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一月の読書振り返り(2025)
今年も恒例にしていきたい、一月読んだ本の振り返りです。
キネマの神様 / 原田マハ
翼をください 上下 / 原田マハ
猫を処方いたします。3 / 石田祥
マチネの終わりに / 平野啓一郎
本の読み方 スロー・リーディングの実践 / 平野啓一郎
高瀬舟 / 森鴎外
鏡の法則 / 野口嘉則
世界でいちばん透きとおった物語 / 杉本光
地雷グリコ / 青崎有吾
母性 / 湊かなえ
十戒 / 夕木春央
今回も全部触れたい、けど長くなるので、いくつか触れたいと思います。
鏡の法則
こちらはKindleUnlimitedで読めます
物語になっていて、非常に読みやすい。内容も2~30分ほどで読めてしまうので、ちょっと試しに読んでみるかで読めてしまうが、内容は深い。
鏡の法則、人は鏡というが、周りの人も自分を映す鏡であるという考え方。息子について悩む主婦が主人公の話だが、全く同じではないにしても人間関係の悩みや考え方は色々と思い当たるフシがある。
髪の毛の寝癖だとか、顔がむくんでるなとか、自分の姿は鏡を見る事ではじめて確認できる。鏡の中の自分を観察し、変えたいと思うのなら、自分を変えるしかない。
作中登場する父親とのわだかまりに関しては、現実はそう簡単にいかないかもしれないが、身近な、特に家族に対しての後悔や引っかかっているような事は自分の中にも少なからずあり、それらは確かにゆるすことが出来、なんだか心が軽くなる心持ちだった。
世界でいちばん透きとおった物語
ネタバレ厳禁。
読み始めた時とまったく予想外のところへと向かい着地した。
紙の本で読むべき本、今年暫定一位です。今月やられたと叫んだ本です。
読んでいるうちに、そんな馬鹿なとページを捲り言葉を失いました。騙されたというか、素直に心の中で脱帽。
注意深くあれば、気付けたのではないかと悔しい気持ちになります。
そして2作目があることを知り、えっ、続くのか!? とそちらの意味でも驚きました。
本の読み方 スロー・リーディングの実践
僕の、本を読む速度に関して言えば、全くもって大したことはないと思う。
芥川龍之介や司馬遼太郎、大江健三郎らの速読家のようにはいかないにしても、常々、もっとたくさんの本を読めたら良いのにと思っているし、今でもたくさんの本を、読まなければいけないような、気がしている。
遅読、スローリーディングとはどういったものなのか? マチネの終わりにを読んで、考えるきっかけになった。
普段から読書を親しんでいるような人には本作 第三部の実践編から入るのでも良さそう。
ここでは実際に有名な作品を元に著者はこんな風に読むといった解説を提示してくれる。非常に分かり易いし、そんなことまで考えて書かれていたのか……という発見と驚き、どういったところに作者の意図が現れるのか、今後の読書や創作にも役立つことが満載だった。
漱石の『こころ』、鴎外の『高瀬舟』、カフカの『橋』などなど。
自分の読みの浅さに気付かされると同時に、そんなことまで考えられて書いてあるのか、と絶望に近い感情も浮かんだ……。
すぐに会得出来ることではないかもしれないが、ほんの一握りの気付きでも、今後の読書に取り入れていきたい。
最近、本を読んでると、無意識のうちに飛ばして読んでいる部分があるように思う。というのも、オーディブルの朗読では全ての文章が読まれるため、目で追っている時に起きる、この読み飛ばしが起きないという事に気付いた。
続きが気になり、焦って、筋を追いかけてしまうような、貧しい読書をしていたのかもしれないと反省した。
地雷グリコ
賞を獲りまくっていて、なんだかみんな読んでるような気がして、でもそれが楽しめなかったらどうしようと思いつつ、結果、序盤は緩やかに転がり加速していき最後まで楽しむことが出来、全くの杞憂だったのでした。
後半にいくに従って賭ケグルイが頭に浮かんでしまった。ので、すっごく新鮮って感じでは無かったのだけれど。
地雷グリコから始まる連作短編、死体は転がらないし嫌な気持ちにもならない。そういう意味では安心して読むことが出来たし、魅力的なキャラが立ってる、なんだか成瀬の時にも感じたけど、計算された稀有な存在感を感じた。
正直、タイトルでめちゃくちゃ惹かれていたのだけど、続きを期待した時全く別の表題になるのだろうか。そういった、今後の展開を期待するのは野暮かしら。
母性
久しぶりの衝撃作。
愛能う限り、大切に――そんな言葉が呪いにも感じられる事があるだろうか。
母性、という言葉について。母親にはまるで当然のように備わっていることが前提と思っていた、そのこと自体が不思議と考えさせられる。
作中は母と娘の視点で行き来し、全く異なる印象を持ち、何を信じて良いのか、幕間の人物達の印象もあって、疑念が次々に沸き、最後まで追いかけずにはいられなくなる。
終章の愛の歌で、まるで大団円のような展開を迎えるが、それすら疑い、まるで意識を喪った娘の見た幻ではないかと思う自分が居た。
そして冒頭に戻り、これは一体……、と途方に暮れる事になる。
作中、リルケの詩について触れられている。
マチネの終わりにでも出てきていたし、これは読まずに通り過ぎることは出来ないので、近いうちに読んでみたいと思う。
十戒
方舟の衝撃が忘れられず、今回はずいぶんと気合を入れて、がっちり身構えて読んでしまった。
相変わらずの考えられた設定と、説得力ある語りに流されてしまうのだけど、今回は犯人を絞り込んで、実は良い所まで近づくことが出来て満足でした。十戒、というタイトルも良い。
どちらかというと、やはり方舟の方が好みではありました。
予想通り今回も長くなってしまいました。スローリーディングとかは別投稿で本当はもう少し掘り下げて書きたかったところ。
……もっとnoteの投稿自体を増やしたいのだけれど、ほんとうに書けてなくて個人的な創作も出来ておらず自己嫌悪。
一度じっくり自分のライフスタイルや時間割りみたいなのを見返してみようとしましたが、本、漫画、映画、ドラマやアニメなど映像を見る時間減らすしか解決方法が見当たりません/(^o^)\
逆算し時間を決めて絞っていくしかなさそうです。
体を動かす時間も増やなければー
最後に最近はまっているwebtoon漫画。
『役者として生きる』
役者で一定の成功を収めつつ、ある喪失から命を絶った主人公が、気付けば過去に戻って新たにやり直す、強くてニューゲーム的なチート。
日本の作品って割と異世界に行きがち、ハーレムしがちだけど、向こうのものは現実があって、それをより良くしたいというものが多い気がする。
ある種のストレスフリーなご都合主義感は感じられるものの、映像化してくれないかなぁと思わずにはいられない作品。
役者の話ではあるものの、作中登場する脚本や作品とかが気になって観たくて仕方なくなります。
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