アンケート調査をやってみよう(3)
前回からだいぶ時間が経ってしまい、申し訳ありません。
来園者プロフィール調査に引き続き、今回は「来園者満足度調査」についてお送りします。引き続き調査対象施設は「京成バラ園 ローズガーデン」で、私がもし調査票を作成するとしたら…という位置付けのものです。
わかりやすくするために具体的な調査対象を設けましたが、このnoteが「満足度調査」全般について、皆様の理解を深めるのに役に立ってくれれば…と思います。
来園者満足度調査とは
来園者満足度調査とは、来園後にご自身の満足・不満足を振り返ってもらう調査です。ほぼアンケート調査の形式で行われます。
定常的に行われているものもあれば、ある限定されたテーマについてアドホックに行われることもあります。前者は「総合満足度調査」、後者はテーマの名前を取って「◯◯満足度調査」などとネーミングされることが多いですね。今回は前者、つまり「京成バラ園ローズガーデン総合満足度調査」の体で作成していきます。
この調査の主な目的は、満足度改善≒品質改善の材料を探すことです。
健全なリピート顧客獲得のため、あるいは新規顧客獲得に資する良い口コミにつなげるためには、体験に満足していただく必要があります。各体験の満足/不満を把握し、何をどう変えれば「より満足」していただけそうかを考える。これが満足度改善のための要因分析であり、つまりは品質改善のための材料探しになります。
調査としては非常にベーシックなものです。統計は見つかりませんでしたが、日本で実施されているアンケート調査の数を数えてみたら、ひょっとしたら最大勢力かもしれません。自社製品・サービスの体験者に調査票を渡せば(質はともかく)成立しますし、設問イメージも湧きやすいのでハードルが低いのです。また、目的がわかりやすいので、実施にあたり組織全体の納得を得やすいという特長もあります。
その一方、意外と軽視される傾向もありまして、よく「満足度調査をやっても、当たり前のことしかわからない」という話を伺います。
確かに、満足度調査を実施しても、今まで誰も気づかなかった、一発逆転につながる要素が判明する…などということは滅多にありません。調査データが示すのは、毎日目にしている「当たり前のこと」です。
しかし、その「当たり前のこと」にきちんと向き合うためにも、満足度調査はとても重要なのです。この「目の前の解決困難な問題に向き合う組織文化の醸成」は、満足度調査のサブ目的、裏目的とでも呼べるものかと思います。
例えば、以前勤務していたテーマパークでは、満足度を落とす大きなネガティブ要因は「混雑」でした。私の知る限り、この項目が最大のネガティブ要因でなかったときはほぼありませんでした。
でも、そんなことは見れば誰でもわかります。だから「混雑がネガティブ要因です」と報告しても「そんなことはわかっている」「この調査を実施する意味はあるのか?」と反応されることもありました。
しかし「見りゃわかるだろ」で終わりにしてはいけないのです。
人間は弱いので易きに流れます。そのまま放置すると「混雑は避けられない」「手の打ちようがない」「利益が出ているので問題ではない」という意見が広がることになります。
そんな考えで運営される施設が、長く顧客から愛され続けるわけはありません。
現実的に、混雑を完全に解決するのは難しいことです。しかし、その苦しい現実を組織全体に共有・浸透させ、目を背けずに対策を講じ続ける方向に持っていかねばなりません。
これを先ほど「組織文化の醸成」と表現しました。
その大きな助けになるのが満足度調査です。
満足度調査のデータは、「混雑をこのまま放置するなら、いずれ将来に大きなしっぺ返しが来る」可能性を、エビデンスを持って示し続けることができます。
これが混雑対策を実施し続ける意思につながります。新規施設導入など、実際に対策が打たれていることは皆様もご存じでしょう(充分ではないかもしれませんが、少なくとも手が打たれていることは認めていただけるかと思います)。
満足度調査ではその効果も検証します。
良い結果が出たのであれば、それが将来のリスクを下げたことを定量的に提示する。その成功体験が組織文化を強化する。
失敗しても、残り続ける将来のリスクを提示することや、失敗の中にある成功要因を抜き出すことで、ネガティブ要因に対峙し続けるモチベーションを維持する。
辛い現実を直視し、その対策を打ち、効果を検証する。このサイクルを繰り返す。
一見、当たり前のことがわかるだけの満足度調査は、使いようによっては、このように「品質改善」にチャレンジし続ける「組織文化を醸成する」可能性を秘めているのです。
それが、短期的なものだけでなく、中期から長期的な利益をしっかり見定めた経営のできる組織の実現につながっていきます。
来園者満足度調査の実査
なにぶん「満足度」の調査なので、体験が終了したのちの回答となるよう設計します。そのため、出口で利用者に調査票を渡すのが基本です。郵送回収できるように、送付用の封筒などを一緒に渡すことになります。
園内(≒体験中)の配布もそれほど問題ではありませんが、特に紙の調査票の場合は、体験中に回答されるリスクがあることは留意しましょう。待ち時間がある施設の場合は、待ち時間が長いほど、体験中に回答される可能性が高まります。
WEB調査画面(来園者に調査画面のURLが記載された紙を渡す)の場合は、URLごとに回答可能日時の制御をかけておくのもよいでしょう。
もしも顧客のメールアドレスを持っており、来園日が把握できるなら、来園日の翌日以降にメールでWEB調査画面に誘導するのが、最もコストが低いやり方になるかと思います。
時折、調査会社のパネルから体験者をスクリーニング(選抜)して満足度調査を実施できないかと質問を受けることがあります。
この手法でも可能ではありますが、本当に体験者であるかの確認が難しく、データの正確性に疑問が残るためお勧めしません。仮に体験者だったにせよ、来園者全体を推定するには不適切なデータであり(「代表性がない」と言います)、前述の方法でお願いした対象者に比較して記憶が曖昧になりがちという欠点もあります。
なお、前回の「来園者プロフィール調査」で書き忘れましたが、調査票を渡す相手はランダムになるように注意してください。「特定の時間帯に訪れた人に集中的に渡す」などの手法を採ると、来園者全体を推定するには不適切なデータとなります。
完全にランダムでないやり方もありますが、今回は最もわかりやすいやり方としてお伝えしていますことをご理解ください。
来園者満足度調査の設問概要・分析イメージ
来園者プロフィール調査と被る部分が多いので、そこは割愛して満足度調査独特の項目について述べます。
1.総合満足度
満足度調査なので、満足度の聴取はマストです。わざわざ「総合」と付けたのは、体験全体の満足度を取得する必要があるためです。当該調査の目的変数です。これ以外の設問は、最終的には全て説明変数になると言っても過言ではありません。
(大まかに言えば、目的変数とは「結果」、説明変数とは「原因」のことです)
基本的には五段階で取得します。「非常に満足」「満足」「どちらとも言えない」「不満」「非常に不満」などですね。四段階や七段階なども使われますが、まず五段階で始めればそれほど不足はないはずです。
五段階だと分析が機能しない、特定の選択肢に回答が異様に偏る、などの場合に四段階や七段階を検討すればよいでしょう。
この総合満足度を個別満足度(後述)の前に配置するか後に配置するかは流派によりますが、一般的にはtoCビジネスでは前、toBビジネスでは後に配置することが多いようです。満足度を直感的に判断する製品・サービスなら、直感的な印象で回答しやすいよう、まず最初に配置する。満足度をいろいろ考えた上で判断するものなら、いろいろな要素を勘案して回答できるよう、最後に配置する、という考え方に基づきます。
今回の来園者満足度調査では「京成バラ園ローズガーデン」というサービスの性質上、満足度は直感的な評価がより適切であると判断し、個別満足度の前に総合満足度の設問を配置します。
なお、個別満足度に限らず、多くの設問に答えた後では製品・サービスへの直感的な評価が難しくなるため、総合満足度の設問は調査票のなるべく最初の方に置くのが望ましいと考えます。
2.個別体験
総合満足度の要因把握のため、具体的にどのようなコンテンツや施設などを体験したか把握します。
「コンテンツ」は、前回記載した「来園の目的」に該当する項目、つまり京成バラ園ローズガーデンの「売り」となるものが中心です。「バラ」が中心になるでしょう。
他の製品・サービスだった場合も同様です。例えばテーマパークでは、個別のアトラクションやショーが対象となることが多いです。
加えて「施設」と記載したのは、満足度に影響を与える要因がコンテンツだけでなく、飲食店舗やお土産屋、トイレなどの施設全般にも及ぶためです。
調査票を作成していると忘れがちですが、飲食施設やショッピング施設における体験は満足度を大きく左右します。
トイレは満足度を劇的に上げる方向にはなかなか働きづらいですが、満足度を下げる方向には劇的です。kanoモデル(例として下記リンク先参照)における「魅力的品質」以外にも「一元的品質」や「当たり前品質」などの役割を担っている施設・サービスを忘れずに選択肢に入れていきましょう。今回は記載していませんが、一般的には案内施設やロッカー、喫煙所などが対象になります。
なお、各個別体験を軸に総合満足度を集計すると、ある個別要素を体験した来園者の総合満足度が全体に比較して高い/低い、など算出可能です。総合満足度に影響を与えた要素を明確に把握できるため、この分析手法は非常に有用です。
ただし、各体験者の数には注意してください。ごく少数しか体験していないコンテンツや施設の満足度が高くても、全体影響はわずかです。
その際、そのコンテンツ・施設を利用したくても利用できなかった顧客がいる可能性を必ず考慮してください。これは満足度調査の盲点です。
3.個別満足度
個別体験で選択されたものについて、それぞれ満足度を取得します。
満足度の尺度は分析のしやすさから総合満足度で使ったものに揃えることが一般的であり、マトリクス形式で聴取されることが多いです。
満足度が高い個別要素ほど総合満足度に影響している…と考えるのが自然です。京成バラ園ローズガーデンであれば、おそらくその最大要因は「バラ」の美しさにどの程度満足したか、でしょう。
さらに詳細に、各個別体験の満足度が、それぞれ総合満足度にどの程度影響したかを把握するための分析手法があります。「CSポートフォリオ」と呼ばれる手法がポピュラーです。
詳細はリンク先を確認いただければと思いますが、簡易的には個別体験の満足度を縦軸、総合満足度との相関係数を横軸にとった散布図を作成します。こうすることで、各個別要素と総合満足度の関係性を一覧することが可能です。
ただし「個別体験」と同様、各体験者の数には注意してください。いくら個別満足度が高くても、体験者が少ないコンテンツ・施設は総合満足度への影響は限定的です。
その要素を加味する意味でも、個別体験と個別満足度の設問を合体させることは多くあります。個別満足度の選択肢の最後に「体験していない」を追加するのです。こうすれば、体験者の少ない個別体験の満足度が高くなることはありません。
ちなみに、総合満足度と個別満足度をセットにしたマトリクス設問も多く見かけますが、総合満足度を直感的に回答できるようにするため、総合満足度と個別満足度は別々に聴取することをお勧めします。
4.満足度理由
そのものズバリで満足度の理由を聴取する設問です。多くは、総合満足度の理由を聴取するための自由回答形式での設問となります。京成バラ園ローズガーデンでは「バラの種類が多く、ボリュームに圧倒された」などの記載が多くなるでしょう。
総合満足度のすぐ後ろに配置するか、個別満足度まで聴取した後に配置するかで流儀が別れますが、前述の通り、個別満足度が総合満足度の説明変数として機能することから、その補足的な位置付けとして後者にすることが多いでしょうか。直感的な満足度理由を聴取するためには前者にした方がよいですが、その場合は自由回答の分析結果をいつも以上に重視しましょう。
個別満足度の理由を聴取するのに活用する場合もありますが、個別満足度ひとつひとつに自由回答を聴取するのは、回答者の負荷を著しく高めるので望ましくありません。
調査票を作成していると、知りたいことを全部設問にしたくなる衝動に駆られることはあります。また、部門調整時に設問数を増やすリクエストを受けることもあるでしょう。しかし、自由回答設問の増加は回答者への負荷を高め、結果としてアンケート全体の精度を低下させる可能性があります。極力避けましょう。
個別満足度があるのに、満足度理由を聴取する必要があるのか?と思う方がいるかもしれません。私は必要性が高いと思っていまして、その大きな理由のひとつが前述の「満足度調査の盲点」、あるコンテンツ・施設を利用したくても利用できなかった顧客の存在です。
目当てのコンテンツ・施設を体験できないことは満足度の大きなマイナス要因になりますが、その情報を拾うための設問として機能するのが満足度理由です。他の設問で拾うことがなかなか難しく、特に目玉コンテンツに人数制限があるような場合は必ず入れるようにしましょう。
自由回答の分析にあたり大事なことは必ず全て読むことです。
自由回答は取得しただけで放置されがちという、望ましくない現実があります。しかし、自由回答は顧客理解の材料の宝庫です。
私などは数表を読む前に自由回答から読み始めることすらあります。自由回答で全体のトーンをなんとなく把握してから数表を読むと、それぞれの数値が何を意味しているのか、非常にわかりやすくなります。
数値だけでは、どうしても「わかったつもり」になりやすい。これは「満足度」という設問が、顧客の様々な感情を「満足度」というひとつの尺度に無理やり押し込めてしまうためです(同じことは他の設問にも言えます)。
自由回答はその部分の解像度を引き上げてくれますので、取得した以上は必ず読みましょう。
その上でアフターコーディング(自由回答をいくつかの項目に分類し、サンプルごとにカウントすること)をするなり、分析ツールを使うなり、チャレンジしてみてください。
個人的には、アフターコーディングを自力でやることを「修行」として強くお勧めします。実感として、これをやり抜いた人の成長度合いが大きい。
なお、自由回答分析ツールとして私が使用した経験があるものを以下リンク先の通り紹介します。頻出語のカウントや構造化などをしてくれるので、報告の際に便利です。
ただ、生成AIの発展により、今後は自由回答の分析においても、ChatGPTなどのツールがさらに役立つようになるでしょう。既に一部の機能は利用可能であり、今後の進展が期待されます。
5.利用金額
利用金額は当然、アクチュアルデータとして把握すべきものです。ここでは、主に体験や属性に紐づく差を把握するために聴取します。手法としては、金額を直接記入するタイプの自由回答が多いと思います。「100円〜999円」などのレンジで選択肢化することもできますが、利用金額は平均値などの代表値を使う方が分析・報告しやすいためです。
京成バラ園ローズガーデンでは、主に飲食に使った費用が対象となります。
ただ、使用した金額を正確に把握するのはほぼ不可能であることに注意ください。いくら使ったかは意外と正確に記憶していないものですし、飲食に加えショッピングが対象に加わると複雑さがより増します。テーマパークに来園後、思ったよりお金を使ってしまったが何に使ったか思い出せない…という経験は皆様もお持ちではないでしょうか。
レシート内容をそのまま転記するという負荷のかかるアンケートの手法もあるにはありますが、多くのケースにおいて現実的ではありません。
なお、分析においては、同行者の影響を強く受けることに注意してください。自分ひとり、あるいは友人との来園の場合、財布の数は同行者人数とほぼイコールで、アンケートに記載する利用金額は概ね自分のために使ったお金です。一方、家族での来園ではお子様の分のお金は親の財布から出ますので、財布の数=同行者人数ではありません。さらにカップルの場合は、そのカップルの「流儀」によるでしょう(笑)。
この部分を考慮しないと、アンケート上の一人当たり利用金額が、実態とより大きく異なるものになります。実態が「家族来園者 < 友人来園者」だったとして、アンケートではその逆になる、などがあり得るのです。
実態と異なるデータをもとに検討した戦略・施策は最初からボタンをかけ違ったものになります。効果的なものが出来上がる可能性は低くなるでしょう。
6.再利用意向(継続利用意向)
もう一度利用したいかを聴取する設問です。
満足度と同様、五段階で聴取することが多く「必ず利用したい」「利用したい」「どちらとも言えない」「利用したくない」「絶対に利用したくない」などの選択肢が用いられます。また、再利用の期限を区切る(「一年以内に」など)こともよく用いられます。
基本的に総合満足度と連動して動くことが多いです。
となると、この項目は必要性が低いのではないか…と考えられるかもしれませんが、個人的に、再利用意向は総合満足度に匹敵する最重要項目と考えています(一度利用してもらえればよいという製品・サービスを除く)。
京成バラ園ローズガーデンでも、総合満足度と再利用意向が相関しないケースはあり得ます。その場合はおそらく、総合満足度は高いが再利用意向が低いと出るでしょう(低価格・低品質だが利便性が高い製品・サービスなどは総合満足度が低く再利用意向が高く出ると思います。なお私自身はそのようなデータを実際に取り扱ったことはありません)。
もしも再利用意向の設問がないと、総合満足度だけを見て「課題なし」という判断を下してしまうかもしれません。致命的な見落としとなるリスクがあるのです。
例えば、京成バラ園ローズガーデンに「飽きた」顧客がいたらどうでしょうか。再利用意向がないと見落とされる要素です。今回の満足度が高くても、次回への期待を醸成できなかったということです。
また、強力な競合が出現した場合や、同行者の生活環境・ライフステージの変化なども要因となります。
このように「満足したけれど、次はもういいかな。」と思われることは、特に観光地では致命傷になりかねません。テーマパークでは間違いなく致命傷です。
「では、再利用意向だけでなく再利用意向理由が必要ではないか」と思われる方もいらっしゃると思います。確かにその通りですが、個人的にはそれに加えて定性調査をお勧めします。再利用意向理由設問で概要を掴み、定性調査で具体的な原因その他の解像度を上げる。再利用意向の低下はそれほど重篤だと理解ください。
ちなみに、再利用意向と実際の再利用度合いには、実際に相関がある…とだけはお伝えしておきます。
詳細をお聞きになりたい方は、別途お問い合わせください。
参考記事
7.再利用意向理由(継続利用意向理由)
前述の通り、再利用意向の理由を聴取する設問です。
自由回答か、理由がある程度予想できる場合には選択肢を用意します。京成バラ園ローズガーデンの場合は前項で述べた「飽き」「競合施設」「同行者の生活環境・ライフステージ変化」などの他に「価格」が要素となることも考えられます。また、満足度理由がそのまま再利用意向理由になることももちろんありますので、忘れずに選択肢化しましょう。
今回は現時点で明確な理由が特定されていないため、自由回答形式で聴取します。その回答をもとに、頻出する理由を選択肢とする設問を作成し、自由回答設問から切り替えていく想定です。
8.推奨度
ネット・プロモーター・スコア(NPS®️)が有名です。詳細はリンク先をご覧ください。
ただ、toCの製品・サービスの満足度調査において、総合満足度と再利用意向に加えて絶対にこれが必要だ…と言えるほど活用できた経験がなく、正直、取得する必要性は高くないと思っています。
一方で、toBでの長期的な顧客関係の維持において、極めて重要な指標になり得る実感があります。
今回の京成バラ園ローズガーデンはtoCですので、設問化せずに済ませようかと思いましたが、例示として設問を追加しています。
これはあくまで流派の話ですので、もちろんtoCでも積極的に活用されて成功を収めた方、成功体験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。それ否定するものではありません。
来園者満足度調査の集計軸
定量調査は「差」や「変化」から意味を読み取ります。来園者満足度調査でも同様ですが、以下の観点がベーシックなものと思います。これらの観点に基づいて設問を設計します。
それぞれ、具体的な例を以下の通り挙げます。いずれも目的や過ごし方、満足度に影響を与える要因として考えられます。
①回答者セグメントごとの差
・同行形態の違い
→小さなお子様連れと独りでの来園では体験できるコンテンツも機動力も変わり、混雑耐性も異なる
・来園頻度の違い
→来園頻度が多い人と少ない人ではコンテンツに対する熱意などが異なる
・性別や年齢、居住地での違い
→性別や年齢、居住地により過ごせる時間や熱意、目的などが異なる
②季節・曜日・天候などによる差
・季節ごとのコンテンツの違い
→コンテンツの訴求力が異なる
・季節や曜日ごとの混雑の違い
→利用できるコンテンツの数や待ち時間が異なる
・雨風の有無や暑い寒いの違い
→コンテンツの稼働や利用するとき、待つときの負担感が異なる
③前年同期と比べての変化
・前年との施設の違い
→コンテンツ・施設の改廃があり、体験内容が異なる
これらの観点で差や変化を意識することで、品質改善の材料を見つけやすくなります。必要な設問は、来園者プロフィール調査から選定しましょう。
来園者満足度調査の調査票案
割愛した項目もあわせ、実際に調査票にしてみました。
来園者プロフィール調査から分析軸として使えそうなもの選定しましたが、盛り込めるだけ盛り込んだため、だいぶボリューミーになってしまいました。
実際のケースでは、設問を削る方向で検討します。
次回予告など
次回は「認知度調査調査」をお送りします。
来園者プロフィール調査、来園者満足度調査と異なり、京成バラ園ローズガーデンに来たことがない人、知らない人も調査対象となります。
従って、これまでにない設問が中心となってきます。楽しみに…と言いたいところですが、気長にお待ちください。
なお、トップ/サムネイルの画像はChatGPTによる「京成バラ園での来園者満足度調査のイメージ」です。再現度が妙に高いですが満足度調査要素がなく、私のプロンプトを操るスキルが不足していることを表していますね。