世捨て人のススメ
『徒然草』を読んでいると、著者の兼好はかなり鋭くかつ客観的に世間を見て分析していることがわかる。なぜ兼好がこれほど客観的に物事を見ることができたのかといえば、おそらく彼が隠者=世捨て人だったからだと思われる。
実際の兼好は、出家後も文化人たちとの交流を続けており、サロンにも顔を出すなど、かなり人付き合いはあったようだが、それでも当時において官僚を輩出する家の出の人間が公職を退くことは隠棲に違いなかった。そうして公職から離れると、組織の内側にいたときとは当然、物事の見え方が変わる。それまで主観的に見ていたものを客観的に見ることになるので、それまで得られなかった気づきを得ることもできただろう。
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