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初夏の風物詩。房州びわ2年越しの挑戦。

念願の川名さんのびわ体験。私にとって2年越しの挑戦でした。

以前、上司が引っ込み思案な私を「もっと外と交流してみよう」と誘ってくださったのが川名びわ園の体験でした。当時世界規模で広がった感染症の影響により体験は中止になり、結局のところ今日にいたるまで川名びわ園へ体験に行くことは叶いませんでした。今日、その時果たせなかった約束を2年越しに叶えられる。すでにそれだけ達成感が満ちていく気分で出発。

先程も述べたように、2年前の収穫体験は中止となり行くことが出来ませんでした。しかし行けなかったからこそ、自分を変える良いきっかけになった出来事に間違いないと思っています。このビワの収穫体験以来、工夫を凝らしてどうにか開催できた玉ねぎの収穫体験や他店舗での1日体験など、以前の自分ならきっと悩んで「自分なんか…」とどこか遠慮していたことを「ちょっとやってみてから考えよう」と変われた1年になったんです。

今回実際に参加して、もっと変われるそんな予感が勝手にしている私です。

実は自分の働いているお店で房州びわを直接販売したことがない私は、初対面でかなり緊張しての参加。川名さんを知っている先輩方は優しい方というが緊張がとける気配はありません。

いざ川名びわ園へ!

川名びわ園さんは、南房総市富浦町という場所にあり、それはだいたいそうだなぁ…例えばチーバくんの脛(すね)あたりの位置!というと、余計わかりづらい雰囲気になってしまいますので、下記にマップを表示しておきます。ご参照ください。

そして山に囲まれた川名びわ園さんは、それはそれは急な坂を上った先にあった。

「ここは車で登れるのか?」と不安になるくらいの急な坂。

そんなことを思いながら、坂を上って直売所の中に伺うと奥様の川名さんにお会いした。とてもお話上手の明るい方で、勝手に緊張していたのは自分だったのに、無駄な緊張でしかなかったので良かったです。

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体験に参加する全員が集合してから、今日の体験内容は以下の3工程を行いました。

  ①ハウスびわの収穫体験
  ②露地びわの畑見学、台風被害跡地見学
  ③びわ試食

本日の体験メニュー。

まずハウスの収穫体験へ。直売所からハウスへ行く道中に一株のきれいな花が咲いていた。これは「アマリリス」という花で、この花が咲くと露地びわの収穫時期なんだそう。ただの観賞用のお花でなくきちんと意味があるのだと川名さんが教えてくださった。

川名びわ園で栽培されているアマリリス

いざビニールハウスの中に入ると、樹が至る所に生い茂っていてちょっとびっくりしました。個人的に「ビニールハウス=野菜」なイメージがあり、背は低いけれど立派な樹が生い茂っている様はちょっとした探検気分になれたりします…!

外から見ても樹がぎっしりのビニールハウス。

川名さんは木々をスイスイくぐって前をいくが、なかなか早くておいて行かれてしまう。

「袋を破って中の実を確認してから収穫してみて。」

と川名さんに言われ、スタッフ一同おいしそうな実を探すも、中の実を傷つけないようにおいしそうなものを探すのはほとんど運試し。そして臆病な私は袋を破くのに結構な勇気がいりました・・・。

「えいやっ!」

心の中で気合をいれて、いざ破いてみると「んん?これは…?」暗くてわかりにくいですが実が青みがかった黄色をしている。直売所でみた鮮やかオレンジ色とは結構違う。

「これは採っていいモノかな?」と悩んでいると遠くの方から、

「青っぽいのはまだだからねー!」

と川名さんの必死な叫び声が聞こえた。なるほど、これはきっと採っちゃダメな実だと素人目でもわかる。それにこれは川名さんが大切に育てたびわ。一粒一粒が高級品だし、収穫にも危険を伴うから余計だ。

違うのを探していると「これおいしそうだよ!」と先輩が案内してくれました。

「本当だ!おいしそうなオレンジ色!」

これぞ房州びわです!と言わんばかりの実があった。

上の方に実っていたびわ。おいしそうだけど採れない…。

意外にも、びわの収穫は簡単。実と枝の境目らへんをポキッとまげると採れます。ただ、簡単なのは平地で樹の下のところだから。実際はハシゴや樹に上って収穫をしなければならないし、びわを傷つけないように運搬しなければならない。

ハウスの奥で作業していた方は、普段目にする機会がないであろう長さのハシゴの上で作業されながら、気さくに私たちに話しかけてくださいました。

私が逆の立場だったら、きっとお話なんてできない高さで、何なら下を向くのもちょっと難しいと考えてしまう。そんな高さで作業されるのはベテランさんだそう。若いころから川名さんのびわ園に勤めていらっしゃるだと川名さんと笑いながら教えてくださいました。アットホームな雰囲気に癒されるハウスびわ収穫体験でした。

収穫体験後は、裏の山に連れて行ってもらいました。山の入り口には、電気柵があった。じっと見ていると…

「それは、イノシシ用の電気柵よー。」

川名さんが教えてくれました。カラス以外にも、イノシシの被害もある。上からも下からも、美味しい房州びわは狙われてしまうのです。

電気柵をくぐった先には、開けたびわ畑。さらに坂道を上ると道を塞ぐように大きな樹々がたくさん倒れ、積み重なり到底この先に進むことはできなかった。

道を塞ぐ折れた樹々。

「なんなんですか。これは…」

見たことない風景に驚いていると、川名さんがボソッとした声で「台風でぜんぶ倒れちゃったのよ…」と教えてくれた。

それは、千葉県に住んでいれば忘れ難い記憶。令和元年9月に起きた台風被害でした。

まだ記憶に新しい房総半島の広い地域で被害にあった『令和元年房総半島台風』この川名びわ園にも、甚大なる被害がありました。山道を塞ぐように倒れた樹々。台風に耐えられず折れてしまったびわの樹。

「この上にはね、4反にもなる300坪ほどの広い畑があるの。あのときはどうしようって絶望しかなかったけど、今となっては規模を小する機会になったと思ってる…」

今だからと話してくださる川名さんのお顔をみて、なんだかしゃんとせねばという意識にかられる。それと同時に、もっと私達にできる事ってないのかなと、途端に自分の無力さを突き付けられた気分だった。

坂道を下りながら「今年は例を見ないほどの不作。」と、川名さんは教えてくれた。天候や気温の変化、害鳥被害や樹の老朽化など様々な要因が重なり合ってしまった2022年。中でもハウスびわは、3月の異常気象による気温上昇で高温障害になり、びわの表面に黒い斑点できてしまって商品として出せないものが多かったと言う事でした。

その中で外側に傷があったり、小さめの粒のものなどを食べさせていただけるビワを用意してくださっていた。もちろん表面に斑点ができるだけで、味は美味しいよ!と言う事だった。

高温障害で黒い斑点ができてしまった房州びわ。この後もちろんおいしく頂きました。

けれど何度も言いますが、ビワは高級品。

見た目も気をつけなければいけない。他にも露地びわでも袋をかぶせたびわが霜焼けてしまうなど、どうやって傷ついたのか落ちてしまったのか、実際に傷んでしまった実を見せていただきながら1つ1つ丁寧に教えてくださった。

今回の体験のためにわざわざ取ってきてくれたんだとか。収穫の時に指で果肉部分を持っても傷んでしまうとお話を聞き、びわは本当に繊細な果物なんだと改めて知る機会になりました。

高級品として扱われるびわは、見た目が悪いものはすぐはじかれてしまう。けど見た目が悪いだけで味はとってもおいしい。そういうものを川名びわ園ではジャムにしています。このジャムもまた美味しいんです!個人的にヨーグルトに入れて食べるのがオススメです♪

お話が終わった後は、待ちに待ったビワの試食!

試食という量ではないような、カゴにたくさん入ったビワの量に正直おどろいた。中のビワは見た目が悪かったり、実が小さかったりと訳ありなんですが、味は一級品。

皮を剥いたそばから果汁が滴り落ちてくる…!

大きめの粒より小さめの方が、味が濃く感じられるものもあったのが私としては発見でもあった。人生で食べるであろうビワを、1日で食べたようなそんな贅沢をさせていただいて念願叶った南房総のビワ収穫体験は無事に終了。

あっという間に終わってしまった体験に、どこか寂しい気持ちにもなってしまった。

千葉県民であってもなかなかできない体験。またちょっと、地元である千葉が好きになれた気がします。これからも体験についてお伝えしていきますので、引き続き応援の程よろしくお願いいたします!

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