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茶箱があるから旅がさらに楽しい。
こんにちは!山野です!
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年末は29日まで仕事をして、年始は1月3日からの始動でした。
出演している『天保十二年のシェイクスピア』という作品の大阪公演のためで、3日に移動とサウンドチェック、4日はまるまる舞台稽古、そして本日5日に梅田での初日の幕が開きました。
僕らはそのスケジュールで済んでますけど、舞台を設営するスタッフさんとかは31日に大阪入りしてますからね。本当に頭が上がりません。芝居というのは、俳優だけでは全く上演できないのであります。
新年の大阪滞在なので、普段好きで行っているお店などが大方お休みを取っていて、これは晩御飯やらどうしようかなと困った瞬間もあったのですが、普段のお店がやってない今だからこそ新しいお気に入りを見つけるチャンスだと思って街を歩いたら、やっぱりいい出会いがあるものですね。
以前から気になっていたネパール料理の名店と、モダンな串揚げのお店と、ビル一棟がショットバーというお店を見つけました。たのしい。
旅公演の楽しみは人それぞれでしょうが、僕はやはり外で美味しいご飯を食べることがその楽しみの主軸です。なので、コロナの時期は本当にしんどかった。外にご飯を食べにいくことが憚られる状況だったのでね。
ずっとホテルの部屋でコンビニご飯ばかりを食べているのも、感染対策にはなるかもしれないけれど心と身体を別の意味で病みそうだったので、なんとか気分が変えられる方法がないかと思って始めたのが、茶箱を旅先に持ち歩くことでした。
茶道の世界では「野点」といって、茶室じゃないところにお茶を点てる道具を持っていって、それこそ空の下でお手前をするというのがあるわけですが、そのときに持っていく茶道具を収めた箱と茶道具一式のことを茶箱というのですね。
正式なお約束はいろいろあるのでしょうが、僕は不真面目な野良茶なので、自分の好きなものを好きなように集めるかたちになっています。
全ての道具を入れる箱は、鳥越竹細工の文庫箱。岩手県二戸郡にある鳥越地区というところで伝統的に作られる工芸品ですが、この材料となる「スズタケ」が近年の気候変動の影響なのか満足に採れなくなっているんですね。なので新しい製品を作ることができず、近い将来消滅してしまうのかもしれない伝統工芸です。
それを、あらゆるところのデットストックを探して、見つけて、なんとか譲ってもらったのがこの箱。目が詰まっていて編みも繊細で、丈夫で軽くて、本当に美しい竹編みの箱です。
主に使っている茶碗は辻村史朗の旅茶碗。志野釉が自然体にかかっていて、整いすぎずにいいかんじです。きちんとした抹茶碗だとしっかりとしたお値段がしますが、旅茶碗ということで僕でも少し背伸びしたら買える値段でした。
そのほかに、茶箱用の小服茶碗として、黒茶碗と古めの唐津焼の茶碗を入れています。建水の代わりにしたり、湯冷ましの代わりにしたりもしますし、もちろんこちらでもお茶を点てます。
茶入れはステンレスのもので、中に茶漉しというか、篩になるパーツも入っているので、ひとつで二役の優れものです。割れる心配がないというのもいいです。
茶杓は東大寺は二月堂の、修二会という法要で用いられた松明の竹から削り出したもの。銘は「おとずれ」です。
以前は黒文字を持ってきていましたが、去年京都に行ったときに見つけて買った煤竹の菓子切りを今回から茶箱にいれました。使い捨ての黒文字も好きなのですが、茶箱はなんとなく、ずっと付き合っていけるような道具が入ってる方がいいと思って。
菓子皿のために、という意味ではないですが、チェコのJIPOという磁器メーカーの小さなバットのような皿を入れています。干菓子も生菓子も盛れます。
ホテルの部屋で茶を立てる場合、ポットからそのままお湯を注ぐのも味気ないので、小さな片口も茶箱に入れてます。湯冷ましにもなります。
こういう道具を旅先に持ち歩けるのと、僕はとても幸せを感じます。知らない場所に行っても、自分のくつろげる空間が確保できるような気持ちになります。
それに、こういう器類が手元にあれば、コンビニで買ったものでも、なかなか素敵に部屋飲みをすることの可能です。こんなふうに。
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きちんと茶道をやっている方からしたら、茶巾がないじゃないかとか、茶筅筒がないじゃないかとか、いろんな不完全さはあるんでしょうが、ひとまず僕はこんなスタイルで旅先でのお茶を楽しんでいます。
それに、茶箱というのは変化成長していくものですから、これから先いろんなものとの出会いの中で、この箱に入る道具も変わっていくかもしれませんし。
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