし、あくまで事務的に対応する必要がある。
1 グレーな攻撃型への対応ポイント
・呼吸法や足指ストレッチで心を落ち着かせる
臍下丹田呼吸法、数息観、足指ストレッチ
・心のボリュームダウンとサ行のあいづちでかわす
さようでございますか、失礼いたしました(承知いたしました)、
すみません、「・・・ ・・・」、そうなんですか
・30分その場から離れる
2 油断できない被害型への対応ポイント
・気づかう姿勢を見せる
・ヒアリングで本音を聞き出す
相手の逃げ道をつくった上で、ヒアリング、寄り添うことが解決糸口
・上司を巻き込む
・コミュニケーションの記録を取る
いつから、何を、どのくらいしたのか
3 自己顕示欲の強い策略型への対応ポイント
・自分で自分を認める
・仕事の振り返りを行う
行動の記録をつける
・斜めのつながりの人に相談する
相手の同期や、他の先輩をあてにする
・自分自身が策略型になっていないか注意する
4 伝わらない無気力型への対応ポイント
・相手の態度がすぐ変わらなくてもあせらない
・”お願い””注意””実行”の3段階で対応する
叱るのでなくお願い口調、直らなければ注意、そしてペナルティ
・タスクを細かく分けて、こまめに進捗を確認する
結論→説明→結論
・”飛びかけ””聞き役””追求”で本音を聞き出す
5 悪気のない押しつけ型への対応ポイント
・”うやむや””K言葉”でかわす
無理難題は断ってみる、うやむやにして要求をかわす
困りましたね、苦しいです、怖いですのK言葉
・お誘いは迷いを見せない
気が乗らない誘いは時間をかけずに断る
・断るタイミングを決めておく
3回に1回は断るなどルールを決める
・条件付きで引き受ける
クレーム対応コンサルタントとしてノウハウを用いて、職場の人間関係に対応しようとするものである。著者自身も警察官時代、理不尽な扱いを受け、仕事のやる気を一気に失った経験を持つ。職場の困った人により、平穏な生活が脅かされないよう本書を読むべきと思われる。