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【本の記録】📚小砂川チト『猿の戴冠式』📝 現実と幻想のはざまで揺れる、深遠な物語

『猿の戴冠式』 著者:小砂川チト
ジャンル:大衆小説・現代文学
発行元:講談社・2024年1月初版刊行

Audible作品紹介&読書感想文
ナレーター:大森ゆき

ある事件をきっかけに引きこもっていた女性・しふみと、言葉を機械学習させられた過去を持つボノボのシネノが出会う物語。人間とボノボの魂のシンクロ、現実と幻想が曖昧に交じり合い、生きることの痛みを静かに描き出している作品。

【感想】オーディブルで小砂川チト『猿の戴冠式』を聴きました。

素直な感想を言うならば、オーディブル向きではない作品だった。
いや、正確には「紙の本で読んだほうが、もっと楽しめたはず」という読後感が残った。

”幻想と現実が互いに侵食していく圧倒的筆至。人間存在の根源的な闇に光をあてる唯一無二の才能”とのサマリーを参考に、大変興味深く、聴いてみたいと思いこの作品を選んだ。しかし、現実と幻想の境界が曖昧で、独特な精神世界に踏み込んでいく描写は、耳だけで理解するには難解だった。

特に、登場人物の名称や呼称が、「わたし」「あなた」「おねえちゃん」「しふみ」 「シナノ」などと変化し続ける点が、音声では混乱を招いた。視覚的に段落や改行で区切られていればまだ整理できたかもしれないが、オーディブルではすべてが流れるように語られるため、「今どの視点で語られているのか?」と考えているうちに話が進んでしまう。

また、物語全体に漂う静けさと重厚さが、オーディブルの軽やかさと相反していたようにも感じる。深く掘り下げられたテーマは素晴らしいが、それをじっくり味わうには、紙のページをめくりながら自分のペースで読むほうが向いているだろう。

あくまで個人的な意見ですが、こんな人におすすめ。
• 活字でじっくり考えながら読むのが好きな人(オーディブルより紙の本推奨)
• 人間と動物の境界、コミュニケーションの在り方に興味がある人
• 幻想的な小説が好きな人
• 現実と精神世界の交錯する物語を楽しめる人
• 言葉の持つ力や、伝えることの意味を深く考えたい人

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オーディブル通常速で3時間55分。長編ではないものの聴くには正直ハードルが高かった。紙の本で再読したら、もっと理解が深まりそうな気がする。
そんな余韻を残す、不思議な読書体験だった。

「独特で難解…」と感じたが、『いい子の冠は人にもらうものではなく自分で自分に授けるもの』-他-幻想的な世界観と哲学的な問いかけは、振り返ると妙に印象に残る作品だったため、聴いてよかった と思える一冊だった。
おすすめの作品があれば、ぜひ教えてください。
これからもいろいろな本を読んで、自分の視野を広げていきたいと思う。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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↓こんな人におすすめです。
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📚皆様の読書時間が充実し、豊かな人生の一ページとなるよう心より願っております。

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