【長野県軽井沢町】「GOOD HABIT」がオープンするまで
長野県軽井沢町に2022年6月オープンしたカフェ「GOOD HABIT」さんのコーヒー関連をサポートしました。
『良い習慣』という意味のGOOD HABIT。特別な場所ではなく、「いつもの一杯」が飲める場所になりたいという想いがあるそうです。
はじまり
GOOD HABITのオーナー八島さんは開業に向けてコーヒー豆を各地で探していたそうです。長野市に来られた際に当店を見つけくださり、試しにペルーオーガニックをご購入。その味が気に入ってくれ、後日WEBサイトよりお問合せいただきました。
簡単なメールのやり取りをし、軽井沢町と長野市とお互いの拠点が離れていることもあって初回の打合せはZOOMで行いました。GOOD HABITさんのコンセプトや店のイメージをうかがってみると、オリジナルブレンドコーヒーを作りたいという希望以外にも、オペレーション関連に悩みがあることがわかり、その領域についてもアドバイスさせていただきました。
ご希望をうかがったあと、まずはスケジュール管理からはじめます。店を開業するとなると、コーヒー以外にもあれこれやりたいこと(やらなければならないこと)が無数に出てきます。それらがどれくらいの時間がかかることなのかをまず整理して共有します。今回のGOOD HABITさんからいただいたご要望の中では、『オリジナルブレンドづくり』が1番時間を要するものだったので、まずはそこから手をつけていきます。
オリジナルブレンドづくり
ヒアリング
オリジナルブレンド制作のご依頼をいただいた場合、まずは理想とする味やイメージをヒアリングしていきます。GOOD HABITさんからいただいた味のイメージは、
なるほどなるほど。『奥行きと余韻』。僕もめっちゃ好きそうな味なので、アレとアレをブレンドしてみようとサンプルづくりのイメージがすぐにできました。
ブレンドサンプル1回目
今回はストレートコーヒーとしてペルーを提供することも決まっていたので、それとはまた違った味で、かつ『奥行きと余韻』が感じられるようなブレンドサンプルを3種類作ってみました。
最初のサンプルを飲んでいただいた感想は、
と、とても具体的なご意見をいただきました。
ブレンドサンプル2回目
サンプルAをベースに、コクを増やすようにブレンドを調整します。ブレンドの味を調整する方法としては、配合比率だけを変えて味を調整する方法と、豆自体を違う種類にして味を調整する方法の2パターンがあります。初回のサンプルでAを気に入っていただいたこともあり、Aから離れすぎずに調整する。この微調整が腕の見せどころです。結果としては、配合比率を変えるだけでは納得がいくブレンドができなかったため、豆の種類を入れ替えて味の調整をしました。サンプル2回目は、初回で気に入っていただいたサンプルAと、新しくつくったサンプルD・サンプルE、そしてストレートで提供するペルーの4種類をお送りして飲み比べをしてもらいました。
2回目のブレンドを飲んでいただいた感想は、
ブレンドサンプル3回目
初回に送ったサンプルAと、2回目のサンプルDの2つが気に入ってもらえました。ここまでの意見がもらえれば味の方向性はほぼ決まりです。あとは配合比率を少し変えるか、もしくは隠し味程度に他の豆を混ぜるか。サンプル3回目は、サンプルA・サンプルD、さらに新しく微調整したサンプルE・サンプルGの4種類で飲み比べをしてもらいました。
3回のサンプルのやり取りで無事にオリジナルのGOOD HABITブレンドが完成しました。GOOD HABITさんからのフィードバックがとても具体的だったので味の調整もしやすく、その分「期待を上回るような味をつくろう!」と気合が入ったので、我ながらGOOD HABITブレンドはとても美味しくできたなと手応えがありました。またこれは結果的になんですが、GOOD HABITブレンドはホットコーヒーだけではなく、アイスにしても、牛乳を入れてカフェオレにしても、ブレンドの希望であった『奥行きと余韻』が損なわれなかったんです。(ぜひ現地に味わいに行ってみてくださいね!)
器具の選定について
ドリップか?ねるっこか?
コーヒーをどういった器具で抽出するのか?迷うところですよね。器具によって味は変わります。さらにオペレーション方法も大きく変わります。どういう内装で、どういうコーヒーをお客さんに届けたいか、お客さんにどういう時間を過ごしてもらいたいか。そういったお店の芯になる部分が決まってこないと器具選定はむずかしいので、まずは初回のZOOM打合せで確認しました。器具に関してのGOOD HABITさんからの希望は、
これらの条件から「ねるっこ」を使いたいとのご要望がありました。ねるっこは抽出の様子が見え、理科の実験みたいで楽しい。そんなところはメリットになるだろうなーと考えていましたが、さらに詳しくヒアリングを続けると、
このあたりが気になっているとのことで、後日しっかりとメリットデメリットを整理してご提案することにしました。
1回に作れる容量が限られる。さらにはネルを洗うのも手間がかかる。ここらへんは最初に聞いた『ピークタイムに抽出が追いつくか?』を解決するものではなく、さらにはねるっこの器具自体も高価なものではあったので、まず最初はハンドドリップでスタートすることをご提案。ハンドドリップだと『スタッフの技術によって味に差がでるのでは?』と心配されていましたが、ねるっこであっても、ハンドドリップであっても、使い慣れるまでの訓練はどちらにせよ必要なので、まずは導入しやすいハンドドリップでやってみることに落ち着きました。
ドリッパーはどうする?
GOOD HABITさんの内装は、入って正面にかっこいいカウンターがあり、そこで接客・抽出・提供までを行うようなイメージでした。つまり抽出の様子がお客さんから見える。統一感のある器具を用意し、丁寧にしっかりドリップすればそれは素晴らしい演出効果があり、お店のウリになると考えました。
「かっこいいドリッパーがいい」と漠然と探し始めましたが、ドリッパーも作家モノまで含めると途方もない数があるので、手に入りやすく・かつデザインがカッコいい3種類ご提案しました。
比較表を見たGOOD HABITさんからは、
ドリッパーが決まれば、次に大事なのがドリップケトルです。ケトルはタカヒロのドリップケトル『雫』の0.5Lサイズをご提案。
こちらは注ぎ口がとても細いので、じっくり思いのままにお湯を注ぐことができます。決して安くはない商品ですが、ドリップのプロを目指すのであれば必要な投資です。
また、器具をご提案している最中でも、
こういった質問にも、
●オペレーション的に同時に注げるのは2つまでなので、ドリッパーは2セットあれば大丈夫だとは思います。念のため、破損することや予備のことを考えて3セットくらいが妥当だと思います。
●サーバーの下にスケールを置いて抽出します。その際にはドリップスタンドは無い方がスムーズです。諏訪市にあるカフェと暮らしの雑貨店fumiが同じくハリオのガラスドリッパー+スケールをおいてドリップしているので写真送りますね。
と、都度お答えしていきます。
1杯あたりのレシピとハンドドリップレクチャー
ドリッパーが決まれば、今度は抽出のレシピ作成に取りかかります。
まずは提供する時に使うカップを決めます。カップが決まらないとコーヒーの容量が決まらないのでレシピがつくれません。カップでも店のカラーが出ますので、ここはじっくり妥協なく決めていただきます。
GOOD HABITさんの場合、ホットコーヒーが180ml、アイスコーヒーが210mlでレシピを作成しました。
上のような動画を作成し、まずはドリップの練習していただきます。そしてその中で見つかった不安な部分や伝わりづらかった部分は実際にお会いして直接レクチャーすることも可能です。
GOOD HABITさんには長野市の店舗へ足を運んでいただき、完成したGOOD HABITブレンドで、ハリオV60ドリッパーとタカヒロ雫ケトルを使い、ホットコーヒー、アイスコーヒー、カフェオレの淹れ方をレクチャーしました。すべてが決まった後にドリップレクチャーすることで、店舗での再現性の心配もなくなります。
ドリップレクチャーを終わったGOOD HABITさんからは、
開業
GOOD HABITさんは2022年6月30日にオープンされました。
テイクアウトを中心に、軽井沢で生まれて25年続く紅茶と、自家製スコーンのお店として既に人気店となっています。
最後にGOOD HABIT八島さんに、全体を通した感想をうかがいました。
ヤマとカワ珈琲店では、カフェや喫茶店の新規開業を支援しています。
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