いい意味でテレビドラマの映画化だと思った。 前編である「室井慎次 敗れざる者」は上映時間115分。 本作は117分、合わせて232分。 テレビドラマとすれば1回あたり46分で5話分が構成される。 多分、完全無欠な時間構成。 第1回からスタートし5回で終了する流れは本作でも、ほぼ完ぺき。 ドラマの筋書きというか起承転結は分かりやすく観る方を感動させる。 そんな風に思う。 実際、僕が観た映画館でも結構啜り泣きが聞こえた。 主役室井慎次の立ち振る舞いや子供たちの言動に涙した人は
予告編を何度も観てかなり気になっていた作品。 予告編を観なかったとしても多分、観ただろう。 描かれる世界は少し先。 具体的には令和7年からの数年間を描く。 来年の話かと思いながら観たが、実際にはこんな世界にはならないと思う。 しかし、10年先と言われれば分からない。 本当にこんな世界が現実になるかも。 空間が広がる楽しみもあるが、それ以上に恐ろしさも感じる。 それは作品の通り。 知らなくてもいいことまで知るのは楽しみよりも恐ろしさ。 「本心」はまさにそんな作品。 ”自由
本作もご当地映画といっていい。 舞台は近くの三重県桑名市。 僕は近鉄電車で通勤。 主役である梓(黒木華)や恋人の澄人(中村蒼)が乗る電車と同じ名古屋本線。 それだけで親近感が湧く。 かつ、アナウンスで流れる桑名や弥冨は身近な駅。 普段、利用することはないが、いずれも酔って乗り過ごした時に降りた。 自慢するわけではないが、近しい存在なのは理解できるだろう。 どうでもいいか・・・。 本作はてっきり黒木華の泣いた笑ったの人間ドラマと思っていたが、そうではなかった。 いい意味で裏
白石和彌監督は東映のヤクザ映画や時代劇を相当リスペクトしていると思う。 東映のオープニングは70年代の映像じゃないかな。 100%東映らしい作品にあえて仕上げたと感じた。 かつて「十三人の刺客 」という作品があり2010年にもリメイク。 浪人たちを集め江戸時代後期の幕府に立ち向かう痛快な時代劇だった。 本作は明治維新の前、戊辰戦争を描く。 一昨年観た「峠 最後のサムライ」と同じ新潟が舞台。 本作が史実かどうかは知らない。 峠のような武士道的な美学はない。 白石監督らしい人
世の中知らないことが多い。 無知をさらけ出すのは恥ずかしいが、正直な気持ちを表現したい。 時々はドキュメンタリー作品に触れた方がいい。 僕は本作を通して世界的指揮者グスターボ・ドゥダメルという存在を知った。 この分野に関しては知識もセンスも持ち合わせていない。 ドゥダメルが振るう指揮で、彼はダメだししたり褒めたりするが違いは分からない。 同じように素晴らしい演奏に聞こえる。 観客はスタンディングオベーションで大絶賛するが、 それはドゥダメルの指揮による演奏が本当に良かった
テレビドラマシリーズの映画化を観ることは少ない。 「踊る大捜査線」の映画を観たのも多分、1~2本。 「踊る大捜査線 THE MOVIE」だけかもしれない。 記憶も曖昧。 ドラマも観ていない。 その程度の興味だったので、本作も観るつもりはなかった。 しかし、意外と評判は良い。 映画評論仲間からは「観ないと映画コラムニスト失格」という烙印を押された。 それを回避するために観ただけといっていい。 結論から言おう。 次作「室井慎次 生き続ける者」を早く観たいと思った。 テレビシリ
公開されて10日後に鑑賞(ブログはその12日後)。 映画を観ようかどうか迷うほど評価が分かれていた。 むしろ酷評が多い。 何をもって評価が低いかは映画を観れば理解できる。 純粋に前作「ジョーカー」と比較して評価と思われる。 「ジョーカー」は衝撃的で、2019年の映画界の話題をさらっていった。 その続編は主演のホアキン・フェニックスもトッド・フィリップス監督もメインスタッフも一緒。 自ずと期待値は高まる。 同じようなテイストの作品と想像するのが一般的。 予告編を観ながら僕も
周りの評判がいいので観ることにした作品。 「はじまりの日」に続き、ご当地映画。 舞台は愛知県一宮市。 一宮を中心に津島、稲沢、江南、岐阜県羽島あたりは尾州と呼ばれ、世界三大毛織物の産地。 今でも存在は変わらないが、その産業の現状は厳しい。 僕は営業時代(もう20年以上も前)、この地区を担当しいくつかのクライアントを抱えていた。 かつて取引のあった毛織関係の企業とは僕の時代にはほぼお付き合いはなし。 斜陽産業で正直、人材採用を積極的に行う企業は少なかった。 ただこの周辺はよ
生まれて初めて観たパキスタン映画。 描かれる世界が日本が舞台だとしても受け入れるのは簡単ではない。 理解は進みつつあるが、完全とは言い切れない。 それがパキスタンが舞台となると抵抗も強いだろう。 解説を読むと保守系団体の反発を受けて政府から上映禁止命令が出されたという。 何かといえばLGBTQに対する理解。 パキスタンの伝統や文化については無知だが、 家父長制の強い国だと映画から知ることはできる。 映画を通して外国の文化を知るのは重要。 特に最近は今まで公開のなかった海外
なんとも不思議な映画。 一体、どんなジャンルに該当するんだろうか。 ミュージカル映画、青春映画、社会派ドラマ・・・。 どれも当てはまるようで当てはまらない。 解説には音楽ファンタジーと書かれているが、それとも違うような気がする。 日比遊一監督はあえて外すことを狙っていると勘ぐってしまう。 日比監督とは3年前に直接話をする機会があった。 「ロケ地ツアーに行ってきた」でも紹介したように映画「名も無い日」のロケ地ツアーに参加し、 映画に関してのエピソードを伺った。 (あの時は当たり
シリーズ第4弾。 映画館じゃなくてネット配信で十分だと思っていた。 しかし、気持ちが抑えきれず、つい映画館に足を運んでしまった。 このシリーズのファンになってしまったのかも。 「犯罪都市」「犯罪都市 THE ROUNDUP」はAmazonプライムで鑑賞。 3作目の「犯罪都市 NO WAY OUT」はまだ観ていないが、日本公開は今年2月。 韓国の公開は昨年なので、2作目から本作までは毎年制作されている。 最大の人気シリーズ。 いつまで続くか楽しみにしたい。 シリーズ3本を観
最近、実話をベースにした映画ばかり観ているが、本作は違う。 いや、数年後、映画の世界が本当になったりして・・・。 さすがに勘弁してもらいたいが、あり得ないとは限らない。 アメリカが分断され、政府軍と政府から離脱した西部勢力との内戦が起こる。 そうならないとは限らないということ。 予告編を観ながら内戦を中心とした戦争映画と思っていた。 その要素はあるが、メインは戦場カメラマンらジャーナリストの視点。 大統領の取材のためにニューヨークからワシントンへの向かう旅が中心。 観方を
最近、海外作品は実話をベースにした映画を観ることが多い。 本作もそう。 「2度目のはなればなれ」のような気持ちが温まる作品ならいいが、そんな作品ばかりじゃない。 できれば目を背けたくなる作品も存在する。 むしろ辛い事実をこんな作品を通して理解するのが必要だったり。 15年前に観た坂本順治監督の「闇の子供たち」は衝撃的だった。 タイの裏社会で横行する人身売買などを描いた作品だが、 こんな事実があるのかと絶望的な気持ちになった。 「闇の子供たち」は実態をベースに制作されたフィクシ
今週末より公開。 初めてオンライン試写会で鑑賞。 とても便利なシステムだと思うが、やはり映画館で観たい。 決して文句は言わないけどね(笑)。 原題は「The Great Escaper」。 翻訳すると「偉大なる逃亡者」。 映画を観ると理解できるが日本語タイトルとは程遠い。 このタイトルに行きつくまで相当な議論もあったのだろう。 配給会社の努力も垣間見れる。 原題も邦題も映画を観ながら解釈するが、これでいいんじゃないかな。 本作は実話をベースに描いたヒューマンドラマ。 老
最近、「ぼくが~」で始まる映画が多い。 この1ヶ月でも「ぼくの家族と祖国の戦争」と「ぼくのお日さま」を鑑賞。 なぜ、漢字ではなく平仮名なのか。 柔らかい雰囲気を出すためか、ただの偶然か。 僕はブログではぼくでもボクでもなく僕だけどね。 それはどうでもいいか(笑)。 本作は評価が高いことと呉美保監督作品が気になり観ることに。 エンドロールで主人公と原作者が同じ名前と知り、最後の最後で実話だと認識。 確かにフィクションにはないグッと迫るものがあった。 耳のきこえない両親と耳
実に愛らしい作品。 映画を観ながらつい微笑んでしまった。 アイスダンスの練習シーン、 カップラーメンをリズムに合わせて食べるシーン、 氷の張った湖でじゃれ合うシーン、 どれも愛らしい。 ひたむきにスケートの練習に励むことが特別ではない。 当たり前に描かれる日常だが、 光が差すスケートリンクが幻想的に見えてしまう。 映像やフレームからして16ミリで撮影したのか。 手触り感が残る映像が観る者を優しくさせる。 小さな幸せを感じながら観ることができた。 時代設定は今の時代かと思