見出し画像

野田樹潤(Juju)の参戦は成功か?

はじめに:おことわりもこめて

2024年のスーパーフォーミュラにとって、特大の衝撃をもたらした野田樹潤(以下、Juju)。

彼女の参戦が明らかになってからSNS上も含め、各所で賛否両論を巻き起こしている。

今回は彼女にスポットを当てて、Jujuの参戦は成功か否か、Jujuの将来などを考えて行こうと思う。

先に断っておくが、本記事は決してJuju本人を侮辱したり誹謗中傷をして貶めることを一切、目的としていない。
彼女のこれからのドライバー人生をより輝かしいものになるのかどうかを、筆者の考えも含めて総合的に記すものであって、誹謗中傷は断じて許容されるものではない。
その点を必ず留意し、本記事を楽しんでもらいたい。


⑴Jujuとは何者か

スーパーフォーミュラの参戦発表で、Jujuが何者かわからない、初めて知ったという人も多いだろう。
本項ではJujuの経歴を中心に掲載する。

野田樹潤(通称Juju)、2008年2月生まれの18歳。
東京都出身、岡山県育ちの女性である。

F1の参戦経歴を持つ、父・野田秀樹の次女にあたり、モータースポーツ参戦に至って、父のサポートを受けている。

3歳からレースカートを乗り始め、4歳でモータースポーツデビュー。
6歳からレースカートの上位クラスで勝利を収めており、速さには定評があった。(この時、レース規定上の最低年齢に満たしていなかったが、特例での参戦が認められていた)
9歳で当時のFIA-F4仕様のフォーミュラマシンを乗り始め、10歳時点で当時の現役ドライバーと遜色ないタイムを記録し、非凡な才能を示した。

2017年、11歳でフォーミュラU17チャレンジカップ(F4相当)に初参戦し、翌年には同シリーズのF3マシンクラスへ転向。
2019年までに出場したレース11戦中、全てで勝利を飾っている。

2020年、さらなるステップアップを目指しデンマークF4選手権に参戦することとなり、活動拠点を海外へ移した。
この時、日本国内のカテゴリーでは当時の年齢(14歳)をクリアすることが出来ず、模索した中で唯一クリア可能だったのがデンマークF4であった。
また、この時の開幕戦をポールトゥウィンで制したことで大きな話題を呼んだ。
新型コロナの影響もあって、レース数の縮小や場所を変えての最終ラウンドの開催も直前で中止されたことで、この年のランキングは6位と彼女自身も不完全燃焼で終了することとなった。
しかし、開催されたレースは全てでポールポジションを獲得する速さを示した。

2021年、15歳になったJujuはアメリカF4選手権の参戦を表明し、F1でウィリアムズをスポンサードしていたROKiTと育成契約を結んだが、開幕戦の予選直前に参戦を取り辞め、昨年参戦していたデンマークF4での参戦を継続する運びとなった。
Juju本人の負担や多岐にわたる問題の未解決など様々な課題が浮き彫りになったと言われている。
この年の結果は、型落ちマシンで参戦したことも相まって1勝することすら叶わず、燃料系トラブルを中心に慢性的に発生しており、ランキング7位で終了。
Jujuは「総合力が無ければ速さでは勝てない」と痛感し、大きな組織やチームへのステップアップを希望することになる。

2022年、女性ドライバー限定のフォーミュラ選手権であったWシリーズに参戦、第6戦では9位フィニッシュを飾り、初ポイントを獲得するも、シーズン途中で財政難で残ったレースの打ち切りが決まった。
その後、来シーズン開催へと運営は働きかけるも経営破綻が決まり、シリーズそのものが消滅する悲劇が起きた。
その他、オーストリアやイタリアなどヨーロッパのカテゴリーを中心にスポット参戦をしており、この年のWシリーズのドライバー・オブ・ザ・イヤーや第5回服部真二スポーツ賞ライジングスターを受賞している。

2023年、ユーロフォーミュラ・オープンに参戦し、第4戦では初勝利を収めるも、シーズン途中でのレギュレーション改定が複数回発生したことによりシーズン後半のレースをキャンセルすることとなった。
その他、昨年から参戦していたオーストリアやイタリアのカテゴリーに継続参戦したり、BOSS GPへスポット参戦を果たしている。
この年のオーストリアのカテゴリーではシリーズ2位、イタリアのカテゴリーではシリーズチャンピオンを獲得している。

2024年は先述の通りTGM Grand Prixからスーパーフォーミュラ参戦が発表された他、昨年スポット参戦したBOSS GPへフル参戦することが発表された。
また、4月から日本大学スポーツ科学部へ進学することが公表された。

という感じで、長々とはなってしまったが、以上がJujuの経歴である。

ここからは、Jujuのスーパーフォーミュラ参戦で話題になっていることや彼女が抱える問題について触れていく。

⑵Jujuのスーパーフォーミュラ参戦で話題になっていること

①父・野田秀樹の存在

前項で記した通り、Jujuは父・秀樹が監督・運営をするNODAレーシングに所属する形でサポートを受けており、文字通りF1に参戦経歴を持つ父から受ける英才教育である。

秀樹からのサポートにより、これまでの結果を生んできていると言っても過言ではないだろう。

そんな父・秀樹ではあるが、SNS上では話題に上がってきている傾向がある。

それは「Jujuに対してあまりにも過保護すぎないか」ということである。

というのも、Jujuのマシンを担当するエンジニアやレースストラテジストら、チーム関係者とJujuがマシンセッティングなどの話やアドバイスを受けているときに、わざわざ近寄ってはチーム関係者とJujuを引き離し、「俺の方がアドバイスや指示は的確だ」と言うようなそぶりを見せている。

実際にSNS上で動画として挙がってきており、筆者自身も確認したが、チームスポーツであるモータースポーツから離れたような行為のように感じた。

また、近頃話題になっている「SNSでのブロック祭り」。
主にX(旧Twitter)上にてJujuの公式アカウントから、ここ数日頻繁に行われており多くのユーザーがブロックされている。
筆者はかろうじてブロックはされていないが、これを機にブロックされるのではないだろうかと感じている。(何なら訴訟問題にもなりかねない可能性もあるかもしれない・・・)
また、公式アカウント上で「uju公式SNS系において不適切なコメントやなりすまし、嫌がらせ等を監視しております。」と声明を出している。

このブロック祭りが仮にSNSの運営も含めてJuju本人ではなく、秀樹が主導で行っていてこの話題も秀樹が指示していると仮定した場合、それは行き過ぎているのではないだろうか。
特に筆者が気になっているのはブロックの基準である。
先日行われた鈴鹿での公式テストで、マシンパワーに翻弄されクラッシュしてしまったシーンの映像や画像を載せるだけで、その対象となってしまったり、「こうなればJujuも戦いやすくなるのではないか」といった希望的な内容を書いていてもその対象になっている。
本当に意味不明である。

こういった行為を見聞きしてきた中で初めは「単なる親ばかなのか自衛のためか」と思っていたが、「完全なる過保護」と段々印象が変わってきてしまった。
本人らの行動が世間からどう見られようが思われようが、何かしらの悪影響が無ければ、それで問題ないと筆者は思うが行き過ぎた過保護は世間からの印象を悪くするだけではなく、Jujuにとってもこれからの将来を父の手で狭めてしまう結果にも最悪なりかねない。

②まとわりつくヤツらの存在

単刀直入に、「まとわりつくヤツら」とは「オジ様」である。

単に、Jujuというドライバー・キャラクターが好きで応援しているとかであるならまだ良い。

しかし、所謂「おじさん構文」の使い手は、その反中を逸脱していることが多い。

統計的にも「日本はロ〇〇ン国家」と言われるように、Jujuの年齢や容姿、キャラクターが「オジ様」の恰好のマトなのだ。(これは少し言い過ぎかと思うが)
どのような手を使って彼女に近づいてくるのか、全くわからないから恐ろしいのだ。

スーパーフォーミュラを運営するJRPの会長を務める近藤真彦氏は、2月に行われたプレスカンファレンスにて「にわかファンを昨年以上に増やす」ということを目標にかかげている。
が、そのような危険思想をもった「オジ様」がサーキットやそのほかの場所で行き過ぎた行為に走る可能性も捨てきれない。
また、サーキット内における盗難事件等も多発しているため、私物盗難ということもあり得るだろう。

また、「カメコ」の存在もやっかいになる可能性もある。
カメコは東京オートサロンやジャパンモビリティショーといったイベントで登場するレースクイーンやコンパニオンの女性のみをターゲットにし、車に一切興味を示さない男のことを指すが、サーキットの場合、盗撮の危険性がある。
サーキット内では関係者しか立ち入ることができないエリアがはっきりしているため、盗撮に会うことは少ないと思うが、なりすましや侵入によって犯行に及ぶことも捨てきれない。

かなり考えすぎな部分もあるかもしれないが、筆者の個人的な見解を述べるのであるなら、正統的なファンとそうでないヤツをはっきりと選別することが重要ではないかと考える。
先述のブロック祭りのように見境なくフィルターを付けるのではなく、自分の身に危険が及ぶ可能性があるもののみをしっかりと遠ざけることで少しでも自身を守ることにつながるのだ。

③Jujuの経験値

はっきり言うと、トップカテゴリーマシンへの経験値がほとんど無い。

彼女自身、これまで戦ってきたカテゴリーは下位カテゴリーに属する。
経歴をしっかりと調べるまでは、名前すら知らないカテゴリーが多くあった。

つまりそれは、「中間カテゴリーの経験無く、トップカテゴリーに飛び込んだ」ということであるのだ。

それは何を意味しているのかというと、「マシンを制御できない危険性」が大いに孕んでいるということだ。

先日の鈴鹿でのテストでも、雨が降ったウエットであるなどの条件が様々あるが、マシンを扱いきれずスピンやクラッシュを何度も起こし赤旗の一因になってしまったということがあった。

また、テスト中のタイムも3秒落ちの21番手や9秒落ちの18番手と、環境が様々であったが、トップとの差が1~2秒以内の世界でそのタイムはかなり無理があるとしか言えない様なタイムばかりを記録していた。

2020年にタチアナ・カルデロンというWECでも活躍している女性ドライバーが参戦していたことがあったが、GP3(現・FIA-F3)やF2で経験を積んでから来日している。

そのような「中間ステータス」が無いからマシンをしっかり扱えていない、ゆくゆくは最低重量規定や年齢規程の猶予に走るしかできないのだろう。

Jujuのスケジュールや身体状態とそれに合うカテゴリー

Jujuは4月から日本大学へ進学することを既に公表しているが、果たして参戦するカテゴリーのスケジュールと照らし合わせたのだろうかという疑問がある。

スーパーフォーミュラの場合、シーズン中3回のテストと9ラウンドに渡るレースの計12回のカレンダーが発表されており、Jujuはいずれにも参加すると思われる。

しかし、海外カテゴリーであるBOSS GPも参戦することになっており、そちらのレースに合わせて渡航することになるだろう。

ただでさえトップカテゴリーのドライバーはシーズン中、過労を極める。
そこに海外渡航が加わると、スケジュールは半分近くかそれ以上は埋まっていくだろう。

いくら大学はオンライン授業も導入し、対面授業も並行して行われているとはいえ、かなりキツイと筆者は思う。

これは筆者の大学在学中の日々のスケジュールを基に考えているが、大学は124単位以上で卒業可能ということは読者の皆さんも周知の事実だろう。

日々の講義に課題や必修科目が加わり、そこにアルバイトや就活などが加わるとオーバーヒート状態になる。(特に筆者がそうだった)

Jujuの場合、アルバイトや就活が含まれない分、そこにレース活動が当てはまるので、かなりの過密スケジュールになる。
並の人間ならこのハードスケジュールはこなすことは難しいだろう。

スポーツ選手ということで、大学側からはある程度の猶予が与えられている可能性はあるとはいえ、これは本人にとっても身を壊す可能性がある。
最終的には大学中退を考えなければならない場合もある。

そこで筆者は、「大学を卒業してから復帰しても遅くないのでは?」と考える。
もしくは、大学卒業単位の124単位を必修科目も全て含めて、早期の内に取得してしまい、3年次以降から復帰するという手もある。

TEAM IMPULで監督を務める星野一樹氏は、大学卒業後にモータースポーツへ入門している。
これは父・星野一義氏の意向と一樹氏の父の反対を押し切った行動が含まれているが、しっかりと学業に打ち込み、そこからしっかり切り替え集中したことでこれまでの戦績・経験が刻まれている。

野球やサッカーといったメジャースポーツでも大学などの学業と両立させた選手は多い。
しかし大学へ進んだ選手でも学業などで苦しみ中退への進路を取った人も数知れない。

また話は少しずれるかもしれないが、スーパーフォーミュラ参戦がチームへのペイやフィーがらみだという見方が良く見られるが、仮にその資金が参戦1年で尽きたり打ち止められたりして、来年以降の参戦が出来ないといった場合、その後の進路はかなり難しいものになる。
そこに合わせて1年の成績もガタガタ・・・となると次に戦いたいカテゴリーも戦うことすら叶わなくなる。

1年で辞めたとしても、日本の場合は「KYOJO CUP」という女性ドライバー限定のカテゴリーが存在する。
そこで1年なり複数年なり修行した上でスーパー耐久やFIA-F3などへと進んでいけば良いだろう。
そうすれば、Jujuにとっても経験値がさらに蓄えられる。
大学との両立も少しは楽にもなるだろう。

この、KYOJO CUPの良いところというのはWシリーズのように女性ドライバー限定のカテゴリーに付け加え、VITA-01と呼ばれる特殊なマシンを使用する。
エンジンはトヨタヴィッツに搭載されているものを使用し、ボディは頭だけが出るような形状をしている。(ル・マンに出場したアウディR10 TDIに形状が似ていると例えれば良いか・・・)

シーズンも全5大会6戦と少なく、今年はスーパーフォーミュラでの併催も第2戦・第3戦で行われる。
周回数も15周程度とどのカテゴリーよりも最も少ない。

身体などの状態も考えるとそれが一番最適解であると筆者は考える。

最後に:Jujuの将来への希望と天望

ここまでJujuに対して散々書き記したが、スーパーフォーミュラにとってJuju参戦はあながち失敗でもないと筆者は思う。

Juju参戦で、様々なファン層が注目し、その活躍を一目見ようとサーキットや中継放送に赴いたわけだ。
彼女のキャラクター性が多くの人を取り込み、ワッと歓声を上げることで、JRP会長の目指す「にわかファンを取り込む」ことができるのではないだろうか。

そんな、今後が楽しみでしかないJujuだが、スーパーフォーミュラを経験してからはどのような進路を決めていくのだろうか。
筆者は、ハコ車にも興味がわき始めるのではないかと思う。
スーパーフォーミュラはSUPERGTにも参戦しているドライバーがほとんどである。
ホンダやトヨタのドライバーと交流があった時には、その話をするかもしれない。
そうすれば、R Q'sの小山美姫と共にコンビを組んで女性ドライバーチームとして名を馳せるかもしれない。

モータースポーツは「全ては経験と結果」であると筆者は考えている。

彼女はこれからの長いモータースポーツ人生をどのように謳歌していくのか。

これからが非常に楽しみなドライバーの一人である。

いいなと思ったら応援しよう!