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疑似人物図鑑 道往く人々(2024.02.16)
だいたい毎日職場と家の往復でしかない。会う人も非常に限られているし、子供がいると行けるところも同じようなところばかり。映画も行けないし、ライブも無理。美味いカレーを食べに行きたいけれど、なかなか行けずじまい。いつも指をくわえて見てるだけ。
そんななので、最近は以前やっていた「そのへんを歩いている人を見て、その人がどんな人でどんな人生を歩んでいるか想像してみる」という遊びを再開した。
そうやって想像していると、その人なりの物語のようなものがバルサンみたいに勢いよくぶわっと噴き出してきて、想像上の人生を走馬灯のように体験できたような気になって面白い。
昨日は別大国道(大分市と別府市をつなぐ、ほぼ高速道路のような片道3車線の道路。みんなむちゃくちゃ飛ばすことで有名)脇の何にもない歩道を歩いている二人のどちらかというと若い女性を見て想像した。私は二人を後ろから追い越したので顔は見えなかった。
びゅんびゅん、すぐ横を走り過ぎる車に追い越されながら、そのうるさい中で二人は何を話しているだろうか、二人はきっと旅行で来たけど、間違ったバス停で下りてしまって今歩くはめになっており、少し険悪な雰囲気の中、お互いの嫌なところ、今まであったちょっと苦い思い出、または懐かしい記憶などを思い出しているかもしれない。
そうやってようやく別府の街中までやってきた頃にはすっかり疲れており、申し訳程度に上った別府タワーで、なんとなくさよならする。
タワーから出て一人きりになった二人。なんだか気分は良くて、温泉に入ってこれからの一人旅に思いを馳せる。なんとなく、「もう〇〇子とは二度と会わないだろうな」と考える。そして実際二度と二人が顔を合わせることはない。
また今日は、大分市の商工会議所の横を妙に四角ばった顔をした55歳くらいの男性が神妙な顔をして歩いていたので、想像してみた。
その男性は数学教師で、物事を四角四面に考える癖があり、柔軟性に欠ける。実際世の中のあらゆる線が直線で構成された景色で見えていて、生きにくい。人間関係がうまくいかない。人とうまく折り合いをつけることができない。
釣りに行きたい。週末はあの渓流の、私だけが知っているあのポイントへ行ってヤマメを釣るんだ。美しい、きらきらした流れ。土のみずみずしい匂い。溢れるような緑、緑、緑。
そこでは私の視界はがらりと変わって、直線や直角は視界の中に存在しない。世界は丸くて柔らかい。光を受けて輝くヤマメの腹はまばゆいばかりだ。
などと想像して悦に入っている。憂鬱な気持ちが一時的に吹き飛ぶ。車の中でかけている音楽がすーっと入って来る。楽しい。
私は毎日通勤に片道1時間もかかるので、これからも道往く人を眺めては色々想像してみようと思う。すごくささやかな楽しみだ。