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告訴状のDX化

 民事事件のIT化に続き、刑事事件のIT化が進もうとしています。
 告訴状はどうなるのかと、ネット上を調べてみました。

DXの流れについて

 今までは、紙中心で行われてきた刑事事件の手続きですが、IT化を通じて捜査や裁判のデジタル化を進めよう、書類を電子化しよう、オンラインで手続きできるようにしよう、という流れであり、より迅速かつ効率的な司法により国民の利便向上を実現することが期待されているものです。
 一方で、個人情報保護や冤罪を防ぐための厳格なセキュリティ対策も求められており、IT化に向けた課題も議論され始めています。
 刑事司法の未来を大きく変えるIT化は、令和7年には一部動き出そうとしています。

告訴状はどうなるの?

 ネット上で調べてみたところ、刑事事件IT化に関する確定的な情報はまだ出ていないようです。
(見つけられなかっただけかもしれませんが・・・)
 ネットでの告訴はまだできないのかもしれません。

弁護士法情報

 第二東京弁護士会の特集冊子がでていました。(2024.5月号)
 ここでは、
   利便性が高まることが期待される
   告訴・ 告発の受理のハードル自体が下がるものではな い
ことと
   本人確認を徹底する他
   不当な告訴については虚偽告訴罪の対象とし、濫用をさせない
手続きとすることが必要であることが記載されていました。

内閣府情報

 あとは、内閣府のホームページに資料がありました。
論点に対する回答分野刑事手続のデジタル化について
 ここでは、次の記事がありました。

論点2
 書類の電子データ化、発受のオンライン化について【論点2-①】
告訴・告発のように、一般の国民が行う手続については、オンラインによ る提出を可能とすべきではないか。

【回答2-①】
 検討会においては、現在紙媒体で作成して発受を行っている書類について、電子データとしてオンラインにより発受を行うことができるものとすることについて、捜査機関・裁判所・訴訟当事者の間における書類の発受を念頭に議論されたが、全委員に異論は見られなかった。現行法上、告訴・告発の方式としては、「書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない」、「検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは調書を作らなければならない」とされている(刑事訴訟法第241条)ところ、告訴・告発をオンラインで行うことにつ いて、検討会においてその点に特化した議論はされていないところであるが、○告訴人や告発人が捜査機関に証拠を持参し、捜査官が対面でこれらの者の事情聴取を行った上で告訴や告発を受理するといった現在の告訴・告発に関する実務の在り方に照らし、オンラインによることになじむか○一般国民を含め広く外部から捜査機関の管理するシステムにアクセスすることを可能とすると、DDoS攻撃等のサイバー攻撃も想定されるところ、情報セキュリティをどのように確保するか○告訴・告発が受理されると、事件を検察官に送付しなければならないなどの法律効果が生じたり(刑事訴訟法第242条)、告訴・告発が公訴提起の要件とされる場合があるところ、告訴権者へのなりすましや、およそ根拠に基づかない告訴・告発など、いわゆる濫用的な告訴・告発をどのように防止し、又はこれらにどのように対応するかなど、今後更に検討すべき課題があると考えている。

まとめ

 オンラインの告訴状による告訴は、弁護士会も内閣府(国民の議論?)も
   利便性への期待(電子データとして発受に異論なし)
   本人確認(なりすまし)
   濫用防止
と一長一短に触れている。
 短所を克服できるような議論が進めば、今後、告訴状のオンライン提出が実現されるかもしれません。

書きたいことは全部書きました。
読んでいただきありがとうございます。
参考になったという方は、上記を有料記事として購入もよろしくお願いします。
ただ、有料記事部分が何もないのもさみしいので、簡単な意見・参考情報・未来予想などを追記しておきます。

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