『史記』に対する批判

『史記』は司馬遷によって編纂された中国最古の（紀伝体の）歴史書で、以後の歴史書は王朝ごとに編纂される断代史の形式が主流となったものの、歴史書の規範として長く尊重されてきた。
一方で、最古の歴史書ということもあり、まだ形式が整っていない部分も多く、また通史ということでそれ以後の歴史書と大きく異なるところもある。 その一つが諸侯の事績を記した「世家」の存在で、以後は『新五代史』が中国南部にあった十国の歴史を「世家」として纏めている以外は見られなくなる（『漢書』以降は、皇族で諸侯王に封じられた者は列伝に組み込まれた）。

『史記』を編纂した司馬遷