(13) 救護施設に来た経緯②
これまで(6)〜(11)の記事を有料販売してきたが、一つも売れる気配がない。
そんな閑古鳥が鳴く状況なのは当の執筆者本人も重々承知しており、この度「僕が生活保護を受けるに至った経緯というのを知ってもらわないと話の内容に入り込めない」として、本人が生活保護受給者に転落した経緯、背景というものを理解していただくべく記事を執筆した。
執筆者の意向により、しばらく無料版を公開していくので気軽にお読みいただければ幸いである。(山本星海)
(13) 救護施設に来た経緯②
「あなたは重度のうつ病です」と宣告されてから生活は一変した。
とにかく日中なんもやる気が起きない。
仮に起きたとして元気に外で遊ぼうもんなら、すぐさませまい田舎の情報網に引っ掛かり「働けよ」と心無いうわさが広がるのは目に見えている。
食欲なんてほとんど無かったので、食わずにずっと横になっていた。
ふと「どの辺でお腹がすくのかな」とプチ断食みたいなことをしていたら2日半ほどは余裕だった。
ただ体重はゴリゴリ減っていったのでそれでも食べなきゃと思い、腹に入れるようにしたことを覚えている。
次に病院から支給される薬の副作用がしんどかった。
眠れないのはしんどいけど、今までこのかた睡眠薬なんざ飲んだことが無いし、自分にとっての適量が医者も手探りなところがあるので、しばらく調整に苦労した。
朝起きたけど薬が体に残っている感覚があってグワングワンするとか、そもそも起き上がれないとかざらにあった。
そしてなにより仕事を休んだことで人付き合いというものが激減する。
部屋にいて、一言も、喋らない。
あと仮眠をしたり、眠りが浅いともれなく悪夢が待ち構えている。
悪夢は基本的に90分くらいの尺で上映され、没入感がとんでもないので目が覚めるまで夢だとわからない。
刺されたら痛いし、ありえないシチュエーションで人が死んでいくし、正直起きているときよりしんどい。
というか「目が覚めた夢」とか終りの無いものもあって、ジョジョ5部のゴールドエクスペリエンスレクイエムを食らった気分を味わえた。
今考えるとこれで元気になれと言うのも無茶な話である。
何カ月か経ってから試しに仕事してみるかという話になって職場に行った。
もちろん休職中なので働いたところで給料もボーナスも当然満額にはいかないが、自分の中で正義感と「まだやれる」という気持ちが残ってたんだと思う。
ただ戻ったところで激務はあるし、嫌いな上司は平然といるし、ただでさえ元気なときにしんどかった仕事を何カ月引きこもった人間ができるわけがなかった。
というか朝起きれない人間に仕事は厳しい。
当日朝に働いてない頭で「今日休みます」と職場に電話するのが精いっぱい。
その後はちょっと仕事して休んでを繰り返していたと思う。
思う、という感想チックな表現になるのは、正直当時の記憶というのが非常にあいまいになっているから。
「こういう出来事があった」というのは覚えているんだけれども、時系列が致命的にぐちゃぐちゃになっている。
だから今これを書いていて、当時の同僚が誰だったかを思い出せない。
こうして時間は過ぎていくが、お金は減っていく。
そして資金難時代がやってくる。