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【書評】『天職が見つかる空想教室』(植松努 著/サンクチュアリ出版)

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小さい頃にやりたいと思っていたことは何ですか。
将来何になろうかな〜って考えると、わくわくしていた方もいらっしゃるかと思います。

少し自分の幼少期を思い返してみます。当時、「将来の夢」というタイトルで絵を描いたときがありました。
当時の夢は、お花屋さん。散歩に行くと道端にひょこっと生えている小さい花が目に付き、ほぼ雑草のそれを摘んで歩いていました。
同じ園のAくんは、サッカー選手。Bくんは、ケーキ屋さんの絵を描いていました。Cちゃんは、お姫さまだったかな?マントをつけている自分の絵を描いて「スーパーマンになる!」と言っていた子もいたな。

そういえば「これはできそう」「できなさそう」と仕分けられたのは、いつからなのだろう。

本の概要

『天職が見つかる空想教室』は2015年11月に刊行された書籍『好奇心を“天職"に変える空想教室』(サンクチュアリ出版)に一部改訂が加えられた文庫本です。

植松努さんがTEDxSapporo2014でスピーチした内容が、まとめられています。

植松さんは株式会社植松電機で代表取締役を務める技術者であり、実業家。子どもの頃から飛行機が好きで、大学では流体力学を専攻。航空宇宙産業で働いたのちに株式会社植松電機を起業されました。

植松電機ホームページに利用OKな画像があったので、お借りしちゃいました!お優しい雰囲気が伝わります。

提供:植松電機ホームページ


提供:植松電機ホームページ

他の著書に『「どうせ無理」と思っている君へ 本当の自信の増やしかた』『不安な時代に踏み出すための「だったらこうしてみたら?」』(PHP研究所)
『思うは招く ~自分たちの力で最高のロケットを作る!』(宝島社)
『何をやっても続かない自分を変える あきらめない練習』(大和書房)
『NASAより宇宙に近い町工場 僕らのロケットが飛んだ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)があります。

こちらの本をおすすめしたいのは、今の働き方や生き方に対してなんとなくモヤモヤをかかえている人や、やりたいことがあるかもしれないけれど、それが何かがはっきりとわかっていない人。そして自分のやりたいことを始めてみたものの、くじけそうな自分と闘っている人。

逆に、対象ではなくなりそうな人は……

なくなりそうな人は……

……と考えて時間が経過。

こちらの本が対象ではなくなるのは、どのような人なのだろう? そう思うくらい、誰にでもおすすめできるような本なのかもしれないと思いました。
文部科学省の学習指導要領に基づき、中学1年生以上で習う漢字にふりがなが付記してある、本書。小学生のお子さんから大人まで読めます。

もし自分が中学生・高校生だとして、親の手元にこちらの本があったら、読んでみたくなるかも。進路希望を出す前とか、やりたいことがいまいちわからなくて悩むようなときに読みたい。

あ、そう書いているうちに思い浮かびました。
対象ではなくなりそうなのは、夢を考えたり本当のやりたいことを思い出したりするのが面倒だと考える人。

【目次】(章のみ記載)
Lesson 1 思い描く。
Lesson 2 思い込む。
Lesson 3 思いやる。
Lesson 4 思い切る。
Lesson 5 思い続ける。
The Last Lesson おわりに。

詳細な目次はサンクチュアリ出版ホームページ

読んだ感想

まずは最初に15ページほど入っている、詩のようなものがとても良い。何が良いって、世界観が良いのですよね。ちょっと行間があいたレイアウトに、優しい語り口調。空気感が伝わる挿絵。

この数ページを読んだだけでも「あ、なんか自分もできるかもしれないな」と思います。「よし、出発するぞ!」と、自分のなかでバイクのアクセルをグリッと回すようなイメージを持てるのですよね。

続く文章は植松さんの講演での語り口調が活かされていて、温かみがあります。
こちらの本はお子さんも読めるように上部に余白があって一行が短めに設定されていたり、改行が多めであるため、すいすい読み進められる。
びっしり書かれていてほぼ余白がないような本だと「うっ……!」となってしまうから、個人的にはゆったりしたレイアウトは助かります。

本の表紙をインターネットで見た時には、仕事の選び方が書かれた本なのかな? と思っていましたが、そうではなく。
仕事の選び方という点でも、もちろん参考になるのですが、生き方という点でも非常に重要なことが書かれているなぁ、と思いました。

やりたいことを考えるなかで「今の自分にとっては超ハードルが高い!」と思うことってありませんか。私自身、今の仕事を極めた先にやりたいことがあるのですが、そのことは自分にとってかなりハードルが高いと思っていました。
それでも、その道に精通している人から学んでいたら、これまでまったくわからなかった内容に対して解像度が上がりました。「意外にそう遠くないのかも」と思えた経験があります。
極論、それをやっている人も同じ人間だから、やってやれないことはない……! と少しばかり思えたのです。

植松さんもこのように語られています。

やりたいことは「やったことがある人」と仲良くなれば、あっさり実現に近づくことができます。やりたいことがあれば、「やったことがある人」を探すのが一番の近道です。

植松 努『天職が見つかる空想教室』(サンクチュアリ出版、2024)116頁

自分自身、わりと孤独に強く、ひとりの空間が好きなタイプなので、あまり能動的に人に「話そう!」「会おう!」という人ではありません。

そうはいっても、自分が本当にやりたいことだったら、ちょっと頑張って経験がある人と話せる環境に身を置くことも必要だなぁ、と感じました。
例えば今回のように詳しい人に教えてもらうとか、プライベートでも興味があることに対しては、スポットで講座に参加してみるとか。

そういえば、少し前に興味がある内容に関する動画教材を購入しました。それもひとつの行動なのかもしれません。セール対象になっていて安かったし。

私自身、本を読むときに自分の生活だとどんなふうに活かせるかなとか、自分の仕事と重ねるならどういう教訓を得られるかな、と考えます。

本書では、もちろん仕事に関する学びもありました。
仕事をしていて「うまくいきやすいな」と思うときと「苦戦するな」と思うときがあり、自分のなかでその2つはどういうふうに分けられるのだろう、と考えたときがあります。

いろいろ浮かぶ要素はあるものの、ひとつは「WILLにのっとっているか」です。CANではありません。
つまりは、「できること」ではなく「やりたいこと」を先行して考えて選ぶと、うまくいきやすいのかもと思いました。

植松さんは書籍のなかで、このように述べています。

人が生きていくためには、どうしても自信が必要です。(中略)自信を身につけるには、「やったことがないことをやる」しかないのです。だからこれから先、やるかどうかで迷ったときは「できるか、できないか」ではなく、「やりたいか、やりたくないか」で選んでください。

植松 努『天職が見つかる空想教室』(サンクチュアリ出版、2024)212頁

自分が仕事を選ぶとき、結構な割合で「できること」から選んでいたなぁ、と思いました。この分野の仕事ができるとか、このスキルがあるとか。それでマッチしそうな企業を探して転職先の候補にする、みたいな。

けれど、まずは「やりたいこと」で絞り、そのうえで自分がその企業で何ができるのかを考え、アプローチしていくのが幸せな職選択につながるのかなと思いました。
正社員や派遣社員での働き方と比べると、業務委託の働き方では容易に企業とつながります。
このあたりは意識して納得感を持って選ぶことが、結果として企業への価値提供につながると考えました。
仕事が今よりも、もっと楽しくなりそうな予感。

そして、いかんせん「正直レビュアー」なので、この機会に何かお願いみたいなことも書ければと思ったのですが、これも考えるのが難しい。
パッと思いつくお願いはないので、考えてみました。無ければそれでよいかとも思いましたが、考えると自分としても、書籍作りに関する学びになるため。

強いて言えば、個人的にはポイントになるところが太字だったらなおさらうれしいかなぁ〜、という感じです。そのパラパラめくるときに何か印象的な言葉が目についたら、その周辺にある文章を読み返しやすいかなと思ったからです。

とはいえ、あえて誰かの目線で太字の箇所を作ると、読み方の自由度が低くなりそうなので、好みの問題かもですね。

「自分だったらどうだろう」と、ページをめくる手を止めて考えたくなるような記載がたくさんある、『天職が見つかる空想教室』。
仕事だけでなく「どう生きるか」に対して自ら考える機会をくれる本だと思いました。身近にいる人と共有しながら、ぜひ。


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執筆者:やまね|ライター
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