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在宅医療における診療の質の評価 - 多角的なフィードバックの重要性
こんにちは、やまとドクターサポートの原田です。毎週開催している「15分間医師カンファ」では、現場での気づきや悩みをテーマに、やまとの全診療所の医師が様々な視点から解決策を考える場を設けています。今回は「診療の質をどう評価するか」というテーマで話し合いました。
Take Home Message
在宅診療は一対一の密室空間であり、客観的評価が難しい
多職種(看護師、アシスタント等)からのフィードバックが重要
診療記録や患者家族の反応など、多角的な評価が必要
カンファでの意見交換
A医師:「一人で診療することが多い在宅医療では、自分の診療スタイルや患者さんとの関わり方を客観的に評価するのが難しいと感じています。他のスタッフや医師から良い点、改善点を指摘してもらえると良いのですが、特に改善点は関係性によって伝えにくい面もあります。皆さんは診療の質をどのように評価されていますか?」
B医師:「私の経験では、シャドーイングが非常に勉強になりました。自分の診療を見ていただいたり、他の先生の診療に同行させていただいたり。数値的な評価ではないですが、他の医師の診療スタイルを見ることで多くの気づきがありました」
C医師:「カルテからも多くの情報が得られます。アシスタントが記録する患者さんとの会話内容や、他の医師の診療スタイルなど。また、MCSに入るコメントからも、外部からの評価が見えてきます」
D医師:「かつて診療の質を評価する試みとして、4項目(診療スキル、処方の適切性、コミュニケーション、チームワーク)について、アシスタントや看護師から評価してもらったことがあります。1ヶ月ほどのテスト運用でしたが、参考になる点が多かったですね」
E医師:「私は診療後の患者さんやご家族の表情を重視しています。また、お手紙をいただいたり、秋には新米を頂いたりすることもあり、そういった反応も診療の質を図る一つの指標になるかもしれません」
F医師:「質の評価は包括的なアプローチが必要だと考えています。プロセス評価とアウトカム評価を分けて考える必要があり、多職種評価、外部評価、患者家族からの評価など、様々な角度からの評価が重要です」
G医師:「質的研究の視点から見ると、評価にはどうしてもバイアスがかかりやすい面があります。だからこそ、様々な角度からのアプローチが必要です。また、診療所全体としての指標、例えば往診回数や看取り数なども、マクロな視点での評価には有用かもしれません」
実践的な対応のポイント
多職種からのフィードバック
アシスタント・看護師からの評価
定期的なフィードバック機会の設定
ポジティブ面・改善点の両面
他医師との相互評価
シャドーイング
カルテレビュー
症例カンファレンス
患者・家族からの評価
診療後の反応観察
定期的なアンケート
自由なフィードバック
客観的指標
診療記録の質
処方の適切性
チーム内でのコミュニケーション
おわりに
A医師は「シャドーイングの機会を持ちたいと思います。また、日々の診療では患者さんの満足度を最終的な目標として意識しながら、様々な角度からの評価を取り入れていきたい」と締めくくりました。
診療の質の評価は簡単ではありませんが、多角的な視点からのフィードバックを取り入れることで、より良い医療の提供につながるはずです。
本日の議論が、医療介護の現場での一助となれば幸いです。
やまとドクターサポートの原田でした。