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格の違いを見せつけられた話

先日、ある芸人のエッセイ集を買った。

エッセイを書く参考になる本を探していたとき、
平置きされていたその本が目に止まったのだ。

ちなみに僕はその芸人のファンでもなければ、芸を見たことすらない。
ただ顔と名前を知っているというだけだ。

なぜ、僕がその本を買ったのか。

「これは自分にぴったりの参考書だ!」...そう思ったからだ。

本の冒頭に『文章を書いた経験もないし、エッセイを読んだこともない』
そう書いてあり、しかも内容はありふれた日常を綴ったものらしい。

自分と条件は同じだし、書いている内容も一緒。
ここまで揃ったら読まないわけにはいかない。

僕はその本に"普通"を期待していた。

いや、本当はエッセイ初心者の書く拙い文章を求めていたのかも。

「これくらいで本が出せるなら自分も...」

そうやって安心したかったのかもしれない。

しかし、読み進めるうちに期待は裏切られた。

「何だコレ、めちゃくちゃ面白いじゃん!」
「初心者だけど才能あるのかよ!」
「全然普通じゃねぇよ!」

日常の切り取り方が上手すぎる。
どうすれば、何でもないことをこんなに面白く書けるのか...。

これを才能と呼ばずしてなんと言うのだろうか。

読んでいて怒りが込み上げてきた...。

内容は面白いので顔はニヤけているが、心中穏やかではない。
さながら笑いながら怒る竹中直人みたいな感じだ。
「ふざけんじゃねぇ、この野郎」である。

ともかく、文章のポテンシャルが自分と違いすぎた。
書いている内容は普通のことなのに、何故か面白い。

やっぱりそこは芸人。
言葉で飯食ってるだけあって、言葉選びや表現が
素人のそれとは大違いである。

悔しいから良い表現は盗んで使うことにしよう。
参考書として買ったので、値段分の元を取らなくては。

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