プロダクトブランディングを支える手帳術
こんにちは、フェンリルで現在自社のデジタルプロダクトのアートディレクション的なことを2つ掛け持ちしているえみです。
本日、正式リリースしたWebアプリケーション
ヘッドレスCMS「NILTO」
https://www.nilto.com/ja/
来年リリースする、
iPadのための絵コンテアプリ「DROMI」
2つのデジタルプロダクトの企画やデザイン、ロゴデザインや印刷物、写真、動画...それらを自分で作業したり他のデザイナーさんにお願いしてレビューしたり、アサインを調整したり、そんなことを同時にいろいろしていました。
先に謝っておくと、手帳術、とタイトルに書いていますが、ブランディングに手帳術なんてありません。
プロダクトブランディングにかこつけて、好きな文房具の話をしたい、いや、心が折れそうなプロダクトメンバーに息抜きを届けたい、そんな感じの記事になります。
本当に必要なのはテンションの保ち方
デジタルプロダクトの立ち上げを2つも同時にできるのか?
私の感想は、できるけどしんどい、です。
体力とか作業量というよりも、記憶力とモチベーションが足りない。
他のデザイナーさんがどうかは知らないけど、私は何かに取り組む前にぼんやり考えたりする余裕が必要だったりする。
自分の癖だからぼんやりしていても帳尻は合わせられる程度には大人になったけれど、たくさんのことが長い間同時に進むとそうも言ってられない。
「ああ、来週イベントだったっけ」
「明日入稿だったっけ」
「誰に何頼むんだっけ」
「予定が全部ミーティングで埋まっている...」
「他の人の作業量や内容も把握しておかないと...」
「いろんな種類のデザインチェックが溜まってる...」
私の小さい脳みそとGoogleカレンダーはもうキャパオーバー。
何も楽しくなんかない。
ブランドを作っていく過程で、自分の役割は多分
「このプロダクトはこういう素敵な世界観だよー」
ってメンバーに示していかないといけないのだけど、
一生懸命決めたロゴやブランドカラーすらもう見たくなくなってくる。
自分に必要なのは「楽しく仕事をこなすツールだ」とその時ふと思い、これまで使っていなかった手帳を使ってみることにした。
おそるおそる半額セールで購入した、SUNNY手帳
手帳を使うなんて何年ぶりだろう。
思い返せば、まだスマホが普及してなかった高校生の時以来になる。
使いこなせる自信がない私は、イオンで半額になったSUNNY手帳WEEKLYを購入してみた。
シンプルな見た目が可愛い。
後で調べてみると、なかなか評価の高い手帳らしく、色使いや罫線のデザインも凝っている。
なんとなく購入したWEEKLYだが、これが私の頭の整理にはちょうどよかった。
正確なスケジュールはGoogleカレンダーに入れているが、記憶を頼りにしているちょっとしたメモやタスクの整理をWEEKLYページにばっと書いて、処理していく。
大量のタスクも1週間あれば少しずつ整理していけるし、他の人に頼む仕事も週の前半までには連絡してしまおう、と思える。土日に全ての仕事を忘れてしまう私の性格的にも、1週間ごとのタスク管理がちょうどいい。
字が汚すぎて恥ずかしいけどお見せするとこんな感じ。
メモなんて、目の前にあるパソコンのメモ帳にすればいいじゃない。
字が汚い私はそれが自分にとって正しいやり方だと思っていた。
だけどどうだろう。IT業界に勤め出してそろそろ5年くらいになるが、書いたメモを見返したことはあるだろうか。
議事録を取ったり、誰かと情報を共有するにはいいかもしれないけど、「自分のために」とたくさん取ったメモは見返すことなく散乱している。
忙しくてたくさん残業した日々の記録も、デジタルだと綺麗にデータベースに残っていくけど、ぐちゃぐちゃに書いた手帳の方が、自分にとって価値のあるものとして残っていく感じがする。
もう一度、紙に書き綴る毎日を、過ごしてみよう。
どうせなら、ブランドの色に合わせたペンでメモを取ろう
2つのブランドでたくさんのタスクが走っているので、内容が混じらないように、それぞれのブランドカラーに合わせたインクでメモを取ってみることにした。メモの視認性もいいし、ブランドカラーの文房具を探すのはなんだか楽しい。
担当しているプロダクト「NILTO」のブルーグリーンと「DROMI」の赤みのあるオレンジのペンを色々探してみたので、需要はなさそうだけど紹介したいと思う。
まず最初に使おうと思ったのは、万年筆に入れるボトルインク。
インク沼にすっかりハマっている私は、ピッタリのインクを探すことにした。
京都発の文房具屋さんTAG STASIONALYの染料インクがずっと気になっていたので、そのインクを使ってみることに。
なんとも濁った透明感のある「秘色」は、NILTOのロゴそのままの色というわけではないけれど、世界観がピッタリ。
DROMIのオレンジが曲者で、視認性のいいオレンジはなかなかない。赤みの強いブラウンは、絵で使っても文字に使っても渋くなりそうで、オレンジは諦めてブラウンの「東山の月影」にすることにした。
並んでメモした時の組み合わせも大事で、この2色はどっちもカッコいい。だけど実際に使ってみると、染色用のインク、ということで万年筆との相性が悪くて詰まってしまった。
そんなこんなで、インク選びはやり直しに。
次は、仕事でサッと書くにはスピード感も大事にしたい、ということで市販のボールペンから色を探してみた。
Amazonでおすすめに出てきたエナージェルインフリー。
クリアな見た目もかっこいいし、ブルーグリーンとオレンジがある。
そして「最高になめらかな書き心地」というレビューもちらほら。
実際に使ってみると、確かに書き心地が良くて、ペンとしては申し分ないが、オレンジの蛍光色が強くメモには不向きだった。
ターコイズブルーは鮮やかで綺麗、ブランドのイメージにもピッタリだったで残念だ。
市販のボールペンでも、きっといい色味で書きやすいボールペンがある!
そう思ってルクア大阪のLOFTをウロウロして見つけたのがこちら。
よく目にするSARASAの高級ラインナップ、サラサグランド。
ペンに重みがあって高級感もあるし、どの色も渋くて、どれで書いてもかっこいいメモになりそうだ。
実際に書いてみた感じがこちら。
どちらもロゴの色とは少し違うが、グリーンブラックは暗くてすごく読みやすい青味がかったグリーンで、メモにピッタリ。
キャメルイエローは想定より少し黄味が強いけど、めちゃくちゃオシャレな色味で明るいのに視認性がいい。
そしてやっぱりSARASA、書きやすさは申し分なし、大事にしたくなる高級感のある本体、ということで私のペン選びはサラサグランドに決定した。
おまけで、1色で書いてしまって、後からマーカーで色分けするのもいいなと思って無印良品のラインマーカーも使ってみたいと思っている。
ブランドと離れたところで、ブランドらしさを探してみる
ペンの色や、文房具を選ぶ際に、「これはこのブランドっぽいな」とワクワクしながら考えてみる。
そうすると、楽しいだけではなくて、改めて表現したい世界観に気付くことがある。
例えば、見飽きていたブルーグリーンも、万年筆のインクとなると「ブルーグリーンが好き」と言って集めている人や、各社のボールペンのラインナップに多く採用されている人気色だったりして、改めてその色味の魅力に気づいたりした。
そして改めて考えたらどちらのプロダクトも「書(描)く」ことに関連するプロダクト。アナログでの「書く感覚」はきっとブランディングに活かすことができそう。実際、文房具の配色を意識してデザインに採用している部分もある。
私はたまたま好きな文房具で選んでみたけれど、文房具じゃなくてもいいと思う。
服とか、絵とか、インテリアとか、空間とか、物語とか、アイドルとか…。
自分の好きなもので、自分が関わっているブランドの世界観を探してみる。
仕事がほんのちょっとでも楽しくなればいいし、中にいすぎると見えない何か良い部分が、見えてくるような気がする。
2024年はトラベラーズ・ノートに挑戦
なんとなく始めた手帳のある毎日だが、数ヶ月試してみると、SUNNY手帳にも使いにくいところが出てきた。
そこで、存在は知っていたけど自分とは関係ないと思っていたトラベラーズ・ノートを使ってみることにした。
一冊の手帳で難しいのが、タスクをWEEKLYに書いてしまって、残しておきたいメモの管理が難しいこと。後半部分にメモがある手帳は多いが、できれば案件ごとにメモを分けたい。
トラベラーズ・ノートは、「同じサイズのノートを挟んでいるだけ」の構造なので、意外と用途に合っているんじゃないか、と思い使ってみることに。
入れているのはタスクや予定を管理するための小さい手帳と、ブランドごとにメモするためのリフィル。
持て余したブランドステッカーもコラージュする場所ができた。
タスクは今まで通りWEEKLYごとに管理。
ブランドごとのメモはそれぞれ小さいリフィルに書き込む。
リフィルが薄くて小さいので、社外秘の内容でも、それぞれシュレッダーで捨てやすそうなのも良いポイント。
トラベラーズ・ノートは見た目や世界観がほんとに可愛くて、
毎日ほんの少しだけど、「この手帳を使って仕事をこなしたい」と、前向きな気持ちにしてくれる。
いいブランドだな、
そんな風に自分が好きなモノ達にブランディングを教わりながら、自分もいいブランドを作っていけたらなと思う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?