ハッシュタグの先の青空
厄年。大殺界。
完全になんだそれ、って感じで、未だにあまりこの2つの定義するところや違いが分からないけれど、どうやら今年そのど真ん中にいるらしい。12月末。この一年を終えて素直に思うのは、
ははーん、なるほど。
である。忘れっぽいこのポンコツ頭がこの2つの単語を記憶のかなたへ葬り去ろうとする頃、この2つの単語は忘れられない形となって登場したりする。印象的な思い出を一つ。
あれは確か3月。いきなり瞼の上ピンポイントで1か所が腫れた。ものもらいならわかるけどそんな感じでもない。なんとも奇妙な感じ。イメージとしては。。
目の上のたんこぶ。
そもそもこの薄っぺらなのっぺり瞼にものもらいは小学生以来出たことない。なのに今ぷっくりと”こんにちは”している。この目の上のたんこぶが2、3日したら消えてくれると思ってそのままの生活を続行。
だがしかし、3日、5日、1週間しても消えない。
うううう、何がいけないのか。。瞬きをするたびにその面影が視界に飛び込んでくる。
そろそろこの目の上のたんこぶと向き合わなければならない。
先に断言しよう。病院は怖い。出来れば近づくことなく解決したい。でも、選択肢に入れておかなければならない。それ以前に、この常夏の小さな島に眼科があるのかも分からないし、あったとしても週に一度程度、事前予約であるだろうから、取り敢えず保留。
先ずは情報収集。ネットで瞼の上のできもの検索。出てくる画像のどれを見ても普通にものもらい。原因を見ても、んんん、可能性のありそうなコンタクトケアもそんなにずさんな管理してないけどな。。。。とか、疲労、ストレスも今そんなにないけど。。。とか。どれにあてはめてもピンと来ない。やけくそで目の上のたんこぶまで検索してみたりもした。
ここで冒頭のあの2つの単語を思い出す。厄年、大殺界。んーまさかこれか?お祓いとか行ったこともないけれど、昨年念のためにって厄年のお祓いに行ってた知り合いが居たか。。。なんてあやふやな記憶を引っ張り出す。よくわからないけれど、可能性を否定しきれない現状では、この目の上のたんこぶがなくなるなら行く価値があるのかもしれない!!なんてぼんやりと思い始めた。どうやら長期戦に突入している。
さて、ここでまた常夏の小さな島ならではの試練が。
海を渡らなければお祓いしてくれる神社にはたどり着けないのだ。でも、もう迷いはない。戦う覚悟を決めたのだ。船に3時間揺られて、海を渡る。次の日の早朝人の少ない時間を狙ってお祓いに行ってみようと心に決めて床に就く。これでダメなら苦手な病院に行こうなんて思いながら夢の中へ。
次の日の朝、お祓い日和の晴天で目覚めた気持ちのいい朝。出発前に目の上の敵を指先で最終確認。
取れた。ポロっと。
あっけない戦いの終わり。君を倒すために海を渡ってここまで来たのに。。ここまで長期戦にまでして今日ですか。それ以前に目の上のたんこぶってポロっと取れるものなんですか。さて、こうなってしまうとお祓いに行く理由がない。けれどせっかく早起きを無駄にするまいと目的の神社には行ってみる。早朝ではあるが異国の言葉でごった返している。ギブアップ寸前。
取り敢えずお参りして目の上のたんこぶが消えた感謝を伝えてこのラウンドは終わる。
そして、今に至るまでその後も忘れたころに絶えず手を変え品を変え
あの厄年と大殺界からこのカラダに不思議なプレゼントが届く。
謎のグルグル。ゴロゴロ、キンキン、ゲロゲロ。
。。。オノマトペ。
頭の中で起こっているであろうイメージを文字にするならばこんな感じだ。
このデカい頭の中に小さないたずら好きの宇宙人が居て中身の配線をせっせと変えていたり、その宇宙人の交信で頭の中に鳴り響いているリズムのない高音金属サウンド音楽会や頭に体中の水分を集めて水風船の如くぶよぶよにする遊びがなされているような。
こんな宇宙人(あくまでもイメージ。)のお祭り騒ぎが日常茶飯事。
このいたずら好きの宇宙人をいとも簡単にコントロールしているだろう黒幕が未だによくわからない厄年、大殺界だと断言することにしよう。仮想敵でも居てくれたらこの1年間の説明がつく。おかげさまで万年床が完成しそうだ。
ここまでマイペースに体をコントロールされたらこちらとしても何か今までにない非日常を演出するしかない。
万年床からでも、万年床を抜け出せても、今まであまりしてこなかったことに取り組むことにした。お茶に泡をたてたり、花を針の山に挿したり、外にでて花を愛でてみたり。
そして。
今まで撮ったことのない写真を撮ってみたり。
この常夏の島で夏のイメージのものは当たり前に写真に収めてきた。
角度や距離を変えても、目新しさがないくらいに。万年床作りに忙しくなければここで旅に出て新しい景色を探すのだが、厄年さんと大殺界さんの赦しが出そうにないので移動という手段を選択肢から外す。
さて、この状況で出来ることは。この常夏の島で今まで目を向けないことにたんこぶの取れて視界の良くなった小さな目を向けてみる必要がある。
常夏の島の冬。
イメージにないかもしれないが冬になるとあまり天気のいい日が続かない。1週間に一度晴れの日があればいいくらいの天候だから今まであまり興味がなかったが、だからこそ青空はチャンス。
常夏の島の貴重な青空の冬を捉えてみる。幸い敵は太陽が苦手なようだ。
トックリキワタ。
製糖期の始まり、サトウキビの糖度がのってきたことを知らせるサトウキビの花。
ヨウテイボク。
まだまだ気づいてない冬の青空に映えるものがあるに違いない。どうやら2020年も厄年、大殺界両氏は尾を引きながらまだプレゼントをくれそうな気配だ。万年床から這い出す機会に新しい冬を探そう。
もしかして、厄年、大殺界両氏からの最高のプレゼントは新しい視点なのかもしれない。そしてこのnoteも。彼らのプレゼントがなければ今こうして万年床から文章を書く機会もなかったかもしれない。
まだ冬は続く。