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精進料理に目覚める3歩前#82 湿邪半夏雨に梅雨寒しつつ季語を服用する

夏至を超えて胡瓜が美味しそうに見えた瞬間に夏へ向かって一氣に加速した氣がした


試しに一本だけきゅうりをお迎えしてバンバン叩いて塩を揉み込んで強力な陰を少しばかり陽の方向へ引き寄せて更に味噌で陽をプラスして頂く

叩いて塩して
温める陽の食材 生姜と紫蘇と味噌で和える

安易にもこれならばそろそろキュウリさんのお世話になれる時期到来であろうとツブツブが手に触れられる程新鮮な朝採りの80縁きゅうりに出逢って喜んでお迎えしたワタクシはどうやら完全に油断している


朝採りきゅうり

自然界は1本目のきゅうりをお迎えしたド晴天の真夏日から一転してすっかり汗も引っ込む梅雨寒に突入している

梅雨寒である事を無自覚である為 きゅうりさんへどんなに塩や生姜や味噌や醤油や紫蘇を以て陽をプラスしようとも自然界の陰と手を組んだ強力な冷却作用を持つきゅうりさんにワタクシのへっぽこボディはひれ伏すほかないのである

ぎゅるぎゅるゴロゴロと鳴り響くお腹はワタクシにトイレと云うお友達を紹介して仲良くなるよう促してくれている


とはいえきゅうりをひと袋お迎えしてしまったのでどうにか無駄にしないようお腹へお迎えしようと陽の時間(昼)を狙ってちょぼちょぼ熱々のお味噌汁経由できゅうりさんをお腹へお迎えする

いくら熱々にしても冷却上手なきゅうりさんはワタクシの微々たる陽氣を易々と封じ込める事ができるらしい

ひたすらキュルキュルする腹の中にハラハラするほかないらしい

梅雨が開けてどうしようもないくらいにカラダが熱を持つまでは旬であろうとも陰に偏っているこの體へときゅうりさんをお迎えするのは延期しよう

きゅうり

自然界にある季節の氣『六氣』を陰陽分けると

には
フットワークの軽い氣まぐれな春の【風】
アツアツな夏の【火】【暑】
カラッとした秋の【燥】


長夏のジメジメして下に向かう【湿】
冷え冷えの冬の【寒】


となるらしい


これらの六氣が『過剰』だったり『不足』したり『季節の不相応』だったりするといつの間にやらカラダの適応能力をヒョイと飛び超えて不調を創り出す原因“邪”となって【六淫】となるんだとか

『六氣』と『六淫』

更に器用な事にこの邪は『寒湿』や『熱燥』のようにお互いに手を組む事が出来るらしい

春からずっと強制起床の為布団からワタクシを引き剥がしに来ていた陽氣な太陽さんも

夏至を過ぎて湿の季節となるとしとしと雨を降らす厚い雲にすっぽり隠れてすっかりお休みモードである

太陽さんに強制的に布団から引きずり出される回数がめっきり減ったのを好機として春に不足した睡眠を取り戻すべく布団に張り付き続けるも この時期の布団には油断すると【湿】がしれっと入り込んでいる


寒さに冷えにめっぽう弱いワタクシのカラダはきゅうりにあっさり平伏すくらいには陰の方へと偏っている

【陽】
【陰】


先ほど登場した六淫の中の陰に冬の【寒】と長夏である梅雨の頃の【湿】がいらっしゃる

陰に偏る偏陰體質にダメージの大きい【湿】が脾を狙う季節到来である

因みに偏陰體質(偏寒偏湿體質)は寒さと湿氣に弱くて熱には耐性があるんだとか

五行配当表【土】

【湿】の季節である【長夏】を意識する生活が必要なのは場所にも年によっても違いがあるだろうけれど だいたい梅雨の季節6〜7月で【土用】となっているので立秋の前あたり8月8日くらいまで
24節氣で夏至から処暑までとも言われているんだとか


【湿】


【湿】のイメージはおおよそ『ベタベタ』『ジトジト』『霧』『ダル重』である

湿の仕業

そんな自然界の『湿』がカラダの中の湿と手を組んで様々な不調を仕掛けてくるのがこの梅雨のジメジメ季節である

【湿】は『重濁』の性質を持っていて とにかく“重たくて濁っている”らしい 例えるならば万年床のせんべい布団であり きのこでも栽培出来そうなあの感じである

カラダに流るる水が清らかなるが理想的であるがここに『濁り』と『重み』を加えるとカラダはダル重くなり頭もなんだかぼんやり重くてスッキリせず 更には何だか痛みまであるような“症状”となるんだとか

更に水を流せば低い所を目掛けて下って行くように湿は『下降』の性質を持ってカラダの中の陰位である下半身に浮腫みを創り出す

更に更に湿はベタベタで『粘滞』の性質を持って“しつこく”執念深くお付き合いを迫ってくるのである


ああ湿濃い

因みにワタクシと生涯付かず離れずでお付き合いのある『アトピーさん』は東洋医学さんでは『湿疹』の中にあって『湿』のシツコい性質をもっていらっしゃるのでどんな時も一途に側にいたいと主張し続けてくれている

ああ湿恋

ベタベタしていたい粘着質な『湿』が邪になってカラダを犯すと分泌物とか排泄物がベトベトしてウォシュレット必須とかミイラになれそうなくらいトイレットペーパーをガラゴロガラゴロする必要性が出てくるらしい

因みにミイラの防腐剤として活躍していたのがミルラとかシナモンとかクミンなどのスパイスつまりお植物さんたちなんだとか


海に囲まれた湿氣大国日本の湿の季節

便利な世の中さんよ カラダの中の湿の具合を尋ねたいから そそくさとうんち君を便器の奥底へと連れて行かずにワタクシにひと目拝ませてはくれないかい


湿は陰邪であるので『陽氣』を傷つける事も得意としているらしい

夏は自然界がホイホイ氣前良く陽氣をプレゼントしてくれる絶好の季節である 貰い放題な筈の陽氣を妨害するべく立ちはだかるのが陰氣でジメジメした【湿】である

重濁で粘滞質な湿が臓腑や経絡でベタベタ モタモタしているとスイスイ運行中の氣を邪魔してみたり経絡の運行をも妨げてなんだかスッキリしない感を生み出したり嘔吐までも引き起こしたりするらしい


そしてそして秋の【燥】が肺を傷ろうとするように 冬の【寒】が腎を傷ろうとするように 梅雨の時期長夏の【湿】は『脾』に狙いを定めている

湿が邪となって體内に停滞してしまうと脾胃の運化作用を妨害してヒイヒイ言わせて食欲不振や嘔吐のような“症状”を生み出すんだとか

【脾】

そもそも五臓の『脾』は何をするところなのかであるが【消化吸収】【水分や栄養の代謝】などなどを担っている機能を『脾』と呼ぶらしい

おおよそ消化器であろう

その『脾』のメイン活動が【運化作用】で飲食物をせっせとカラダに必要な栄養分に変化させて運んでくれているんだとか

『脾』の運化作用

この『脾』の運化作用が上手く機能していたら消化吸収はサクサク行われる為カラダに氣血が満ち満ちるらしい

脾弱のワタクシのような場合は逆に『消化不良』『食欲不振』『食後の眠氣』『軟便』『下痢』とお付き合いする羽目になるんだとか


そのほかの『脾』のお仕事はこんな感じらしい

『脾』のお仕事

幾つになろうともそのひ弱さ故に食後にお腹はドデンと見事な幼児体型の如きに飛び出ていて そんなワタクシに銭湯で出逢った方は大抵ワタクシに学生さん?と尋ねてくださる

声をかけてくださった方は脾の丈夫に成り切っていない幼児の如き腹を無意識に認識していらっしゃるのであろう

脾の丈夫になっているであろう“大人”の腹の出方ではなくて『脾』の昇提作用が本来あるべき位置まで内臓を持ち上げられていないぞうと外見からも脾弱であると証明しているらしい


このまま再び五行配当表の『土』の行を追いかけてみる

土の行

じめじめした湿の多い土用にダメージを受けやすい『脾胃』の不調は肌肉に顕れる

食べ過ぎればブヨブヨ 少食でガリガリと体型に現れる【肌肉
食べ物の味がに美味しく感じられるのは脾の運化作用がちゃんとお仕事をしてくれているからで学生さんのお弁当後の午後の授業中のようにヨダレを垂らして(@ ̄ρ ̄@)眠っているのは食べ過ぎたり消化器系が弱っている時で 赤ちゃんのヨダレはまだ脾胃が整っていないからなんだとか

がぷるんぷるんでツヤっ艶なのは脾が正常運行中である証拠なんだとか 

脾胃と唇

上唇さんが胃の調子を代弁して下唇さんが腸の様子を代弁してくれていて口角炎は消化器全般がヒイヒイ悲鳴をあげている事を目に見えるカタチで代わりに訴えかけてくれているらしい

"ニッポンジンは胃腸が弱いー!"の歌詞のようにグルッと海に囲まれている湿氣大国に住む日本人はウォシュレットが開発されて大活躍する程に湿に消化器である『脾』を傷られやすい環境にあって 実際に脾が弱っている場合 肌の色が黄色っぽくなるんだとか

【湿】に戻ろう
日本の夏は【暑邪】と【湿邪】によって蒸し暑いんじゃである
暑邪はまたいつかどうしようもない暑さがやってきた頃に向き合うとして湿邪の絶好調な時期の暮らしから見直して行こう

湿は肌から肉から脈から筋から湿氣や霧となってカラダの中へと侵入してくるらしい

陰邪である湿に下降の性質があって下へと降りて来るのが得意であるがゆえに完成するのが きのこ栽培が可能になりそうな万年床のせんべい布団であるとしたら 湿に入り込まれないようにするには陽当たりと風通しの良い部屋で床から離れた高さのある位置に寝床を設定するのが理想的である

畳の上でひたすらゴロゴロするあの至福の時間は湿の季節の間はお預けした方がいいらしい

秋になって【燥】が迎えに来てくれたら思い切り畳に貼り付いてゴロゴロし続けよう


自然界が生み出す外側の湿を追ってきたけれどその自然界の湿に結びつくカラダの内側の湿はどうやって生まれてくるのかである

ここで再び脾に寄り道しよう
湿によって運化作用を邪魔されてしまう脾はジメジメした湿よりもサラッとしている乾燥が好みなんだとか

口から脾へ送るものも出来るだけ軽いものを選んで “肥甘厚味”を遠ざけて行く

肥甘厚味
脂っこいもの甘いもの味の濃いものは美味しいけどダル重い

お菓子や果物や甘いものや乳製品のやお酒などはこの時期優先的に距離を取っていきたい

湿は食べ過ぎや偏食を経由してカラダの中に生まれてくるらしい

食べ過ぎ 飲み過ぎ 辛い物愛し過ぎ 冷やし過ぎ

蒸し暑い密室にて生ゴミを培養するか 中途半端に冷えた密室にて生ゴミを培養するか?状態である

栄養になってくれる事を期待して胃袋へ迎え入れたはずの飲食物さんに申し訳なさすぎる

痰の発生源はヒイヒイ悲鳴をあげている『脾胃』であるらしい

痰の色

油断してうっかり胡瓜さんを迎え入れた事により中庸に向かって陽の方へと向かって進んでいたはずのワタクシの人生ゲームは振り出しへと戻っている

陽氣を補う人生ゲーム

ワタクシの中にいる湿は多分に寒湿であろう
少し温まれば湿疹となりアトピーさんが復縁を迫ってくる

何となく養生で生きて行ける程ワタクシのカラダのへっぽこ具合は甘くないらしい

確か昨年のこの時期は御守りに『補中益氣湯』を肌身離さず持ち歩いていた


キキョさん

湿と梅雨寒の外側からの陰と胡瓜さんを迎え入れて生まれた内側の陰と結びつけてのダブルパンチ状況を作り上げてしまっている

ベタベタや冷却が強そうな食べ物にはキッパリお別れを告げておいた方が良さそうである

砂糖さん 果物さん 生野菜さん お刺身さん ナマモノさん 乳製品さん しばらくさようなら

油ものさん 少し距離を置きましょう
そもそもワタクシのカラダには胆汁が少なすぎるので油の消化を促すようアブラカタブラと呪文にさえ頼らなければならないようです

などと独りごちつつ歩いていると何だか見覚えのある植物が花壇からニョキっと飛び出している

牧野植物園さんで拝見した薬用植物にあったようなと忘却前提で作っておいたメモをひっくり返して再会したお名前が“半夏”である

【半夏生】

半夏

夏の半ば花が咲く頃に採取するから半夏で悪心 嘔吐 消化不良 咳嗽 去痰などの改善に用いられるんだとか

自然のリズムにうまく載せて貰っていればその時期の養生に必要なものを自動的に提供して頂けるらしい

そりゃ草どうしたってが楽しくなっちゃうはずである


因みに花の周りの葉が白く美しいハンゲショウさんはドクダミ科のお植物さんであるらしい

『半夏生』は七十二候ひとつ“ハンゲショウズ”から作られた暦日で夏至から数えておおよそ11日目の7月1日か2日くらいで (天球上の黄経100度の点を太陽が通過する日であるらしい) この日に降る雨は『半夏雨』呼ばれていて大雨になることが多いんだとか

半夏生までに田植えを終えておくとか農作業の目安になっていて この日から七夕までは休みとしていたり この日は天から毒氣が降ると言われていて井戸に蓋をして毒気を防いだり 土にも毒が回る頃なので種まきや土に触ることは厳禁とされていて この日採った野草は食べてはいけないなどとも言われているらしい

胡瓜事件によって冷却作用の強い夏野菜さんにさようなら宣言をしたワタクシは半夏生前日に農薬の心配も化学肥料の心配も遺伝子組み換えの心配も要らない野草さんの恩恵に預かるしかないと雨の合間を狙ってこの時期ワシャワシャ生えている カラムシさんと桑葉さんをお迎えしていたのである


カラムシ
桑葉

半夏生当日の朝バケツをひっくり返したような大荒れた雨に『半夏雨』の信憑性を思い知る

土の毒のお話はワタクシのようなNO天氣な浮かれぽんちが半夏雨の威力を知らずにノコノコと野草探しに河川敷などに赴かぬように戒めてくださっているのかもしれないと雨音を子守唄に布団の中へ逆戻りする

読んで字の如く半夏生は当然“夏”でおおよそ汗をかく季節である

『脾』の運化作用の妨害行為のひとつに【逸】がある

働きすぎ 動き過ぎの肉体的疲労は氣血が消耗しカラダの機能が低下したり精神的な疲れに消耗してしまう【労】によって脾の運化作用が下がるのは想像に難くない

【逸】はその逆である 
休み過ぎ 動かな過ぎて氣血が巡らずに脾の運化作用が働けななってしまうなんて事があるらしい

どうやら脾にとっては梅雨を理由に布団の中でゴロゴロと至福の時間を過ごすなんぞ言語道断であるらしい

どれだけカラダの巡りを良くするものを取り入れようとも外側が動かなければ意味がない

キキョさんに抗う為に筋肉は裏切らずに強い味方になってくれているのだ

『氣』の働き

筋肉の少ないカラダを好み
寒さや手足の冷えを歓迎して
冷たい物で下痢を促す

 そんな『寒湿』にカラダを支配されている場合ではない

【薬味】


飲食に生姜ニンニク 山椒胡椒 唐辛子紫蘇 ヨモギなど温熱食材を意識的に迎え入れる

夏の暑さによって體表に熱が集まり始めるとお腹に陰が生まれ始めるので暑い夏はお腹が冷えやすくなるらしい

実際に汗をかいた後にお腹に触れると驚くほどひんやりしている

夏の定番そうめんの薬味にネギ茗荷生姜がいらっしゃるように夏の陰に薬味として温性食材が大活躍していらっしゃる


【夏野菜】

夏であるとはいえここまでキンキンに冷えに支配されてしまったならば胡瓜スイカ ナストマトなどの土の上に実る冷却作用の強い陰の夏野菜はどれだけ美しく見えようとも梅雨の雨の日 曇りの日のように涼しい日などは特に汗が湧き出て来る日以外はとことん距離を置くよう意識する


ミニトマト

とはいえ実際冷えにカラダを支配されている時には夏野菜豆腐を見てもお腹はちっとも興味を示さない

幸い祇園祭の時期には胡瓜さんと距離をおく慣習があるらしい

京都駅の祇園祭の説明

一昨年までは黒く重い雨雲が登場しただけでお腹をくだしたりゲロゲロしていたワタクシである そんな状態に逆戻りすることは何としても阻止したい

湿の入り込んでいるカラダが熱を持てばアトピーさんがモゾモゾし始めて涼性の食べ物が美味しそうにキラキラと輝いて見えることであろう

梅雨の雨がしとしとしている間は除湿して氣を補う事に集中しよう


【夏野草】カラムシ


半夏雨に打たれる前に探し歩いてお迎えしたカラムシさんはどうやら夏の季語であるらしい

カラムシ

どこにでも雑草として生えているカラムシさんはどうやらカルシウムモンスターであるらしい

同じような調理法が合うほうれん草さんに比べるとシュウ酸の心配も大して要らなさそうだしクセも少ないし カルシウムは約57倍も含まれているらしい

約57倍と言われても数字が大き過ぎるしカルシウムを求めてほうれん草をお腹へ招待して来た訳でもないので数字の偉大さがどうにもピンと来ない
カルシウム系の話題の先頭にいらっしゃるであろう食材 牛乳さんと比較してみる

苧の牛乳割り

25倍?牛乳さんによるお腹ゴロゴロ乳糖不耐なんぞ氣にすることなくホルモン剤も氣にせず リンによるカルシウム吸収妨害を受けることなく牛乳さんの25倍ものカルシウムが食物繊維と共に摂れちゃう上に0円だしいつでもお手軽に手に入れられるらしい

ありがたフィルターを経由して眺めるカラムシさんの表の緑色は鮮やかで裏は美白で風に靡く姿は遠くからでもついつい見惚れてしまう程である

油炒めや天ぷら カレーやスープ ジェノベーゼソースと相性が良いらしいが絶賛除湿作業中のワタクシは脾胃にはカラムシさんを油を経由せずにお迎えしたい

茹でる


除湿シーズンはこの一択でお迎えしよう

美白な葉裏


苧のおひたし
玄米せんべいの苧サンド
からむし丼だったはず

茹でて海苔と胡麻を加えて生姜パウダーを溶いた醤油で和えてカラムシ丼 

この時期のカラムシさんは太陽にあまり燦々されていない日陰寄りの先端の柔らかい芽を湯掻いて軽く水に晒してから食卓へとご招待する

このカルシウムモンスターである苧さんとお付き合いを初めてある漢字を思い出す

【體】

この難読漢字である“體”に初めて出逢ったのは漢方における3バイブルのうちのひとつで中国最古の医学書で中国医学の基礎理論を記した『黄帝内経』だったように思う

『體』

初対面にて漢字の生々しさに圧倒されつつ何度も出逢うこの漢字を調べて見るとどうやらカラダを意味するものであるらしい

安田登さんの本『日本人の身体』にて“からだ”と云う言葉の登場やその音の由来の興味深い記述に出逢う

日本には"からだ"という言葉は無くて実と同源である命と魂の詰まっている"み(身)”という言葉しか無かったようである

体と云う文字は"殻だ" 體が殻である状態は魂が抜けた状態 つまり死体 死んで空になったカラダに使われていた漢字が“体”であるんだとか

江戸時代の初期に書かれた『日葡辞書』の"からだ"の定義は

死体
時には生きた身体の意にも用いられる卑語

であったらしい

つくづく漢字を作り出してくださった大昔の方々が漢字に込めてくださった意味の深さや理を思い知る

もまた然り


骨が豊かであってこそ體であるのならばワタクシのカルシウム摂取をとことんカラムシさんに依頼して行きたい

カラムシさんは一年を通じて活躍期間が長そうなのも魅力的である

この梅雨時期にカラムシ散策をしていると大抵近くにいらっしゃるのが桑葉さんアキノノゲシさんカンゾウさんツユクサさんである

【夏野草】桑 アキノノゲシ 萱草 露草

アキノノゲシ
カンゾウ
すっかり採るほうに夢中で撮る方が疎かである


ツユクサ

シルクを生み出すお蚕さんが桑葉をバリバリと食せるのだからニンゲンも桑を食せるであろう

アキノノゲシさんには同じキク科のレタスさんよりも強烈な苦味の活躍を期待して良さそうである

甘味は脾の味方になってくれるだろうし 苦味は湿によって脾に滞在中のじめじめを追い出すよう動いてくれるであろう

夏の濃い緑の中に鮮やか橙色を撒き散らすカンゾウさんはホンカンゾウである金針菜さんの持つ効果を期待したい

要らない水分を追い出すのが上手なツユクサさんも湿の季節の強い味方であろう

湿によって脾がモタモタして食欲とはご縁が遠のいている間は野草さんたちに協力して頂いてあっさり一汁一菜を目指して行きたい


桑の葉どんぶり
苧 桑葉 萱草 葛
萱草を漬ける
アキノノゲシ雑穀おにぎり
桑葉 苧ツユクサ オオバコ 萱草 アケビ

蔓先を頂いたクズさんはマメ科のお植物さんなので同じくカラダの水巡りを得意としているがワタクシが距離を置いている冷却作用抜群のトマトやナスや胡瓜や冬瓜やスイカに代わって活躍を期待したい

【苦味】

桑やアキノノゲシさんが持っている苦味は夏の暑さにも湿にも立ち向かえるよう味方をしてくれるらしい

苦味

とはいえ冷えているワタクシは摂りすぎ注意かつ取り扱いにも氣遣いが必要である

苦味のある緑茶さんもこの時期は大いに活躍してくれる

緑茶
チャノキ
お茶の働き

ズビズビと熱いお茶を啜ってお腹をスッキリさせて貰おう

【麦湯】

ハトムギ茶も除湿が得意な飲み物であるらしい

ハトムギ茶
麦湯

ハトムギさんも微寒で冷やし上手な筈なので熱々のお湯で煮出して汗で流れ出る分の塩をちらちら塗してからいただきたい

どうやら麦湯は夏の季語でもあるらしい
キンキンに冷えた麦茶となると冷却力が強力すぎる

どれだけ暑いとはいえキンキンに冷えた麦茶に冷やして貰った分と 冷やし上手な麦茶がカラダを冷やしてくれる分の體温を氣の温めるチカラによって36℃近くまで持ち上げるのはひと苦労である
更に空調が効いていたりするのだから麦茶は麦湯でいただきたい


知らぬ間に汗をかいている野草散策のお供もハトムギ茶さんにお願いする

水筒の中にハトムギ茶のパックごと入って貰って暑さであっという間に空になったら湧水さんをお迎えしよう

梅雨の雨を避けて【逸】にならぬよう青空を見つけては弁当を持って太陽光を浴びに出かけてみようと思い立つ

脾胃がヒイヒイ言わぬようひたすらあっさりした一汁一菜を理想とした食生活を保ったお弁当のアイディアが湧き出るのを待つよりも重たい雲が再び青空を覆い隠す前にあるものを詰め込んで外へ飛び出す


オカヒジキさん
オカヒジキ海苔和え
ニラの醤油和え
詰め込み弁当

そそくさとお弁当を掻き込んで野草をひたすら追いかける

普段はあまりお世話になる機会の少ないニラさんであるが梅雨寒ですっかり冷えに寄っているお腹をガッツリと温めて貰おう

ブラックベリーと梅の酸味には汗をかきすぎないようコントロールをお願いして ブラックベリーの酸味と甘味に発汗によって失った潤いを補給して貰って これまた夏の季語である梅干しに野草散策の疲労回復をお願いする


散策中に出逢う季節のベリーナワシロイチゴさんはこれまた散策中に出逢ったミントさんと共に晩ごはんのデザートへ

ナワシロイチゴ
ミント
ミントとナワシロイチゴのデザートサラダ

生食しない宣言は何処へやらであるが自然がくれる旬はエネルギーがドカっと詰まっているので生でも少量脾胃へとご招待したい


ブルーベリー
桑の実
ブラックベリー

汗をかく時期の果物『ブルーベリー』『桑の実(マルベリー)』『ブラックベリー』『ナワシロイチゴ』酸味と甘味に発汗によって消費した潤いを補って貰おう

【甘】

『雑穀』『カボチャ』『とうもろこし』『なつめ』『高麗人参』など自然な甘みのある食材にひ弱な脾に元氣を補って貰う

カボチャ
とうもろこし
なつめ



【草木染め】【服用】


それにしてもアクが少ない筈の苧さんを茹でてみると毎度ドバッと黄色が湯へ飛び出している

排水溝さんは苧由来の色水をガボガボと氣前良く飲み込んでくれているが どうにもMOTTAINAI症候群のワタクシには色が惜しいので草木染めのお動画を見漁って苧の色のエネルギーまで頂く一物全体を企んでいる

同じく色に溶け出た植物のエネルギーを排水溝さんばかりがガボガボ飲み込んでいる状況を指を咥えて眺めるだけで済ませまいとしているのが薬湯さんである


滋賀の『麗山湯』さん
奈良の『薬師湯』

ワタクシひとりが一回入浴する為だけにこの美しい色を使うのはどうにも惜しい

薬湯

薬湯さんにカラダの芯から温めて貰っている時にふと飛び出して来た単語は“服用”である

薬草の活躍の幅は内服だけでなく服にも用いる事が出来る 肌も呼吸しているのだからそりゃお肌だって触れるものは心地よいものが良いはずである

アトピーさんが喜ぶ化学繊維をすっかり肌から遠ざけてそのままアトピーさんとも疎遠状態に突入している為 肌に触れるもの全てを綿とシルクに頼り切って居ることすら忘れている

お風呂に入れる前に煎じた薬湯さんに陽のエネルギーを持つであろう塩を加えて入浴剤にするその前に濃厚な色を服へと頂戴する

薬湯

生成りのオーガニックコットンの服に薬湯の煎じ液へと浸かって色をグングン吸収して貰って その後煎じ液はお風呂で再度活躍して貰う

乾いた布は優しい色合いに生まれ変わって ガツンと薬草の香りに包まれている

薬湯染め

服用するにはモッテコイである
薬湯を用意する度に染め重ねて行けるのでひたすら薬湯を服用して行けるであろう

カラムシさんの色濃い茹で汁もいつの日か活躍を期待しようと目論みながら歩いている時に出逢ってしまったのが1883さんのコーヒーと藍染めのグラデーションストールである


1883さんの藍とコーヒー染めのストール

その優しい色合いに一目惚れしてデレデレしながらお迎えして未だにその美しさにハフハフし続けている

氣づけばすっかり藍ある暮らしを謳歌している
青汁も藍 お茶も藍である

藍のお茶

藍のお茶染めをしてみるのも楽しそうである

草木染めについて調べていたらずっと疑問に思っていた男の子のブルー 女の子のピンクの色の謎がすんなり解けて合点まで到達する

まず薬の相棒となっている単語“服用”について知る

紀元前3世紀ごろの古代中国における儒教の経典四書五経の中の『通義録』という医学書によると「草根木皮は小薬 鍼灸は中薬 飲食衣服は大薬」 であるらしい

草根木皮を薬として用いるのが小薬で
カラダをハリや灸で刺激するのが中薬で
適切な飲食と快適な衣服を着る事は大きな薬となり得るんだとか

病にならない體を作っておくのが最も病氣と無縁で居られる予防の東洋医学さんの発想はワタクシの大好物である

男の子のブルーと女の子のピンクの答えは藍と茜の草木染めの服用にあるらしい

藍の持つ『抗菌』『抗紫外線』『排毒』の効果は
女の子よりもカラダの弱い男の子を菌から守って免疫力を強化してくれるよう働きかけてくれるらしい

藍の首巻き

対して茜の持つ『浄血』『保温』『細胞活性』作用は女の子の細胞活性を高めて将来の多産を願ったんだとか

茜の巾着

草木染めは自然に合わせて光に馴染んでくれるから目が疲れずに済むのも嬉しいポイントである

因みにストールで藍とグラデーションしてくださっているコーヒーもアカネ科のお植物さんであるらしい

大薬とは意識的に永いお付き合いをして行こう


冷えに入り込まれているカラダにはどうやら中薬も必要である

【灸】

せんねん灸さん

久しぶりに長浜をぶらぶら歩きながらせんねん灸さんへ辿り着く

待ち時間もなく空いている店内にすんなり入ることが出来たのでじっくりとお灸を据えて貰う

梅雨寒と胡瓜と逸によってすっかり冷えを招待してしまったカラダはお灸の熱を感知しない
同じところに上限の3個までお灸を据えたところで漸く温かさが届いているようないないような状態で思いのほか強烈な冷えにカラダの陰位を支配されているようである

更にお灸のアドバイスをくださった店員さんの肌の色に比べるとワタクシの肌がとにかく黄色く脾の弱っているサインとして放っている

旅先にも連れて行けるよう煙の出ないお灸をお迎えして症状別のツボの紹介やおまけのお灸を頂いて“冬病夏治”生活を本格化させる準備を整える

煙のでないお灸
症状とツボ
貼るお灸
『湧泉』
『三陰交』

しとしと雨降る陰湿に冷える朝に下駄ばかり履いてゴツゴツマメだかタコができている足裏の『湧泉』に灸を据える

若杉ばあちゃんの『食養相談室』によると食事改善による“食い改め”を実践して行くと排毒現象のひとつとして踵がカチコチになることもあるらしい


無性にたこ焼きが食べたくなったのはバケツをひっくり返したような雨の降る半夏生でこの時期にタコを食べるのはタコの持つ豊富なタウリンが疲労回復を得意としているからなんだとか

たこ焼き

氣血を補って體力をつけてくれるタコさんはキキョさん ケッキョさんから體を守ってくれる強い味方で 肝機能を高めてくれたり 口内炎や肌荒れ 目の充血の改善までもサポートしてくれるらしい

山鉾巡行を眺めて改めて夏を実感する
山鉾巡行の時期が梅雨明けの目安であるらしい

曳き初め
『菊水鉾』
『鶏鉾』
『月鉾』
『長刀鉾』

いよいよ冬病夏治を願う夏本番『三伏天』の始まりである

大原の紫蘇
ヒオウギ


祇園祭の期間に出逢えるお水さん 御手洗井

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