モーニングコーヒー(2024.10.01)
朝(といってももう24時間くらい前)、妻が起きてきて、いつもドラッグストアで買っている一本89円くらいのペットボトルのコーヒーが切れていると嘆いている。しまった。買ってくるのを忘れていた。
だから妻はとっておきのコーヒーを淹れる事にしたみたいだった。冷凍庫で保存している、お義姉さんから頂いたコーヒー。
妻がそれにお湯を注ぐと家じゅうにむちゃくちゃ良い香りが拡がり、私はその拡散力に感心した。あんなに優しく温かく、柔らかい香りなのに、あっというまに家の隅々まで拡がるというのはどういう事なのだろうと思った。
それから私は幸子(ポメラニアン♀)の散歩に出た。
だいぶ涼しくなって、散歩に出るのが苦痛でなくなった。東に目をやれば朝日が海に光の道を作って輝き、西を見上げれば山の稜線に綿菓子をちぎったような細かな雲がかかっていて、美しい。
しかし幸子。う〇こが長い。う〇こするスタイルのまま、プルプルとしてずっと動かない。「便秘か!?」と思う。また知らぬ間に子供のおもちゃを食べて、それが邪魔してう〇こが出ないのではないかと疑う。
結局3分くらいしてようやく出た。私はそれを素早く拾ってうんこ袋に入れた。あれほど頑張ってようやく出たのに、その頑張りに見合ったボリュームがなくて幸子も残念だったのではないかと思った。
家に戻り玄関のドアを開くと、コーヒーのとても良い香りがまだ漂っている。「まだ香りが持続しているのか」と私は驚いたが、妻が私にコーヒーを淹れてくれている可能性に思い至って、私はそうであったら良いなと思った。
はたして、眩い朝日に照らされたテーブルには一杯のコーヒーがあって、それは紛れもなく妻が私に淹れてくれたものだった。私はとても嬉しかった。この前ひどい似顔絵を描いた事を心の中で詫びた。
そうして飲んだコーヒーはとても美味しかった。香りが体の隅々まで行きわたるようだった。干し葡萄みたいだった脳に鮮烈なコーヒーが染みわたって、脳が瑞々しく蘇る様が想像できた。
コーヒーってこんなにも美味しいものなんだなと思った。蘇った脳のおかげか、真横から差す朝日のせいか、妻はいつもよりとても綺麗に見えた。よれよれのTシャツを着ていたとしても。