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作業療法って、一体全体何をするのだろうか?
今年8年目になった作業療法士であり、齢30を今度迎える私は、ある日からわからなくなった。
「作業療法とは一体何をするのだろうか?」
私はいわゆる発達領域に属する作業療法士である。
毎日、いろんな子ども、家族、保育士、先生、時には大人のクライアントにも出会う。
一時は迷いがなかった。
クライアント中心と叫ばれ、クライアントと共に目標を決め、目標の達成に向けて、評価・解釈を組み、プログラムを進めていく。
実にシンプルで、一直線で、わかりやすかった。
病院や事業所の中であればそれでよかったのかもしれない。
クライアントはただ、その場を訪れ、帰っていく、いずれは利用が終了し別れていくだけの関係性だ。
目標を達成し、よかった、嬉しい、さようならということが成り立っていた。
しかし、ある時に気がついてしまった。
「目標の達成はあっても、死ぬ最後の一瞬まで、人生は長く長くひたすらに続いていく」のだと
そう思ってからは、一気に迷い始めた。
目標を決める、専門家らしく評価をする、解釈し、プログラムを進行させる。
そのことが相手の人生にとってどれほどの意味と価値を持つのだろう?
個別に作成する計画の上では、順調に進んでいくかもしれない。
しかし、それはクライアントの生活のごくごく、本当に一面にも満たない、わずかな話でしかない。
地域での生活、時間と空間が混在する、膨大な文脈の中で目標を決め進めていくことにどれだけの意味と価値があるのか?
作業療法を行う意味は?
作業療法を行う価値は?
何を持って成果とするのか?
何を目指していくべきなのか?
「一体作業療法は何をするのだろうか?」
中堅と言われる経験年数に達しているが、新人の頃以上に作業療法がわからなくなった。
作業療法が作業療法としての意味と価値を渡せるように
クライアントの長い長い人生にわたって、支えになるような
そんな作業療法を創るために
このノートを綴っていこうと思う。