精神的健康のなりたち
観音整体が提唱する「健全学」では、健全=統合的健康を形作るための要因として、「身体的健康」「精神的健康」「社会環境」「自然環境」の4つを挙げています。
前回までの章では、そのうち「身体的健康」のなりたちを4つの要素に分けて紹介してきました。
姿勢、休養、栄養そして運動です。
これら4つの要素は、それぞれ外的(姿勢)、内的(栄養)、静的(休養)、動的(運動)という、からだの4つの側面から見た健康観を表しています。
【外―内】という軸と【静―動】という2つの軸が、互いに直交してできるMatrixマトリクスの中心に身体的健康状態が位置する、という考えに基づいています。
Matrixとは、ラテン語で子宮を表す言葉を語源とし、なにかを「生み出すもの」を意味します。
日本語でMatrixは「基質」「基盤」などと訳されますが、身体的健康を生み出す基盤をこれら4つの要素が作り出しているわけです。
では「精神的健康」のなりたちを考えた時、それを生み出す基盤となる要素には何があるでしょう?
いろいろな考え方ができると思いますが、観音整体では次の4つの要素を当てはめたいと思います。
外的要素:創造 creation
内的要素:融合 integration
静的要素:瞑想 meditation
動的要素:直観 intuition
身体的健康の要素と比べると、抽象的な言葉が多くなりますが、それはからだとこころの性質に本質的な違いがあるためです。
からだの健康や不調は本人からも他人からもわかりやすく、検査の数値からも判断できますが、こころの健康や不調は表面的にはっきりとは表れず、判断基準も曖昧です。
からだの状態の良し悪しは目で見て判断することが可能ですが、こころの状態の良し悪しは言葉や行動を通してでなければ判断できません。
からだは具象的で五感による感応の世界に存在しますが、こころは抽象的で五感では感知できない「意識」の世界にあるためです。
とは言ってもからだとこころとが相互に深く関係し合っていることは、誰もが思い当たるところだと思います。
からだの病気や不調は、こころの状態を陰鬱にしますし、こころが病めば、からだに病気や不調が表れます。
からだの調子が良い時は、こころもウキウキし、こころが安定している時は、からだのパフォーマンスも上がります。
からだの状態を診ることで、目には見えないこころの状態を判断するためのヒントが得られ、それを改善させることも可能になるのです。
観音整体ラボの「観音」は、もともとSound Watchサウンドウオッチの当て字で、「響き合うからだとこころの、全き状態を見守り看護する」という意味が込められています。
Soundは、響き・健やか・健康・健全・健在・壮健・全き・・・
Watchは、観る・見守る・世話する・看護する・気を付ける・・・
からだを整えるための施術を通して、こころの本質的な健やかさを観じたい、自ら観じていただきたいと願い、こう命名しました。
からだ以上に細やかで精妙な仕組みが、こころには備わっています。
それはからだが存在している4次元時空の感覚では捉えきれない高次元の世界に、こころの本体があるからではないでしょうか?
からだは伝統的な科学的研究の対象となり得ますが、こころは科学というより哲学やアートの対象として考えた方が、その本質により近づけるものと思われます。
そのためこの章では、精神的健康について解明していくというよりも、全体を構成する各要素についての叙述を通して、ナラティブにひとつひとつ理解を深めていきたいと思います。
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