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葵と桂に玉依姫を追い 温かを含む水に逢うは寒の京

おおよそ小寒の頃になると無性に京のお水が恋しくて恋しくて居ても立っても居られなくなってしまう

とはいえ筋金入りの怠け者根性はわざわざこんな極寒の時季に天氣予報に雪マークが並ぶ凍れる京に戻らなくてもとぬくぬくした誘惑を送り込む

そこへ更にここ最近はエンターテイメントを提供してくれる占いの書である易経が【風天小畜】にて重い尻をペチペチ叩く

その内容は

弱い力によって少し引き止められるが
ここで横道に外れてしまったら
戻りたくても戻れなくなってしまう

と何とまあもう愛おしいお水の待つ京に戻る以外の選択肢なんぞ持とうものなら ねえ?みたいな強烈な卦である

冬を乗り越える為の強い味方である貼るお灸もそろそろ底をつきそうなのでどうやらお買い物のタイミングとしてもベストであろう

氣虚さんに兎にも角にも熱を奪われる季節なのでまずはえべっさんのお祭りの熱氣から頂こう

えべっさん

そして凍れる京の底冷えから救い出してくれる救世主のお灸さんがたをせんねんきゅうさんのショールームにお迎えに行く

ホッカイロ型 煙のでないお灸 貼るお灸
二十四節氣カレンダー

お灸のツボや季節の養生や七十二候まで書かれている立春スタートの二十四節氣カレンダーなどお土産までたんまり頂いてホクホクしながら京の水の元へと出発する準備を整えていく

防寒

冷えの入り込みやすい下半身のツボ三陰交に丸いお灸を貼って腹巻きの中にもホッカイロ型のお灸を仕込んでおけば冷え過ぎてお腹が痛いとかトイレに何度も何度も呼び出されることも無いはずである 

背中には真綿まで背負って居るし足指から膝下までは草木に暖かな色を頂いているレッグウォーマーが伸びてくれている


絹の布に入れてベストの背中に装着中の背負い真綿
和歌山のKnitido+さんの草木染め靴下とレッグウォーマー


そしてそしてお腹の中からぽかぽかさせてくれる後発酵茶のプーアル茶

真っ黒でお腹ぽかぽかにしてくれるプーアル茶

数年前までの冬の寒さから逃亡していたワタクシにこんなにも冷えから救い出してくれるアイテムが存在してくれているのだと自慢したいものである

ぽかぽかアイテムを並べニヤニヤ悦に入っているが使ってこそなので全て装着して水筒に熱々のプーアル茶を注ぎ そういえば腕用に穴の空いた靴下をカットして作ったアームウォーマーがあったと思い出し手首を温めるべく装着して マフラーで風邪の入り口を封じ手袋をして 念には念をと抜群の保温力のある布団の表の正絹の絞りをストールとして鞄に詰め込んだら準備万端であろう


靴下アームウォーマー
布団のオモテの正絹さんはストールに



ちょうど阿部智里さんの小説『玉依姫』を拝読し終えてすっかり玉依姫さんにミーハー氣分であるに加えてすっかり季節の教科書となってくださっている吉野裕子先生の『カミナリさまは、なぜヘソを狙うのか?』で五行説に基づいて解説されている京を改めて五行説目線でなぞりたい欲に駆られている



馬と火水と陰陽五行

昔は日照りが続いてどうにも恵の雨が欲しいときや 逆に雨が続いてそろそろ太陽さんに出てきて貰いたいとき 神社さんに祈るだけではなくウマを神社さんに奉納するという風習があったんだとか

民俗学ではその理由はお馬さんが神の乗り物であるからと説明なされているらしいが吉野裕子先生によると陰陽五行説にお願いするとスッキリする答えを頂けるらしい

祈雨の場合同じウマでも"黒い馬"を祈晴の場合は"白い馬"を『続日本紀』によると伊勢神宮に"赤い馬"を奉納してきた記録と古墳時代の出土品からは"土の馬"をも発見されているんだとか

そしてこの4つの色に青を加えるとあらスッキリ五色が完成する

五行:木火土金水
五色:青赤黄白黒


ウマは十二支でいえば"午"で五氣では“火氣”となる

ウマは火にある

黒は"水氣"でウマは"火気"だから"黒い馬"となると"水と火"

その"水"と"火"の関係は"水剋火"で火に勝つのは水となる

相剋
水は火を消す←ここ⭐︎
火は金属を溶かす
金属は木を伐る
木は土の養分を吸う
土は水を堰き止める

降雨を願うときには日照りを解消する為の祈りを込めて相剋で"黒い馬"を奉納する

次にちょっと凝っている“白い馬”はまず白のある"金氣"は相生で"金生水"で"水"を生む

相生
木はキュルキュル火おこしして火を生む
火は燃えて灰となって土になる
土を掘れば金属が発掘されて
金属の周りに水滴が結露して←ここ
水から樹々が育まれる


午の"火氣"と白の"金氣"の関係は火が金属を溶かして勝つ"火剋金"だから“火氣”で"水"を生む"金気"を抑えるため"白い馬"を奉納して晴天を祈る

"赤い馬"は赤もウマも"火氣"でダブル火氣で太陽の復活を祈るらしい

太陽が欠けて行く日食には赤毛のウマ2頭を伊勢神宮に奉じたという記録が『続日本紀』に残されているんだとか

因みに"土の馬"は洪水のあったであろう遺跡から出ているらしいので吉野裕子先生は"土の馬"を"火生土"で火が生み出す土が"土剋水"によって水を抑えることができると解釈していらっしゃる

水の神様である高龗さまをお祀りしていらっしゃる絵馬発祥の杜 貴船神社さんの馬の絵馬と説明書に合点する

桂と葵の土剋水

神紋の葵は草冠を外すと癸(みずのと 水の弟)で水の正位であるらしい

水の弟 癸 みずのと

水の都である京を御守りしてくださっている貴船神社さんも上賀茂神社さんも下鴨神社さんも松尾大社さんも神紋に葵を掲げていらっしゃる



そして今回はミーハー根性丸出しで玉依姫さまにご挨拶に行こうと鼻息フンフンしながら調べていた滋賀の日吉神社さんの東本宮もまた葵の紋なので もうウハウハである

更に貴船さん上賀茂さん下鴨さん松尾さん日吉さんの全てのお神社さんで愛おしいお水に出逢えるのだからワクワクが止まらない

癸とは"十干"の10番目で天から降り注ぐ雨や霧など大地のお恵みとなってくださるお水のイメージで最近では2023年が癸で卯の年だったんだとか


吉野裕子先生は本の中で上賀茂神社さん下鴨神社さんの例祭『葵祭』も陰陽五行説で解説してくださっている

因みに例祭とは神社さんで行われる年1回の代表的なお祭りの事なんだとか


さてここからはむかーし昔の欽明天皇の時代 今から1,500年ほど前のお話であるらしい 

そのころ国中ではとにかく風雨が激しく荒れた日々が続いていたので 何が原因かと占ってみたところ どうやらその荒天は賀茂大神の祟りであるらしいとなったので上賀茂神社さん下鴨神社さん ふたつの神社は四月の吉日にひとつのお祭りを行うことにしたんだとか

鈴をかけたウマとイノシシのかぶりものをつけたニンゲンが競走をするという何とも不思議なお祭りをしたところ 酷く荒れていた天氣が見事に回復してその年から豊作が続くようになったことから賀茂御祖神社と賀茂別雷神社さんの葵祭の祭礼が始まったそう

イノシシが水でウマは火なので水剋火
更に水であるイノシシの中に土であるニンゲンが入ることで土剋水でイノシシの水を内側からも土のニンゲンによって痛めつけるダブルパンチ作戦を仕込んだ上で競争すればもちろん上手くウマが圧勝して見事に天氣が回復する

この風雨鎮静祈願のお祈りレースが葵祭の起源で
その葵祭の執り物(お祭りで神職さんが手に持つもの)が葵と桂であるらしい

葵は水で土が2つも重なる桂はもちろん土氣を表す植物でこの2つの関係は土剋水で葵と桂のコンビも京の都を水害から守るよう祈ってくれているんだとか

松尾大社さんのあたりの地名も桂だし目の前を流れている川の名前もまた桂川であるし松尾祭では本殿・楼門のほか各御旅所の本殿も神輿も神職の冠や烏帽子まで葵と桂で飾るらしい

貴船神社さんには大きな桂の御神木

貴船神社さん御神木の桂

御神木の桂は御本殿のみならず川上にある結社さんにも奥宮さんにもあって京の街を水害から守り続けてくださっている


吉野裕子先生は上賀茂神社さんの立砂に込められている祈りも解説してくださっている

立砂の円錐型は炎の象で砂は土氣そのもので二基の“2”は火の生数で立砂は"火生土"の法則の造形化であり土を無限に生み出す呪物として都を水害から守る強い意志を現しているらしい

上賀茂神社さんの立砂


さていよいよ愛おしい寒のお水を

貴船神社さんの御神水
水は命
松尾大社さんの神泉
上賀茂神社さんの神山湧水
日吉大社 東本宮さんのお水

水神 玉依姫さま

さてさてミーハー根性丸出しに追うは玉依姫さまである

貴船神社さんの奥宮の説明書きによると

当地は貴船神社が当初創建されたところで
当社の祭神も本宮と同様
水や雨を司る神「高龗神」である
社伝によれば
「正天皇の時代(五世紀初頭)に 玉依姫命(神武天皇の母)が黄船に乗って
浪速(大阪)から淀川 鴨川 貴船川をさかのぼって
当地に上陸し そこに祠を営んで水神を祀ったのが当宮の起こりである」とのことで
地名及び社名の起源を
この「黄船」にもとめる説もある
 境内の本殿横には
この伝説にまつわる「船形石」があり
これを積み囲んだ小石を持ち帰ると
航海安全に御利益があるとされた

と どうやら玉依姫さまが上陸して水神さまをお祀りしたところに貴船神社さんの起源があるらしい


ワタクシがすっかり玉依姫さまに魅せられてしまった阿部智里さんの小説『玉依姫』の中の会話をレンタルしたい

「八咫烏と猿を、神使として同時に従えることの出来る山神──そして、玉依姫の名を冠した母を持つ神を探した結果、賀茂別雷神に行きつきました」  大天狗との話し合いの結果、この山にある信仰は、日吉大社の祭祀がもとになったのではないかという結論に至ったのだ。「日吉大社の大山咋神は、賀茂の玉依姫と結婚したとされています」  賀茂の玉依姫は、川遊びの最中に丹塗りの矢を拾い、御子神を身ごもった神話を持つ神である。一説には、この丹塗矢の正体こそが、大山咋神であると言われている。「ですから日吉大社の中には、妻である賀茂の玉依姫と、神婚によって生まれたその息子、玉依姫の父親の三柱が祀られているのですが、この息子の名前こそが、賀茂別雷神なのです」  そして、賀茂の玉依姫の父親は、八咫烏の祖であるとされる、その神なのである。」

—『玉依姫 八咫烏シリーズ5 (文春文庫)』阿部 智里著
https://a.co/933izuO


難しい事などワタクシの頭ではパッパラなので細かいことはさておき ざっくりと家系図にしてみる

寒に追う愛おしいお水と 葵と桂の水剋土の組み合わせに登場するお神社さんにぴったりである

貴船神社さんのステッカー


2020年に起こった貴船口付近の土砂災害を五行説で思考する

相剋
抑制しコントロールする
相手に勝つ関係


相侮
相剋の抑制の矢印を逆にして反抗する関係
生み出す相生が母子
抑制する相剋が父子
相侮は子が父に反抗するイメージ

大雨によって水が土の手に負えなくなり 水を含んだ土も木には抑えられずに共に崩れてしまう

貴船の杜を護るとは水の都である京を水害から護ることであるらしい


さて再び寒の水

『寒の水』
二十四節氣の小寒(1月5日ころ)から立春(2月4日ころ)の前日(節分)までが【寒】の期間で
この時期の水は腐りにくいので保存も効くし まろやかで美味しいし 神秘的なチカラまでも秘めているんだとか

故に酒や醤油やお味噌などなど発酵食品の仕込みにモッテコイであるらしい

大寒を迎える1月20日の朝の神秘的なチカラが満ち満ちているお水に願って玉依姫さまに接近してみたい

玉依姫さまの名をひとつひとつ見ていくとタマとは靈(神靈 靈魂)ヨリとは憑くことなのでタマヨリビメとは 神靈の依代となるお存在であるらしい

日吉大社 樹下宮さんんいよると
鴨玉依姫さんはお水の神さま

今までただただ愛おしいと追い続けた京のお水さんとのご縁を五行説と玉依姫様に深めるきっかけをいただけちゃったみたいである

因みに寒に入って易が出してくれていた卦には4日続けて“雷”が入っていた程である 
寒の水に逢いに行くお神社さんは賀茂別雷さんからもご招待頂いていたみたいである

ご両親にもご挨拶すべく伺った日吉大社さん

山の上にちょこんと見える三宮と牛尾宮さんへ
約1キロの山登り
三宮
神社の始まりとされている金大巌
振り返れば絶景の琵琶湖

大寒


大きく寒を迎える程に自然界の陽の氣が最も少ない季節

もちろん氣虚さんに愛されているワタクシは自然界から頂ける陽氣が減る分 カラダを温め続けるエネルギーを自家発電する必要性のあるこの時期は基本的にずっとバッテリー切れ寸前の低空飛行で辛うじて動いている状態

少し氣温が下がろうもんならあれよあれよと不調の奈落に転げ落ちるのは分かっているに加えて不調に捕まりやすい季節の変わり目である土用にも入っているのでこの時期ばかりはガッチリ漢方薬にお腹の元氣の底上げをお願いする

補中益氣湯
今回は田七人参さんにも味方をお願いしてみる

愛してるぜベイベーをお伝えすべく逢いに行きたいお水はまだまだたくさんあるから奈落に引きこもるなんてモッタイナイ

亀屋良長さんの醒ヶ井の水
火除天満宮さんの御神水
大文字山の水場
北白川天神宮さん
大豊神社さん 椿ヶ峰の御神水
御米司ふみやさん
大文字伏流水を使った超純水


明日の大寒の相棒は下鴨神社さんの御手洗祭の時にお迎えした葵模様の水入れにしよう

大寒大歓迎

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