ランニングでふくらはぎが痛くなった原因追求と実際の施術③
原因はわかったから何をすればいいのか教えて、の前に
前回までの内容
前回、前々回でふくらはぎの痛みの原因の鑑別、そのまた原因について書きました。まだお読みでない方は初めから読んでいただくことをお勧めします。
先に前回までの内容を読んでほしい理由
実際にどういった施術をするのか、どういったテーピングをしたのか、ということに関してはこのnoteで書きますが、「ふくらはぎの痛み=このケア」のように短絡的に捉えると問題が起こることがたまーにあります。
ふくらはぎに関しては大体やることは一緒なんですが、腰痛の場合はアプローチが人によって真逆なことが多々あります。
「腰痛の時は〇〇をほぐせ!」などわかりやすいキャッチコピーを鵜呑みにすると一定数は改善すると思いますが、一部痛みが増強することがあります。
カラダの素人が話すことならまだしも、本職の人間からするとそれはあってはならないこと。フォロワーを増やすために甘いわかりやすい言葉を使うことで痛みを増強させる人が出てはいけません。
なのでその間違いが起きないようにこのふくらはぎ3部作をご自身のケアの参考にされる方はまず1つ目から読んでから実践してほしいです。
正しく原因を確認してから対処する。普通の問題解決の手順と同じです。
実際にやったこと
行ったのは8つ
今回は対クライアントへの施術ではなく、自分自身へのアプローチなのでセルフケアのみを書きます。自分ではできないこともありますのでそれは割愛しています。
以上の8つです。1つずつ書いていきますね。
⑴マッサージ(トリガーポイント療法)
まずはマッサージ。指で押します。
ふくらはぎの筋の硬結が直接的な痛みの原因なのでそれをなくします。
自分で押す場合、体重が乗りづらいのでやりにくいですができないことはない。
ぐりぐり押す、と言うよりかは硬結(筋繊維)に対して垂直に押し5〜20秒くらい持続的な圧迫を加えるようなやり方が基本です。持続圧迫によって筋繊維がだんだんと緩んできますし、ぐりぐりやるよりも愛護的です。
ぐりぐりやる方が刺激が強いので効果は高いですが筋繊維の微小損傷や問題ない部分までダメージを負うこともあるのでケースバイケースで使い分けます。
自分でやる時もぐりぐりより、ジワーっと押し続けるやり方をオススメします。
「響く」感覚がある部分を入念に。硬い部分はアキレス腱みたいな硬さがあるので結構わかりやすいですね。
細かい話をすると後脛骨筋等もほぐすんですが一般的にはやや難しいので割愛。まずはヒラメ筋をほぐしましょう。
⑵マッサージ(電動マッサージ機・テニスボール)
体重が乗せられないので指を酷使してしまいます。結構疲れるので道具をうまく使いましょう。楽に目的を達成することができれば越したことはありません。
電動マッサージ機はいろいろなメーカーから販売されていますが当院で使っているのはHyperice社のもの。コンパクトな電動マッサージ機の走りのメーカーです。
ガンタイプはそのまま手に持ってふくらはぎに。ボールタイプは上向きで寝た状態でふくらはぎの下に置くようにして使いました。
個人的には自分1人でセルフケアに使うならボールタイプがオススメです。
ガンタイプはそこそこ重くて持つのが疲れるので。リラックスするのであればなるべく全身の緊張が緩んでいた方が効果が高いので。
誰かにやってもらう場合はガンタイプは良いですね。先端のアタッチメントが変えられるのでボールでは届かない部位もアプローチできます。
価格の差はあれど正直、どこのメーカーのものでもちゃんと使えば(使い続ければ)効果が出ます。大事なのはどこにどういった角度で何を目的として使うか、ですので。
電動マッサージ機は一家に一台置いてほしい製品ではありますがそこまでコストがかけられないよー、という方もいるのでテニスボールで代用します。
テニスボールを太ももの裏とふくらはぎで挟むように正座をします。自分の体重を使ったマッサージですね。結構強烈なのでクッションを挟んだり調整して行ってください。
また、足底から腓腹筋(ふくらはぎのもう一つの筋肉)にかけて筋膜がつながっています。表面的にでもふくらはぎ全体が緩んだ方が血流量の増加が見込めるのでテニスボールで足裏をほぐします。
できる方はゴルフボールなど小さく硬いものでほぐしてください。かなり強烈ですが。これも硬いところを一点集中・持続圧迫。
痛みのある部位の上下は特に注視することはクライアントへの施術時も大事にしています。
⑶ストレッチ(スタティック・ダイナミック)
筋繊維がある程度緩んだら伸ばしてあげると良いですね。
緩む=繊維間の結合がとれている、ことでもあるので正しい配列にしてあげると良い。伸縮性、大事。
なのでストレッチをしますが2種類行いました。
まずはスタティック(静的)ストレッチ。いわゆる、ジワーっと伸ばす一般的なやつです。
ヒラメ筋を伸ばすのでこんな体勢です。
ポイントはつま先の角度。距骨の解剖学的構造を考慮する必要があります。
ダイナミック(動的)ストレッチは動いて筋繊維を伸び縮みさせること。
普通の運動とやっていることは変わりませんがあくまでストレッチなので同一動作を繰り返します。
動きはこんな感じ。
膝を曲げてカーフレイズ動作をリズム良く繰り返すだけです。
原因の大元が体幹の動きの小ささ、という点を前回のnoteでも書きました。
なので体幹も大きく動かします。
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筋膜の連結を踏まえてもヒラメ筋だけではなく体幹部含めた全身を伸び縮みさせた方が効果が上がります。単純に血流量が増えますし、走動作が正しくなりますからね。局所の痛みでも全身を診る必要があります。
⑷電子温灸
あまり一般的ではありませんがこれ、いいんですよ。
硬結は筋繊維が縮んでいる状態です。なので繊維間に血液が流れづらい。全身へ熱を送るのは血液なので基本的に硬結(コリ)=冷えている、と考えます。
※冷え性の方が筋肉の硬結が起きやすい理由
なので温めると良いです。使い捨てカイロでも良いですし、全身温めるなら温泉とか良いですね。天然温泉なら有用なミネラルが皮膚吸収されますからさらに良い。
局所の改善というよりかは日常生活含めた全体のケアになりますね。
ちなみに
今回は局所の硬さ、しかも深部のヒラメ筋の硬さなので電子温灸が最適。
これを硬結がある部分に当てます。肌に直接は結構熱いので当て布をするか枇杷の葉を当てて行いました。枇杷の葉療法に関しては割愛。効果ありますけどね。
兎にも角にも温めたら改善が早まる症状なのでとにかく温めます。私は鍼灸師ではないのでもぐさを使ったお灸はできません。
せんねん灸ならお家で誰でもできるのたまに使います。
電子温灸を導入してからほぼ出番がなくなっていますが・・・
⑸フロッシング
数年前から知っていましたが改めて導入。これも良いですね。
簡単に説明すると「加圧トレーニングの治療版」のバンドです。これを引っ張りながらふくらはぎに巻き、巻いた状態で動きます。
自分で動く、のがポイント。圧迫が加わった状態で動くことでセルフ筋膜リリースのような効果が出ます。
大体2,3分巻きながら動いたらおしまい。外した時の開放感がたまりません。
今回はヒラメ筋という深部の問題だったので強い効果があったわけではありませんが、先日参加した8時間耐久ナイトランイベント後にリカバリーとして使用したらかなり良い。表面的な疲労回復や癒着軽減にはかなり効果的です。
当院では胸郭の動き向上に使ったり、股関節の不安定性改善に使ったりと何かと出番が増えてます。
⑹テーピング(丸テープ)
ここからはケアでもあり、いざ走る前に行ったことを書いていきます。
ランニングをされている方なら一度は見たこと、貼ったことのある丸テープ。
これも当院で使います。
「本当に効果あるのかよー」と思われる方も多い製品。理論上皮膚刺激を与えること(皮膚を持ち上げて皮下組織との隙間を作る)で局所の血流量を増加させることは認められています。悪くなることはありません。ですが結構「丸テープに対する捉え方」と「貼るシチュエーション」でかなり効果が変わります。つまり信じるものは救われる、ってやつです。
鍼灸やマッサージも全て同じですがそもそも信用していない人に対しては効果が出づらいという研究結果が出ているようです。否定的な意識は本人を苦しめる、ということです。なので「丸テープを貼ると超調子良くなるよ!」という情報を鵜呑みにした方が結果本当に調子が良かったりします。人間面白いものですね。
で、シチュエーションに関しては1枚ペタッと貼って動いてみたらなんか楽な感じがする、貼ってくれた治療家やスポーツトレーナーとの信頼関係ができているなど人や状況によって効果はかなり変わります。
症状を悪化させるほどの皮膚に刺激を与えるわけではないので貼っといて悪いことはないですよ。
ちなみに100均の類似品でもそれなりに効果が出ます。皮膚に刺激が入るのは同じなので(ナイショですよ)
⑺テーピング(通常)
丸テープと同じように皮膚に貼りますがこっちの方が効果がわかりやすい。
関節を跨いで貼れるので関節運動の促進や筋収縮の補助など色々とサポートできます。しかし、貼る範囲が広いため症状に合わない間違った貼り方をすると逆効果になることもあります。やはり何事も使い方が大事なんですね。
今回はヒラメ筋の硬結に対してのテーピングなのでこんな感じで貼りました。
自分で綺麗に貼るのはなかなか難しいですが貼り方さえ間違えていなければ効果は出るので問題なし。
表面的な皮膚の緩みが欲しかったので貼る時は緩めにテープのシワと共に表皮が持ち上がるようにしてます。
これもバッチリ効きました。安心感が違います。この安心「感」という感覚も大事です。何でもかんでも解剖生理学に則る事が優先事項ではなく、体感とのバランスが大事です。バランスが大事なのは人間関係も同じですよね。
⑻トレイルランニング(実走)
最後に実際に主催企画で走りました。15kmほどのトレイルランニング。本当は30kmの予定でしたが参加者が当院クライアント1名だったのと短縮に承諾いただいたので半分の距離になりました。
実際に走ることをそのまま回復に繋げるなら舗装路よりもトレイルをおすすめします。(特に登り)
山を登る動作は瞬間的な衝撃が少なく、足首の動きが大きいので結果ストレッチになります。アクティブリカバリーです。ただ、症状によっては長い山行は負担にもなるので調整が必要ですが。
結果的には良好。痛みが出ることなく下りも楽しんできました。
このトレイルランニングの2週間後に走った夜間の8時間耐久トレイルランニングイベントでも問題なく完走。完治と言っても問題ないでしょう。
自分でもやれることはたくさんある
「回復」時間を設けること
書いた通り、症状改善のためにやれることはたくさんあります。
これは読者の皆さん(一般の方)であっても同じです。ですが、「どこがどう悪くなっているかわからないので何をすればいいかわからない」ということが一番の問題。
これを逆にいうと「原因さえわかれば自分で対処できる」です。
もちろん全てが全て対処できるわけでもありませんし、人に身体を委ねる心地良さもあるので何でもかんでも自分でやれ!というわけではありません。(僕自身リラクゼーションマッサージを受けるとすぐ寝ます)
今回のようなはっきりした痛みに関しては信頼できる専門家と原因を突き止めた上で自分でできる範囲のことを時間を作って行うのをおすすめします。
セルフケアしかり、治療を受けに行くことしかり。
セルフケア自身は別段楽しいものではありませんが、楽しい運動をする準備だと思ってぜひ積極的に行ってほしいです。(運動やスポーツを楽しんでいる自分をイメージして)
当院のオススメギアリスト
noteに添付した製品はAmazonで購入できます。実際に山本が公私問わず使っている信頼している製品です。
他にもサプリメントなど色々載せているので見てみてくださいね。(不定期更新)
最後に
気取らないグローカルセラピスト
言い方は悪いですが、信頼できるセラピストや専門家を便利グッズみたいに使うことをオススメします。
何か身体に不具合があればとりあえず行く、問題がなければそれで安心しますし問題が見つかればその場で対処。どっちに転んでも悪いことはありません。
かなり使える健康便利グッズです。
これは既に存在して、かかりつけ医や昔ながらの町医者がそれです。人間臭さの残った医療従事者。きらびやかな都心の立派なクリニックの容姿端麗なイケイケ医師よりも人としてのコミュニケーションが取れるちょっと汚い診療所で若干赤ら顔なベテランおじさん医師(でも腕は確か)。そんなのがこれからの時代、大事になってくると思います。
こうやってオンラインで色々と伝えることができるので高尾山の麓で細々と看板も出さずに個人整体院を営んでいても遠方から来てもらえる良い時代です。
やはり何事もモノは使いようですね。
クライアントが国内だろうが海外だろうが頼ってきてくれたらそれはもうローカルの一員。分け隔てなく粛々とやるべきこと、治すべき人を治す。それだけです。
追記
栄養アプローチを書き忘れたので次回少しだけ書きます。3部作で終わらせるつもりだったのに・・・
もう少しだけお付き合いください。