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企画展『The letters sent to you』(2024冬-2025春頃開催)

またしても更新が空いてしまいました。
今日は今後開催を予定しているYamamoto Marketの企画展『The letters sent to you』について書いていこうと思います。

インスタグラムでもお知らせをしましたが、Yamamoto Marketの本屋(7月20日にオープンしました)にて、2024年冬〜2025年春頃に企画展『The letters sent to you』を開催したいなと考えています。

『THE LETTERS SENT TO YOU』

この企画展をしようと思ったのには、いくつかの出来事の連鎖がありますが、まず、何をするのかというと・・・

一般の皆さんの手元にある手紙をお借りし、そのお借りした「誰かの」手紙を集めて展示を行います。
あわせて、手紙の展示期間には、「手紙」をテーマに選書した書籍をコーナーにして設置したり、手紙を書くワークショップも予定しています。
 
いくつかの出来事といえば、私は子どもの頃、神奈川から高知にいる祖母へよく手紙や年賀状を書いていました。

多い時には毎月、少なくても年に数回、いくつかのお気に入りの便箋の中から1枚を選び、近況報告のような形でなんてことのない内容を綴っていました。

「おばあちゃん、元気?毎日暑いけど、体調は大丈夫ですか?」
「今日は体育の授業で跳び箱を4段飛べました」
「学校から帰って近所の○○ちゃんとゲームをして遊びました」
「おばあちゃん、誕生日おめでとう。お祝いはしましたか?」
「中学生になりました。部活はバスケ部に入ったよ」
「夏休みにはまたみんなで遊びに行くきね」
 
子どもの頃は「祖母への手紙」というよりも「私の日記」のような内容でしたが、遠くにいて直接はなかなか話すことができない祖母に、手紙を通じて話しかけていました。
 
いつしか大人になり、祖母宛の手紙を書くことはなくなりましたが、現在92歳の祖母は最近、「里咲はおばあちゃんによう手紙を書いてくれちょった。ほら、おばあちゃん、ちゃぁんとこうして全部綺麗に取っちゅうきね」と、空き缶に大切にしまってある小さな私からの手紙を出し、少しだけ涙を目に浮かべながら話すことがあります。

その手紙を読んで、「あぁ、こんな頃があったな」とか、「あぁ、こんなことを書いていたのか」と思い出すのと同時に、もう何十年も前の自分がしたことを今でもこうして大切に抱えて生きてくれている人がいることの嬉しさを知りました。
 
祖母が持っていてくれた私が書いた手紙の中には確かに、あの頃生きていた小さな私がいて、それを受け取ったまだ今よりも若い祖母がいて。過去のことだけど、歳をとった祖母の心に、空き缶の中に、今も大切にしまわれている。


先日から用があり実家の神奈川に帰省をしていますが、ちょうど私の帰省中に母が誕生日を迎えました。

私には2歳年上の兄がいますが、兄の息子(3歳)が誕生日を迎えた私の母に、メッセージカードを郵送で送ってくれていて、そのカードを母とともに見て「嬉しいねぇ」と話しました。

きっと、そもそも私が祖母に手紙を書き始めたきっかけには、母が「おばあちゃんにお手紙を書いてみようか」と、まだ小学生に上がる前ほどの私を諭し、「孫からの手紙で祖母を喜ばそう」というどこの家にもあるような思考が働いていたのだと思います。

でも、「お手紙を書いてあげよう」という母の願いから始まった手紙は、いつしか母の願いではなく、私の意志として続くようになっていきました。

また、実家に帰省し、私物の整理をしていると、親戚や友人から届いた年賀状が出てきました。一枚一枚見ては裏返し差出人の名前を見て懐かしんだりとしている中で、目に留まった父方の祖父からの年賀状。毎年、真っ白な年賀状に文章だけを筆で書いて送ってくれていた祖父の年賀状。私は母方の親戚付き合いの方が濃かったので、父方の親戚との思い出は比較してしまえば少ないのですが、それでも、10年ほど前に亡くなった父方の祖父のことも好きでした。

元教師だった祖父からの年賀状には、「おじいさんは最近、ラジオで独・仏語の勉強をしています。里咲ちゃんは学校の勉強はどうですか。」と書かれていて、勉強熱心で歳を取っても格好良かった祖父の印象や、自身のことを私に話す時には「おじいさん」という祖父が好きだったことなどが私の中で久しぶりに思い起こされました。


話を高知の祖母に戻しますが、今、祖母は私の住む町の隣町に住んでいるので、いつでも会える距離になり、手紙を書くということはしていません。ただ、ふと先日祖母が「里咲(私)はよく手紙をこうして送ってくれたねぇ」と言った言葉が、なんだか心に残って、この8月に92歳を迎えた祖母の誕生日には、ハンカチにメッセージカードを添えてプレゼントしました。

祖母92歳の誕生日、プレゼントに添えたメッセージ

家族や友人、恋人に送るメッセージは、今やスマートフォンの画面の中に収まるものがほとんどで、一度メッセージを送ったとしても「あ、違う」と思えばすぐに削除ができ、SNSの投稿はあとからでも修正がききます。

でも、手紙の世界には、それがない。郵便ポストに投函した後には、綴った文字に修正がきくことはなく、削除だってできない。だからこそ、簡単に相手を傷つけるような言葉を書くことは少ないような気がします。だからこそ、「気持ちが伝わりますように」と、相手のことをあたたかく包み込むような言葉が多いような気がします。だからこそ、面と向かって言えないような心のうちにある「ごめんね」「ありがとう」を伝えられるような気がします。

 
私が昔、祖母に綴っていた手紙の内容は、日々のどうでもいいようなことだったり、あるいは何か一大事が起きていたり、色々だったと思いますが、どの手紙にも変わらないことは、「おばあちゃんを想い、おばあちゃんに向けられた時間がある」ということ。それは祖母への手紙ではなくとも、家族や友人、恋人に綴ってきたものにも共通して言えることです。
 
それはさらに、私だけではなく、多くの人の手元に「誰かがあなたのことを想い、あなたに向けて書いた時間」が手紙として残っているのではないかと思います。

手紙には、プライベートな内容が書かれていることの方が多いと思います。「企画展」という形で見ず知らずの人の目に触れるかもしれないということは、人によっては、手紙によっては、足踏みしてしまうようなことだとも思います。

でも、そんな特別な手紙ではなくても、「日常の手紙」や、私が小さな頃に書いたような「日記のような手紙」でも、なんでもいいと思っています。

他人のプライベートなことだからこそ、他人が見るとなんだか感じることがあったり、特別でないなんの変哲もない手紙だからこそ温かみがあったり。

誰かの手紙を読むことで、同じように、自分に対しても誰かが向かってくれた時間があったことを、改めて感じられる企画展に。「あの時、あの人がこんな言葉をくれたな」と、思い出す時間に。そして、「ちょっと手紙でも書いてみようかな」と、文字を綴るきっかけにもなればなと思っています。

もしよければこのnoteを読んでくださった全国のどこかにいる皆さんも、手紙を送って『The letters sent to you』の企画展にご参加いただければ嬉しいです。

以下、企画展の簡単な概要と、手紙の募集方法です。注意事項などもお読みのうえ、ご協力ください。どうぞよろしくお願いいたします。

 

【Yamamoto Market企画展『The letters sent to you』(予定)】
■企画展の内容
・皆さんからいただいた手紙の展示
・「手紙」に関連する書籍コーナーの設置
・「手紙ワークショップ」の開催
 
■時期
2024年冬〜2025年春頃を予定
 
【皆さんの「手紙」の募集について】
■どんな手紙を送ったらいいの?
・お手元にある大切な人からの手紙
・何かしらの理由で保管しているあなた宛ではない手紙
 (例:亡くなった母が亡くなった父へ宛てて書いた手紙など)
・ご自身が書いたものの何かしらの理由で相手へ届けられなかった手紙
 (例:手紙を書いた後に相手先の住所がわからなくなった、書いてみたものの送ることを躊躇したなど)
 
※手紙以外に、ポストカードなどでもメッセージが記されていればOKです
 
■どうやって送ったらいいの?
送っていただける方は、まずはYamamoto Marketインスタグラム宛にDMを送り、ご連絡ください。その際、送付先の住所をお伝えいたします。
 
・送付方法
 郵送
・送付物
 ①手紙
 ②その手紙を送っていただいた理由、手紙や送り主への想いなども簡単に添えてお送りください。手紙に添えて展示させていただきます。(メモ用紙や便箋など、何に書いていただいても、手書きでもそうでなくても構いません)
・送付にかかる費用
 送り主のご負担
・送付先
 DMにてご連絡いただきました方へ個別にお伝えいたします。
 
■いつまでに送る?
募集締切 11月1日(消印有効)
 
■注意事項
ご協力いただく前に必ず以下の注意事項をお読みください。
・不特定の方がご覧になる予定です。手紙本文の内容により個人の住所や連絡先を特定できるものはお控えください。
・手紙をご提供いただく前に、送り主の方の許可をとっていただくようお願いします。
 (許可を得ずに送っていただいた場合、展示に関しての責任は負いかねます)
・展示の際、画鋲などで掲示をする可能性があります。画鋲による小さな穴が開くかもしれません。
・展示後は基本的に返送いたします。返送にかかる費用については、主催者が負担します。
・取り扱いには細心の注意を払いますが、万が一、返送までの間に事故・破損等があった場合の責任はおいかねます。


『The letters sent to you』
主催 Yamamoto Market
Instagram @yamamoto_market
Email yamamoto.marketandbook@gmail.com


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