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脳みそが同時に処理できる情報量なんてたいしたことないんだから、という話。


こんにちは!山野靖博です!


『天保十二年のシェイクスピア』が終わって、すぐさま『TARRYTOWN』の稽古期間に突入した。

集まってくれている人がみんなクリエイティブで、驚きと発見の絶えない稽古場で非常に嬉しく楽しい。

ところで我々演劇を仕事にしている人間は、明日の生活の保証がない代わりに、決まるときには先々のスケジュールもトントンと埋まってしまう。

すごい人になると、5年先まで予定がギッチギチというのも聞いたことがあるが、さすがに僕はそこまではいかない。そこまではいかないが、それでもポツポツと再来年ぐらいまでの問い合わせがある。


芝居に出るときの準備として、どんなことをどこまでやるかは人それぞれだ。稽古初日にセリフが全部入っている人もいれば、あえて何も準備せずに稽古に飛び込むスタイルの人もいる。

僕はといえば、出演する作品についての予備知識が何もないまま稽古場に行く勇気が一切ないので、自分でできる範囲の調べ物をして臨むことになる。ビビリなのだ。

ということでいまの僕の頭の大部分は『TARRYTOWN』の世界をどう作っていくかに傾きながら、どこか別の部分では今年の4月以降のあれこれを考えたりもしている。

特に、自分にとって全く馴染みのない時代や国が舞台となる作品だと、その時代や国について調べるだけでもまとまった時間が必要になる。

芝居の稽古期間というのは大体において2ヶ月が相場だが、2ヶ月で読んだり見たりできる文献や映像資料なんてタカが知れている。それにその2ヶ月は芝居の稽古がみっちり入っているのだ。悠々と調べ物をしていられる時間はほとんどないと言ってもいい。

そうすると都合上、本格的な稽古に入る前にあれこれを調べておく必要が出てくるのだが、その「調べ物期間」は丸々お休みの期間ではないことが多いので、前の作品に出演しつつ、次のことを調べることになる。

というわけで、いまの僕の頭の中は『TARRYTOWN』も含めた数本の「気になること」が並行して存在する状態である。


厄介なのは、人間の脳みそが同時に処理できる情報量なんてたいしたことないということだ。

お芝居のいろいろを考えながら過ごしている、日常のあれこれをすっ飛ばす機会がどうしても増える。

使い切った醤油を買い足すことを忘れる、なんていうのは些細なことだ。醤油がなければ1食を塩だけで我慢すればいい話。

問題なのは、考え事をしていて電車を乗り過ごすことが増えた、とか、そういうやつ。稽古や人との待ち合わせに遅刻しそうになるわけだからこれは実害がある。

遅刻だー!と思って駅から稽古場に走って向かうと、この大寒波で冷え切った空気の下で汗だくになる。寒いから汗を拭くタオルなんてうっかり持ち合わせてないので、稽古場についてから身体が冷える。

そのせいで風邪なんか引いたものなら本末転倒。演劇をやりたくて演劇のことを考えていたせいで演劇ができなくなるわけだ。これはどうにもうまくない。


やはり人間、朗らかに生きるためには余裕が必要なのである。押し迫る諸問題をかき分けつつ、慌ただしい日常の中にどうやって余裕を生み出していくのか。これは大きな大きな命題なのである。

僕なんかよりも忙しい日々を過ごしている方はたくさんいる。あの人たちは一体ぜんたい、どうやって毎日を乗りこなしているのだろうか。はてさて。


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