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心のおかたづけ(2024.09.02)

朝、妻の機嫌が良い。

妻の機嫌が良いか悪いかは、朝イチ顔を合わせた時に笑うかどうかで分かる。今朝は引きつったようではあったが、一応笑っていたので、「ああ、今日は機嫌が良いんだな」と思った。前日に食べた資さんうどんの「しあわせセット」が妻を多少幸せにしたのかもしれない。うどんがミニサイズだった事で愚痴ってはいたけど。

だいたい朝6時に一日ひとつの何かしらの記事(最近はほぼ日記ばかりだけど)を書いて部屋から出た時、太陽の光がさんさんと家の中に差しているのを見るとがっかりする。朝イチの犬の散歩をするのに、暑くてたまらないからだ。薄暗いくらいがちょうど良い。

妻はアラームを6時にセットしていて、それで起きたり起きなかったりする。最近は休職していて多少生活のリズムに乱れがあるようで、起きてこない事が増えた。

でも今朝はちゃんと6時のアラームで起きてきた。廊下で顔を合わせた妻は干物みたいなしわくちゃな顔をしている。眩しい光が真横から差してくる。妻は、その目尻に釣り針をひっかけて無理やり引っ張ったみたいに、力なく笑う。口が「おはよう」の形に動く。声は小さすぎて聞こえない。

でも妻はこれでも機嫌が良い方だ。ぎりぎり車検が通らない車みたいに、エンジンのかかりがめちゃくちゃ悪いのだ。

7時前後に子供たちが一人二人と目を覚ましてきて、否が応でも妻はギアを上げていかねばならない。でも時々エンストを起こしたり、空回りしたりする。フラットな状態を保つのが難しい妻は、人とテンションを合わせるのが苦手だったりする。3速くらいでゆるやかに走る事ができないのだ。

それでも比較的機嫌が良い妻。私が仕事に出る時に見送りにきてくれた。「今日は調子が良いんだな」と思って、私は妻に、ずっと片付かないままの子供部屋を少しでも片付けといて欲しいと言い渡す。妻の私物が多すぎて私ではどうしようもない物ばかりだから。

妻はそれに対してまた干物みたいな顔を引きつらせて「心の、かたづけをするよ」と小さな声で答える。冗談か本気か分からないが、あまり無理強いはできない。



仕事が終わって家に帰ると、戦場みたいな家の中。走り回る子供たちに加えて、犬(ポメラニアン♀)まで嬉しそうに廊下を疾走している。

元気な子供たちをかきわけて妻のところに行くと、妻は心底疲れ果てたように「おかえり」と言う。顔が、しけた煎餅みたいだ。

でも子供部屋を見ると、隅っこにずっとあった、洋服が雑多に入っていた袋がひとつなくなっていた。妻は少しだけど、子供部屋の片付けをやってくれたのだ。有難い。

一昨日見たダイ・ハードのマクレーン刑事みたいに、強く、たくましく生きていきたいと思った。


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