#0149 労働基準監督署に電話相談してみた
カテゴリ:転職
本文:
2022年3月4日金曜日午前9時50分。
米子労働基準監督署監督課に電話をかけてみた。
私「退職願を出したが会社から有給消化に難色を示されている。どうしたものか」
労基署「有給休暇というのは業務に支障を来たすような特段の事情がなければ労働者の希望通り取得させないといけない。
https://yamatomo2021.com/1008/
時季変更権は会社に認められているが、それが使える場面は限定されてくる。基本的にはほぼほぼ認めないといけないケースが多いのではないかというのが過去の裁判例等で示されているところになる。
相談者さんは3月末で最終勤務に対し、2月17日で退職願を提出と、かなり前もって動かれている。有給休暇の全部は無理としてもその大半については基本的に会社は認めないといけない状況にはなってくる。それが客観的な状況である。
一方でそれを会社に『法律で決まっているんだから有給休暇取得を認めろ!』と主張するとそこは人間関係的な所もあるので、まあ基本的には今されているようなお願いベースにはなってくると思う。
ただ、今出されているのは退職願・・・?」
私「そうです」
労「退職願というのはあくまで合意退職を申し入れるという文書。退職には何パターンかあって、労働契約というのは物品の売買契約と同じように、労働者側からすれば労働を提供する一方で、会社側からすれば賃金を支払う、あるいは労働者の安全を保障するなどといった双方向の契約になる。お互いが契約を解除することができる。
会社側が解除することを解雇と言うし、労働者側から一方的に離職を申し入れることもできる。または、会社側から、退職してもらえないかと、あるいは労働者側から退職したいんだけどと申し出て、お互いが合意した場合に退職するというのが合意退職である。」
私「双方の合意があって、退職が成立する、と。」
労「今相談者さんが出されている退職願というのは、合意退職を申し込んでいることを意味する。よって、もし会社側が「却下する」と言ってきた場合、合意退職が成立しないということになる。
そうなった場合、改めて『退職届』を2週間前に出すような形になる。
退職願を出す分にはそうした制限はないのだが。
退職届とは一方的に辞めるためのものになる。この場合は2週間以上前に申し出て、会社に猶予を与えなければならないという制限がかかってくる。
懸念されるのが、退職願には応じられないと言ってきた場合に、そこから退職届を出して2週間は辞められない、ということになるので、その点は相談者さんの不利益になる。
基本的にはこのまま退職交渉を続けられたらよいが、退職したい日から逆算して2週間前までに決定が下りないような場合は、決定を待たず、改めて退職届を出した方がいいのではないかなと。」
私「なるほど。退職届に関しては2週間以上期間を空ければいつでも退職日として指定しても大丈夫ということか?」
労「そうです。なので6月6日に辞めるのであればその2週間前、5月の中頃までに退職届を出すのがいいのかなというところ。今のお話の内容だと次の就職先にすぐすぐ入らなければならない状況ではない?」
私「再就職ではなくて、起業して自営業者になるので、いつまでに退職しなければならないわけではない。」
労「なるほど!であればそんなに急いで退職届を出す必要はないかも知れない。3月の中頃をデッドラインにしなくても、ご相談者の任意のタイミングで出されたらよい。交渉の進展次第で判断することになる。」
私「今回のように、6月6日に退職するという前提で、4月1日以降の有給休暇を申請した場合、会社としては有給休暇を与える義務があるという考え方でよろしいか?」
労「そうです。基本的に退職すると有給は消滅するが、退職前に労働者から請求があった場合は先ほど申し上げたように基本的に有給は与えなければならない。
もしどうしても会社が有給休暇の取得を認めないということであれば、最悪一方的に有給を取得するとの申し出をされて、休まれるというのも一つの方法にはなる。
例えば賃金支払い日になった段階で、その分が無給にされているとか、勝手に欠勤扱いにされているとかいうことであれば、賃金未払いの疑いが生じてくるので、その分は有給休暇として適正に支払うよう申し出をされていくことになるのかなと。
ただそれは強硬手段なので、基本的には話し合いの上で進んだ方がスムーズに行く。
夏季休暇も取りたいという話だったが、年次有給休暇と違って夏季休暇は法律で決まったものではなく、会社が自由に決められるものになるので、この段階で揉めてしまうと夏季休暇は与えないという対応を取られてしまう恐れもあるのかなと。」
私「夏季休暇は拒否される可能性があると。」
労「会社側が何らかの理由付けをして拒否されると、ご相談者としてはそれ以上の請求ができないという可能性もないとは言えない。
従って強硬手段に訴えるというのはぎりぎりのところまで様子を見られて、この日を超えてしまうと有給休暇が消化できないという段階になったら、一方的に取得を申請して休まれる、というのも一つの方法なのかなと。」
私「あと一点お聞きしたいのが、私の会社では就業規則によると6月1日に在籍していることが6月ボーナス支給要件になる。その場合、6月1日をもって退職するといった場合にボーナス受給の権利が発生すると解釈してよいものか?」
労「賞与はですね、これも先ほどの夏季休暇の話と被ってくるのだが、労働基準法上支給を定められたものではないので、会社の裁量という部分が大きくなってくる。会社の規定をしっかり確認して、あるいは総務の方に確認しておかないと、そこは何とも言えない所なのかなと。会社によって6月1日在籍をどのような状態と定義しているのかによっても変わってくる。
一般的に6月1日在籍で6月1日で辞めるというのであれば在籍していると言える所ではあるが、もしこれを5月末で退職と解釈されてしまうと、在籍していないと判断される可能性もあるので確認が必要。」
私「なるほど。基準日その日に退職とすると、ちょっと危うい面があると。」
労「例えばこれが6月2日退職とかであれば、6月1日の在籍は疑いないと言えるのではないかと。まあとりあえず交渉を続けてみて、もし交渉が決裂して、有給休暇を一方的に取得するという強硬手段に及んだ場合については、実際に賃金が支払われないことが確認できてはじめて賃金不払いという判断ができるので、労基署としてもまずはその段階まで待っていただくこととなる。その点はご了承いただけたらと。」
私「なるほど。つまり実際に給料日が来て、規定通りの賃金が支払われないという事実が明らかになってはじめて労基署にご相談させていただくと。」
労「相談自体はいつでもよいが、申告制度、会社が労働基準法違反の疑いがあるという申し出をするにはあくまで事実として確定してからの話になる。なので『有給休暇が認められなかった』というだけではまだそうした申告はしていただけない。
もう一点の懸念点として、会社側がご相談者の退職の意思が固いという点を汲み取って、6月1日まで在籍するとなると有給休暇取得分の4、5月給与に加えて6月のボーナスまで支給するというところまで計算した際に、それなら解雇してしまった方がいいと、要は解雇であれば1か月相当分の賃金支払いと解雇予告程度で足りてしまうという判断をする可能性がある。」
私「なるほど、解雇される可能性があると。」
労「これが例えば1か月分の有給消化程度の話であれば解雇するのと差はないわけだし、解雇してしまったら、会社が公的な助成金を受けている場合に会社に不利になる場合があるので、本来会社は解雇はしたくないはず。」
私「ああ、会社都合による退職になるから。」
労「そうです。基本的に会社都合の解雇はしたくない。ただこれも特殊な事情で、有給消化がかなり長い期間に亘ってくるので、それを踏まえて解雇してしまった方が会社として得だという判断になる可能性も。まあ大きい会社なら社会保険労務士とか弁護士とかつけていると思うので、そうした所に相談した時に、それだったら解雇した方がいいよと助言される可能性もないとは言えない。その辺りはあるかも知れないと念頭に置かれた方がいい。」
私「相当な理由がないと解雇できないのでは?」
労「基本的には。ただいくらでも理由の付けようがある。昨今のコロナの事情とかもあるし、会社としては何かしらの理由をつけて解雇した上で、1か月分の賃金を払って幕引きを図ることも考えられる。
あとはその解雇の妥当性を争うことになってくると裁判所が判断することになる。そうなるとご相談者がわざわざ費用を掛けてまで訴えないんじゃないか、という観測の元に解雇を断行される可能性は十分にあるのではないかなと。」
私「まあ、今は退職願を出して社長の決裁待ちといった状況で、まだ決着はついていないので、また何か相談したいことがあればお願いします。」
・・・このように、電話相談でもかなり真摯に相談を聞いてもらい、とても感じのよい対応をしていただいた。
無論、労基署なんて初めて電話するものだから、ぶっきらぼうに応対されたら嫌だなあとか思っていたが案外、色々な相談に乗ってくれそうな雰囲気だ。
まだ結論は出ていないので、会社名は伏せさせていただく、という匿名でも十分相談が可能だった。
いやあ、色々勉強になりましたわ。
私は労基署を味方に付けて、ブラック企業に巣食う法律ガン無視銭ゲバ違法集団と断固闘い抜き、絶対に法律で認められた権利を実現して退職する!!
初稿220305
投稿220306
連続ブログ更新記録136日達成!(2021.10.22~2022.3.6)
実質的退職日まであと31日!!(2022.4.5)←微調整した。
正式退職日まであと92日(2022.6.6)
両親に退職表明(2022.2.15)
職場に退職願を提出(2022.2.17)
今日のひとこと
自分はどんな人間だという信念があれば、そんなことが現実化するのだろうか?
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