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【猫の日特別企画】二階堂ふみさんが考える動物たちとの共生
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2月22日は、猫好きならマストでチェックする「猫の日」。今回はこの記念日にスペシャルなゲストとして、俳優の二階堂ふみさんにご出演いただきました。二階堂さんは現在、犬3匹・猫4匹と暮らしながら、動物愛護活動を積極的に行っています。彼女が行っている活動を始め、動物たちと過ごす中で気付かされること、目を背けたくなるような現実の話まで。二階堂さんのお話をたっぷり聞かせていただきました。
2月22日は猫の日。
猫の鳴き声を「ニャン(2)、ニャン(2)、ニャン(2)」と読む語呂合わせから、1987年に誕生した猫の日。今では多くの人に認知され、たくさんのイベントが開催されたり、コンテンツなどでも賑わう1日になっている。
感情の引き出しの多さに気付かされた、動物たちとの暮らし。
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――二階堂さんが動物と暮らすようになったきっかけから教えてください。
沖縄出身なのですが、猫がすごく多い地域で生まれ育ったので、近所には地域猫がたくさんいました。そのため、幼い頃から猫は好きでしたが、ご縁があって最初に暮らし始めた生き物はフェレットなんです。
フェレットってすごく賢くて、そしてとても感情豊かなんです。人間以外の生き物と初めて暮らした時に、こんなに感情の引き出しを持っているんだ!ということにびっくりしました。一緒に生活しているうちに、自分の生き方だったり、選択だったり、蔑ろにしてきてしまったものだったりに気付かされることがたくさんあって、そこから愛護活動にも興味を持ち始めるようになりました。
――最初はどんなことから始められましたか?
最初は小さなことから始めたと思います。フェレットの次に引き取ったのは犬でしたが、保護犬を引き取るうえで、だんだんと生活の中にそういうことが根付いていったという感じです。
今一緒に暮らしているのは、犬3匹と猫4匹。
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――今はどんな動物と暮らしているのですか?
今暮らしているのは、犬が3匹と猫が4匹です。犬の1匹は預かりのボランティアです。今は3匹別々に散歩へ行っているので、お散歩が大変。一番上の子が15歳の老犬なので、ゆっくり歩くのと、預かっている子が大型犬なので歩幅が合わなくて。でも、我が家はそんな犬たちよりも、猫のほうが騒がしいです。
――猫はどんな子たちと暮らしているのですか?
1匹目がベンガル、2匹目が黒猫で、3匹目が茶トラです。本当は3匹目の間に預かりで三毛猫の親猫と子猫がいたのですが、保護して1週間ほどで病気で亡くなってしまって。その後に来たのが茶トラの片目がない子で、最後4匹目が白猫です。
――三毛の親子は残念でしたね…。
親子猫のこともあり、3匹目の茶トラが来たときにはとても不安でした。怖いのでフードを山盛りにしてケージの中に置いておいたら、入れた分だけ全部食べているのを見て、「この子は大丈夫だな」って安心しました。今では一番体が大きな子に育っていますが、性格はちょっとビビりで、とても優しい子です。動物はみんなそれぞれ性格が違うので、暮らしていて面白いです。
預かりボランティアや物資支援が主な活動。
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――現在はどんなことをメインに活動されていますか?
預かりボランティアと物資支援を主に行っています。昨年の9月に『スナックおふみ』というファンミーティングを行ったのですが、実はチャリティーイベントして開催をしました。チケットとグッズの売り上げは、経費を差し引いた分を愛護団体へ寄付しています。発信をすることで知ってくださった方も多いようだったので、今後もこういうイベントは続けて行きたいと思っています。
目を背けたくなる現実や、ボランティアさんたちの活動について。
――預かりボランティアや支援などを通じて、愛護団体の方ともやり取りをされていると思うのですが、二階堂さん自身がつらい現場に向き合うこともありますか?
向き合うこともありますし、その度に私自身もくらってしまいます。でもそれは、氷山の一角だとも思っています。先日も猫の繁殖場のレスキュー連絡が入った際、私自身はその日動けなかったのですが、ボランティアの方から送られてきた写真が、あまりにも酷すぎて…。何段も積まれたケージの中に約50匹の猫が入れられていたり、床は足の踏み場がない状態だったり、亡骸がそのまま放置されていたりと、悲惨な状況でした。
正直そんな光景を目の当たりにすると、これは人間がやる所業ではないと、それを引き起こした人たちへの憤りは生まれます。でもそれを負のエネルギーとして何かにぶつけるのではなく、目の前で助けられた命に対してプラスに持っていけるようにしたいとは思っていますね。目を背けたくなるような現場には毎回くらうけど、引っ張られすぎないようにしたいと思っています。
――ボランティアの方々は日夜それに向き合っていると思うと、本当に頭が下がりますよね。
密にやりとりしているボランティアさんたちは、保健所の引き出しを始め、色々なことを日々やられています。それに比べると私が実際に行動として起こせていることなんて、本当にちょっとのこと。ただ、動物によって広がっていったコミュニティがあって、そこで新しい出会いがあったり、その輪がどんどん強くなくことも感じています。ご縁があったからこそ続けられているし、耳を傾けてくださる方も増えましたね。
動物と暮らすうえで心がけること。
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――二階堂さんは今たくさんの動物たちと暮らしていますが、一緒に暮らすうえで心がける点はありますか?
大型犬を今預かっていると冒頭でお伝えしたのですが、都市部の賃貸事情を考えると動物と共に暮らすには現実的でない規約がとても多いです。それと同時に、生き物と暮らすのは、やっぱりすごくお金がかかること。生活や収入が安定していて、心身ともに健康であることは必須条件。そのためには日本の仕組み自体が変わらなければいけない、と思っています。誰でも欲しいと思ったときに、すぐに生き物を手に入れられるような社会の仕組みは見直されるべき。動物を迎えるということへのハードルがもっと高くなるべきだし、生活をするうえでの家のことであったりとか、地域の理解とかは常識の範囲内で柔軟に進んでいくといいなと思いますね。
――動物と暮らすうえでの懸念点についてお話しいただきましたが、他に問題視していることはありますか?
ボランティアさんたちは身銭を切って活動をされていて、どこの団体さんもいっぱいいっぱいになっているのが現状です。その反面、集まったお金が不透明に使われているという話も耳にします。保護犬猫をビジネスにしている話も最近ではよく耳にするので、真面目にやられている団体さんやボランティアさんたちに、きちんと支援が届くようにはしたいと個人的には思っていますね。それと一番はペットショップでの店頭生体販売が、早くなくなって欲しいです。広くいうともっといろいろあるのですが、根本的には生体販売をどれだけ規制していけるか、というところにあると思っています。
みんながみんな動物が好きじゃないことは理解したうえで、活動を広げていく。
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――たくさんお話をありがとうございました。課題が多い問題ですが、動物と共生していくうえで考えるべきことや伝えたいことはありますか?
みんながみんな動物が好きなわけではないということを踏まえて、活動を広げていかないととは思っています。動物が好きじゃなくても容認することはできると思うので、そこへ持っていけるような努力をしたいです。
私は動物と人間の距離感は、愛護というよりも共存していくというイメージでいいと思っています。私自身は犬猫のことを完全に家族だと思っていますけど、人によっては隣人だとか、愛すべき同居人くらいの感覚でいい。ただいい意味で先進的に法整備などはされていくべきだとは思いますが、誰にでも動物愛護を強要するのではなく、動物と人間が持ちつ持たれつのような関係で暮らしていけるのが理想的です。
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二階堂ふみ(にかいどう・ふみ)
1994年生まれ、沖縄県出身。映画『ガマの油』(2009年)でスクリーンデビューし、その後も、映画『ヒミズ』(2012年)、『リバーズ・エッジ』(2018年)、『翔んで埼玉』(2019年)、『月』(2023年)などに出演。ドラマ『エール』(2020)、『Eye Love You』(2023)などでも活躍。写真家としても活動している。
服クレジット:
ジャケット¥341,000(NAOKI TAKIZAWA/NAOKI TAKIZAWA DESIGN INC. 03-6455-0410) usedパンツ¥9,000(デプト /DEPTカスタマーサービス customer@d-e-p-t.tokyo) キャットフェイスリング¥396,000(ジジ/ホワイトオフィス 03-5545-5164) その他(スタイリスト私物)
スタッフクレジット:
photo:Koichiro Iwamoto(kiki inc.)
styling:Eri Takayama
hair&maku-up:Aiko Tokashiki
edit&text:Makoto Tozuka
Produced by MCS(Magazine House Creative Studio)