ひさだひさ

フリーランスの書籍および雑誌の編集者&物書き、物好き。 ※お仕事は違う名前でやっております、念のため。

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最近の記事

洋食屋さんのフライ考

この時期、「ビヤホールランチョン」の名物といえば、 間違いなくカキフライであろう。 カキチャウダーに生牡蠣、そしてカキフライという「カキ三大メニュー」を目当てに足を運ぶ人は多いはず。 けれども、今日はあえて「メンチカツ」を選んだ。 メンチカツはオールシーズンいただけるお料理で、 もう何度も、それこそ数え切れないほどオーダーしているのに、 どうしても&無性に食べたかったのだ! そのワケは……ちょっと前、よそのお店で、 なんとも残念なメンチカツを食べてしまったからかもしれない。

    • 書籍2冊、生み出しました。

      やあ、やあ、みなさん。 おひさしぶり。 怒涛の数カ月を乗り越え、2冊刊行しました。 1冊は発売1週間で重版しました。もう1冊はこれからに期待(笑)。 ひと息つく間もなく、次から次へと……追い込まれています。 そんな毎日だからこそ、 “こっち”のわたしも大切にしなくちゃ、と思った次第。 #編集者 #フリーランス #書籍 #重版

      • 酒場の情景。

        18時になったらカネスに行こう。 まずは瓶ビール。 陽気がいいから、湯豆腐じゃなくて、冷奴にしてさ。 いや、疲れているから、柳川もらおうかな。 煮込み? ん、今日はいいよ、我慢する(笑) あ、焼酎ハイボールくださーい。 そ、ここは氷が入ってないのがいいんだよね。 毎日来ている種屋のおじさんとポツリポツリと会話して。 「ねえさん、最近見なかったねぇ。忙しかったのかい?  それにどうしたの? 今日は早いね、なんかあった?」 「あたし? あたしは毎晩ここに居なきゃいけないんだ

        • 残像

          いま、あるテーマに基づいて、職人さんを取材している。 今日は、電気工事士さんにお話を伺った。 彼は父のお友だちであり、後輩だ。 彼のオフィスで、 「この椅子も僕が作ったの。ここに、アナタのお父さんが座って打ち合わせしていたんだよ。ここからなら、外の景色が見えて気持ちがいい、とよく言ってたなぁ」という、彼の言葉にあらためて、“やっぱりもう、父は過去の人間なんだなぁ”と。 でも、帰りしなに、その“椅子”に目をやると、 父の姿が、そこに……はっきりと見えた。 これは、勘違いでも

          いつもの店であの人を待つの。 寒くたって平気。 瓶ビールと厨房からの湯気があれば、 いくらだって待てちゃうもの。

          嘘百珍

          カルボナーラを食べると思い出す。*写真はナポリタンです、念のため。 何日目だかわからない……徹夜での校了作業を終えたあと、 「最高に旨いカルボナーラ、つくってやるよ」と、 コワモテの上司が編集部のキッチンに立った。 食欲なんてとてもとても。 それよりも睡眠欲…… とにかく横になりたい、弛緩したい…… それがなによりのご褒美であり、ご馳走のはずだった。 それなのに、プロセスのポイントを解説しながら、 手順を進める、上司の手元から目が離せなくなった。 どうして、この場にパ

          現実と妄想のあいだに。

          目をつむっているのに、 まぶたの向こう側が透けてみえる、そんな一日。

          現実と妄想のあいだに。

          ふわり、ヒラリ。

          地方のホームセンターに。 二階にはお札や位牌、お塔婆が大量に売られていた。 私は一式抱えてレジに並ぶ。 「お寺さんでもなく仏具屋さんでもなく、こんな場所(安売のホームセンター)で用意されるのは嫌だなぁ」 「うちには立派なお仏壇があってよかったなぁ」と父に言うと、 「なに言ってんだ。お前の入るところはないよ」とケラケラ笑われた。 「だいだい、自分で自分の塔婆買ってどこに行くんだい?」と訊かれて…… 地についていた足がふわりと離れ、 そのまま水平になり、ヒラリヒラ

          ふわり、ヒラリ。

          万年筆への偏愛

          万年筆への偏愛

          わたしをカタチヅクルモノ。

          名刺が届いた。 気づけば……もう8年のお付き合い。 用紙は半分空気を含んだような、ふわっとした手ざわりのハーフエア。 用紙の色はスミ文字がやさしく映えるコットン。 活字特有のタイプフェイスがまた美しい。 毎々うっとりさせてくれて。そしてまた、もっと本づくりに精進せねば、と思わせてくれる。 この名刺があるから、わたしは、誰にでも取材ができる、お話をうかがうことができる。今までも、これからもずっと。

          わたしをカタチヅクルモノ。

          オムレツのおはなし

          洋食屋にとって欠かせない料理のひとつが卵料理だ。近頃は「懐かしい!」とオムライスを注文する人が多いそうだが、この店はオムレツも自慢だ。 それにオムレツは、料理人の腕が問われるメニュー。もちろん、ほかの料理もそうではあるが。 さて。 外側はシワひとつなく、スーッとなめらか。だが、ひとたびスプーンを入れると……とろ〜り溶け出すのだ。 ちなみに、この店はベシャメルソースでいただくスタイル。だから、ナイフ&フォークではなくソーススプーンを出してくれる。 決して“玉子焼き”に

          オムレツのおはなし

          マッシュポテトの……

          ほんのちょっとだけ暖まりたかった。 だから、マッシュポテトのホットサンドイッチを頼んだ。 待つことしばし。 出てきたそれは、こんがり焼かれてはいるものの、耳は付いたままだった。 「ま、仕方ないか……」と頬張ると、 それはあまりにも冷たかった。 冷蔵庫から出てきたばかりのマッシュポテトには、うっすらと霜が。 おまけに珈琲はたいそう煮詰まり、 付け合わせのチップスにはひとすじの髪の毛。 ほんのちょっと、あたたまりたかった、だけなのに。

          マッシュポテトの……

          カレー考

          辛いものは苦手だが、カレーは好きだ。  実家のカレーに安心し、エチオピアのカレーには裏切られたくないから、なるべく食べない。 ならば……共栄堂となるが、仔細あって行きにくい。 で……ランチョンで“ハレーライス”を所望すると店主に煙たがられる。 ジャズオリンパスもいいが、カレーより“音”にそそられ、パンチマハルは、オペレーションが気になる。 で、久々にデリーに。 あれ……ミスったぞよ。 ああ!   浅草にあった、銀座デリー出身のご店主によるカシミールカレー(お店の名は

          開いてはならぬもの。

          見覚えのないフォルダがあった。その名はThat's。 知らない誰かが囁く、「クリックしてごらんよ」と。 ためらわず開けてしまう。 そこには、まったく知らないフォーマットだけれども動画データがあった。 「ほら、クリックしてみなって」とまたうながされた。 「見たことを後悔する」という気持ちと「見ずにはいられない」という好奇心が交錯したが、結局、見てしまった。 ああ……そうか、そういうことか。 果たしてそこには、私の知る部屋のある情景と行為が記録されていた。 悔しい

          開いてはならぬもの。

          ふたり……そしてもうひとり

          さきほどまで、あるレストランにいた。 そこに、一組の男女があらわれた。 本の町ならではの、いつもの光景通り、そのふたりも本がたくさん入った紙袋を抱えていた。わたしはわたしで、いつものようにビールのグラスを傾け、気に入ったノートに万年筆を走らせている。 ふと、あちらの席を見ると、女性の美しい横顔が目に入った。 「きれい……」と感じた途端、「あ、女優の●さんだ」と認識した。華美な装いではなく、むしろ控えめな様子ではあるのに、凛としたオーラが漲っている。 男性は……どなた

          ふたり……そしてもうひとり

          群衆……本屋さんで思ふこと。

          原稿書きに疲れて、本屋さんに行った。 本屋さんは、酒場と同じくらい大好きな場所だけれども、 棚を見れば見るほど、毎度落ち込む。 まずは 「世の中、本ありすぎ。私がつくった本、埋もれる」となり、 「ま、これだけ出てりゃ、売れなくても仕方ない」と慰め、 「だから、私でも本つくることできる」と納得させている。 なんてイイワケ&自己肯定したのちは、 「安っぽい紙だなぁ」とか 「また同じ企画か」とか 「束も中身も薄っぺらいなぁ」なんて 文句や批評をココロの中で充満させたり、 ブスッと針

          群衆……本屋さんで思ふこと。