⭕日々の泡沫[うつろう日乗]7
たいていの作家は、ほぼ例外なしに、狂気や幻想を「本」によって体験する。体験した言葉は、作家の細胞の中で増殖し生命をもつことになる。書いたものを透かして読むと…作家自身が忘れていた記憶の水面下の柔らかな泥濘のような層から浮かび上がってくる。読者は、何度もそれに出会うことになる。
パリンプセプトあるいはパランプセプトと呼ばれている、文学の作用。元々の文字を消してその上に新たに文字を書いた羊皮紙から、見えなくなっていた文字が、科学的処理によって浮かび上がってくる──。
フローベー