«白昼夢»(短編読み切り小説 5230文字)
寒い!
目が覚めた。
年中30℃に設定してある私の寝室だが、
この前からエアコンの調子が悪い。
30℃設定といっても私が寒がりなワケではない。
寝室で同居している色々な動物たちの為だ。
仕方なく私は1年中半袖半パンに扇風機が手放せない。
寒い!
カーテンの隙間から窓の外を覗いてみてハッとした。
あたり一面真っ白だ。
G-SHOCKに目をやる。
「うわ!もー6時半や!」
12月24日(土)世間では〝イブ〟などとはしゃいでいる。
私にはココ35年は〝イブ〟など関係ない話だ。
まー、どち道そんな柄じゃない。と自分に言い聞かせるようになだめる。
いつもと同じように仕事着に着替えて、
っ言ってもスーツなどではない。
作業着に着替え、
スマホの着信履歴を確認したが誰からも入っていなかった。
〝イブ〟だというのにいつもと何ら変わらない。
「イブなんか無くなればええ。」
と言いつつ作業着はなぜか新品だ。
昔から、正確に言うと15の時から〝イブ〟もXmasも恋人と過ごしたことなど1度もない。
そもそも家族とさえそんな経験はない。
病気にでもならないと土日祝も休みはない。
安日給で残業代や時間外手当、
ボーナスどころか寸志、餅代も貰ったことはない。
タバコに火を点け、車にエンジンをかけに行き、暖房をデフに切り替え、
フロントガラスの雪を払いまた部屋に戻った。
その時、
『お別れ~したのはもっと♪』スマホが鳴った。
BUMPの〈REY〉だ。
「おっ!」と思いながらスマホに目を落とす。
元請けの社長からだった。
「おはよう。あー、今日のう、無理じゃろう。工期も余裕があるけん今日は様子をみようや。また明日から頼むワイ。」
「アイ、アイ。はい。ハイ。お疲れッス。」
「ピッ。」
今日は休みか。作業着新品だったのにのう。
明日からって相変わらず普通に言い切るのう。あのオヤジ。
明日は天下の日曜日ど。
とか色々思いながら〝イブ〟が休みという
【初めての経験】
にほんの少し心がざわついた。
またタバコに火を点けて、車のエンジンを止めに行った。
何するよ。。。
何もすることがない。
眠くもない。
休み休み休み!
仕事を休んだことが殆どないのでどうしていいか分からない。
「ん?」
確か博打通り界隈に行けば朝から開いとる飲み屋があると聞いとったど。
ふっ。朝から酒か。
たまにはそれもいいかもな。
「バスは何時じゃ!」
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