介護士の職場の前に、入所施設は利用者さんの家だから
介護の入所施設でどうしても拭いきれない違和感というものがあります。利用者さんと主に介護士(従業員)の世界観のお話です。
住居と職場
介護の仕事の駆け出しの頃、余裕がなかったのか理由は忘れましたが、利用者さんの居室のドア(引き戸)をノックもしないで開けた事があります。
その時、それを見かねた他の男性利用者さんから『ノックぐらいしなさい!私達にとっては家だから』と注意を受けました。おっしゃる通りで、本人の居室というプライベートスペースにノックなしでドアを開けるのは失礼過ぎました。
家だから、職場だからノック云々はマナーの話なので良しとしますが、さすがに、他人のプライベートの空間に入る際はノックは必要ですね。
そして、この利用者さんのご指摘通り入所施設の利用者さん達にとっては家なのです。
介護士(従業員)にとっては職場なのは当たり前と言えばそれまでですが、この乖離がどこか違和感を生んでいるように感じずにはいられません。
出勤時に施設の外からくる事も、そうですし、退勤時に施設の外へ出る事もそうです。特に、何か頼まれごとをされた職員が『ごめんなさい、もう退勤なので、他の人に頼んでください』的な光景がまさにそれです。
何ともこの両者のフィールドの違いに違和感は当然あります。ナイトケアが終わり利用者さんが布団に入るのを見届けて、帰路に向かう時だけではなく、色々な時折で何とも言えない切なさを感じます。
通所介護では
通所介護でも同じような光景もあるかもしれませんが、不思議とこのような違和感はありません。なぜならば、デイサービスセンターは利用者さんの家ではないからです。
介護士と同じように利用者さんも自宅に帰るのである意味、近いフィールドにおります。違いは介護士にとっては職場であり、利用者さんにとってはサードプレイスである事でしょう。
この通所介護での介護士と利用者さんのフィールドの違いは世間一般のお店の店員と顧客との関係とほぼ一緒でしょう。
片方は仕事であるのに対して、片方は仕事ではなくプライベートであります。場所に関しても、職場とサードプレイスといったところでしょう。
これらの関係は日々生活の中で肌で感じておりますし、そこに違和感はありません。やはりお互い、自分の家ではないからでしょう。
共有スペースも
入所施設の食堂等の共有スペースに関しても住居空間である事には変わりありません。考えてみれば、そんな所で職員の会議をやる事もおかしいという見方が出来ます。
勿論、会議室がなかったり厳密には色々事情がありますが、予定を利用者さんに周知すべき事は確かでしょう。
例えば施設の視察などで、利用者さん達には何の周知もしないで、見た事のない来客が自分達の生活空間をうろうろしているなんて事はあってはなりません。
あくまでも利用者さんの住居スペースという事を頭の片隅に入れるだけでもそのような事に気付く事ができます。
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