きりん亭(2023.04.18)
昼食を別府のきりん亭で。
買い物に寄ったホームセンター近くでちょうど昼時となって、同僚二人とどこかで飯にしましょうかとなり、私は長らくご無沙汰していた別府冷麺の老舗「きりん亭」を提案した。
提案は快く受け入れられ、私は嬉しかった。
駐車場は店の前に2×4で8区画あった。私が前列へ車を停めると、その後ろの車が出られなくなるが、他もそうしてるしまぁ大丈夫だろうと思い店内へ。
長い時間の蓄積を感じさせる店内。お世辞にも綺麗とは言えないまでも、汚くはない。カウンターと小上がりがあり、お客は多いものの店内は静かで、皆黙々とラーメンもしくは冷麺を啜っており、その音がやけによく響く。秋の草むらでコオロギが方々で鳴いているのに似ていて、店内のあちらこちらから不規則にズズズ・・ズーと聞こえてくる。
私たち3人は奥の小上がりに座り、全員が冷麺大盛(1,000円)を注文した。昼飯に1,000円は高いなと思ったが、たまには良いかと自分を納得させた。
周りを見渡してみると、そこかしこで麺を啜っているのはどう見ても常連の方々で、その常連の方々が女将さんであろうおばちゃんと軽口を叩いたり冗談を言ったりしている。別府の市井の風景であるなぁと思うが、その風景と冷麺大盛1,000円はなんかそぐわないなぁと思う。
しかしながら、しばらくして運ばれてきた冷麺は抜群に美味かった。私はすぐに1,000円に納得した。注文してから店内で作る独特のゴワゴワした太麺はスープによく絡んで、美味い。噛むのに結構力を要するが、私はこの食感がとても好きだ。噛めば噛むほど美味しい。
スープは出汁が効いて少し酸味がある。ごくごくといくらでも飲める。麺の上に散らされたキャベツのキムチがまた絶妙に合って、丁度良い。
つくづく美味いなぁと私は幸せを噛み締めるようにごわごわした麺を噛み締めた。しかししばらくすると店の入り口で私の乗ってきた車のナンバーを呼ぶ人がある。事情を察した私は食べるのを中断して、車を移動した。なるほど、ここの駐車場はそういう性善説を前提としたシステムなんだと感心した。
戻ってきて、口の中がちょっとリセットされた私は尚いっそう冷麺を美味しく食べる事が出来た。同僚の二人は「途中から単調で飽きた」と言っていたが、私は途中でリセットされた事もあってか、最後まで食べ飽きる事がなかった。
素晴らしく美味しい冷麺だった。量がちょっと多かったので普通盛りでも良かったかなとは思ったが、それにしても大満足だった。
外へ出ると初夏のようなからっとした暑さ。腹と心が満たされた私は同じ別府のどこかでカップ麺を啜っているであろう妻の事を思った。
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