スキルのいる訪問介護
介護人材不足の中で訪問介護が一際目立っております。
登録ヘルパーの場合の移動時間の無給であったり、高齢ヘルパーが多い為、勤務日数が少なかったり等が主な原因の一つとして挙げられています。
また、実際訪問介護も経験した私が思うに他人様の家に上がる事は介護の仕事プラスアルファのひと手間や神経を使うのも原因としてあるでしょう。
今回は訪問介護の人材不足の要因について私の経験を含めお伝えします。
1.実は求められるスキルは高い
訪問介護の仕事は家事支援と言って、買い物代行や同行、洗濯、掃除等家事もあります。
これらのスキルがある方々は活躍できるのは間違いがありませんが、それだけでは当然足りません。
見守り、身体介助、利用者の活気などの様子観察、コミュニケーション等様々な介護技術を要します。
つまりは求められるスキルが非常に高いのです。
1-1.現場で一人
働く前から分かり切った事ですが、心理的負担も1人だと強くなります。
他責も出来ないので、全て自己完結しなければなりません。
身体介助等する際はやはり施設のように他の職員を呼ぶことも出来ないので緊張が走ります。
又、正直、良い利用者さんばかりではないので、女性ヘルパー等に恐怖を与えてしまう方も中にはおります。
勿論事業所でそういった利用者さんは把握もしていますし、手順や方法、コミュニケーションの取り方などの指導もありますが、出来る事ならば外したい現場である事は間違いありません。
又、それとは別に私が実感したのは施設と違い、どうしても他人様の家にお邪魔するので、利用者さんによっては施設よりも横柄になりがちです。
実務的な事を言えば、掃除や調理等は込み入った事はしませんが、施設では誰かに一時的に手伝ってもらったり出来ますがそれも出来ません。
例えば急に不穏になってしまう高齢者の方というのは施設でも在宅でもおります。案外、別の介護士が話しかけると穏やかになったりする事も施設ではあるのですが、訪問介護の現場では通用しません。
『想像以上に掃除に時間が掛かったから、ちょっとお米だけAさん研いといて』等といった少しのヘルプも要請できません。
1-2.トラブル
トラブルがあった際、上長もしくは訪問介護事業所へホウレンソウするのが正解です。
しかし、小さなトラブルや利用者の状況で自己判断してしまいがちであったり、判断に迷う事が多々あります。結論から言えば小さな件でもホウレンソウはすべきですが。
例えば、掃除の範囲であったり、嗜好品の買い物であったりは介護保険外(自費)サービスとなりますが、『少しくらいなら良いか』となりがちです。私も実際そうでした。
又、身体的にも正直大した事のないように思える擦過傷や内出血なども自己判断してしまいがちでしょう。これなんかは最悪、家族から問い詰められてしまう事もあるのです。
入浴介助がなければ、発見すら出来ないので言い方は悪いですが、責任をある程度回避出来ます。それでも以上の際にぶつけたのではと疑われてしまえばそれまでですが。
2.生活支援に惑わされてはダメ
私も、訪問介護に慣れていくうちに、これは主婦等の家事を何年もやっている人達のが早いし、向いていると思いました。
《時間の有効活用の為に家に着いたらば、まず洗濯機を回して、お米を炊飯器にセットしてその間に掃除や布団を干す》
こんな感じで一生懸命やっていましたが、最初は本当に手際が悪いと良く言われておりました。買い物にしても安いものや、品定めのスキルでは熟練の主婦達には勝てません。
しかしながら、上でお伝えしたように実は訪問介護はかなり広範囲な介護技術が求められます。かなり厳しい言い方をすれば、生活支援だけのスキルでは壁にぶつかるか、職務に全うできないでしょう。
『嫌になった』の一言の中にはこの要素は入っているのではないでしょうか。
ヘルパーさん達の多くは中高年以上ですので、人生経験もあり、人間的なスキルとでも言うのでしょうか。磨きがかかっております。介護技術にも大いにそれは役立つのですが、やはり仕事です。そう簡単にはいきません。
入所施設と同じく、又はそれ以上に介護の知識、経験が必要でしょう。
繰り返しになりますが、訪問介護は介護技術の高いスキルを要する仕事です。
まとめ
訪問介護は在宅サービスとなるので、利用者さんによってはデイサービス等も併用されております。
私が、家族の代わりにデイサービス送迎者から降りてくる利用者さんの迎えに行くのです。そして家まで一緒に行く時に家族の目ではなく、近所の目がある事に気づかされました。
そのように基本的な所作も求められますし、結構スキルのいる仕事だと思いますよ!