映画レビュー「梟 フクロウ」
本作も韓国映画らしい。
二転三転、いや四転五転といってもいいかもしれない。
終わりそうで終わらない。
解決しそうで解決しない。
韓国映画を観る人は自ずとそれを期待して、
二転三転程度だと不感症になってしまうんじゃないか。
そんなどうでもいいことを心配したり・・・。
原題は「The Night Owl」。
日本のタイトルは「Owl」のみということか。
ただ梟というタイトルがしっくりくる。
やはり夜更かしをする人じゃ変だし。
タイトルひとつで興行的にも大きく影響を与える。
舞台は1645年の朝鮮王朝。
清へ移る時代。
江戸時代はようやく安泰な頃を迎えるのか。
歴史には詳しくないが、中国でも朝鮮でも日本でも時代を映す背景はさほど変わらない。
文化は違えども、文明的な要素は同じように感じる。
身内を裏切るとか殺してしまうのは鎌倉でも安土桃山でも起きていたこと。
自らの保身や国を守るためには可愛い息子でも関係ない。
本作が記録物「仁祖実録」に基づいているのなら、日本人の方が相当まとも。
正義感は少なからず残っている。
ここにはその正義感も倫理観のかけらも感じない。
誰もこの国の王に付いていくことはない。
だからエンターテインメント作品としてハラハラドキドキと楽しめる。
ストーリーは盲目の天才鍼医が秘密を抱えながら宮廷で働き、
事件に巻き込まれていく姿を描く。
ほぼ夜の世界。
当たり前だが暗くて分かりずらい。
蠟燭の光でようやく周りが見えるくらい。
その暗闇が緊張感を醸し出し、事件の全容をあぶり出す。
目を凝らすわけではないが観る者は吸い込まれ、その世界へ入り込む。
上等なサスペンスに仕上がる。
僕は韓流ドラマを見ないので時代劇の知識はゼロだが、
こんな舞台の作品は多いのかもしれない。
ドラマとしても衣装としても重さも軽さも感じさせてもらった。
ふむ。
本作は2023年の大鐘賞映画祭はじめ韓国の映画祭で
(いくつあるかは知らんけど)
最多受賞を記録したという。
一番ヒットした映画だという。
だとしたら、日本でもっと多くの劇場で公開されてもいいと思う・・・。
何かしがらみがあるのかな。
韓国は日本をターゲットにするのではなく世界に向いているのも原因?
そんな戦略も理解できるけど・・・。
今年も韓国映画はそれなりに観ちゃうかもね。