地域の中で編集をするということ。
僕が船橋市内でタウン誌の仕事を始めたのはかれこれ15年前に遡る。
サラリーマンで地回りの求人広告営業をしてきた結果、地域の中にあるお店や会社をたくさん知っているから「地回りの営業が伝える地域の中の穴場スポット」みたいな情報発信をしたいなぁと思ったのがきっかけだ。
[株式会社myふなばしという会社]
経営者として地域の経済界を回っていた時に、「船橋で休刊しているタウン誌があるから、編集長紹介してあげようか?」と引き合わせてもらったのが、「まいふな」の前身、「月刊myふなばし」の編集長「中沢さん」だった。
「大変だけど、本当にやるの?」
と、三回聞かれた。
当時の僕は、それがどの程度大変なのか?をそんなに理解していなかったけど、「はい!やります!」と即答、覚悟だけは決まっていた。
当時の商工会議所の会頭、法人会の会長、医師会の会長…ロータリークラブの中で賛同してくださった会員の方々に出資して頂くことが決まり「株式会社myふなばし」を立ち上げた。
出資を募っていく過程で、事業のコンセプトがどんどん固まっていった。
・船橋をPRする会社をつくろう
・船橋のいまを記録する会社をつくろう
・船橋の人を紹介していく媒体を作ろう
・紙、ネット、動画、音声…複数のメディアが連携していく仕組みを作ろう(この頃SNSは mixiくらいしかなかった)
企画書はどんどん厚くなっていき、僕の中でも事業のコンセプトは明確な形になっていった。
[街に雇われる仕組みサポーター制度]
当初は、広告収入で運営していく道を選んだ。しかし、営業の無駄な動きが多くなり「時間」を浪費してしまうと感じた。「顔を出す」ことで「付き合い」で広告をもらう。大切なことではあるが、それを続けていっても「自分の飯が食えるだけで、地域にとってそんなに大きな効果を起こせないのではないかな…」と感じた。
そこで、「自分が考えていること」を伝え、共感していただいた方に支援して頂く「サポーター」という会員制度を作った。
この形になると、広告と比較すると収入は小さくても、自分が考える街づくりに共感してくれた方々が余裕の範囲の中で「僕の時間を買ってくれる」ので、「自由に動ける時間」が増えてくるようになる。
僕は、みんなに買ってもらった時間で「地域に雇われ」取材をし、人を知り、人を繋いでいく形で仕事をするようになっていった。その過程で、創業間もない人たちの相談に乗り、できる限り寄り添い…
地域の課題を解決できるようなイベントの立ち上げなどを頼まれるようになっていった。
サポーター企業の皆さんは、広告を期待するのではなく、本当にほぼ何の見返りもないのに…
僕を信じて応援してくれている。
だから、僕は地域を裏切りたくないし、どうやったら「僕のことを応援してくれている地域がもっと良くなるのか?」を必死で考えるようになった。
[市民がライターになる仕組み]
タウン誌を編集するようになり、ネットニュースを日々更新し続けるようになり地域のことを知っていった。地域にいる人を知っていった。
知れば知るほど…地域を好きになっていったし、地域の中で「自分も何かしよう」と積極的に関わるようになっていった。
サラリーマン時代には、「地域のことなんて何にも考えたことのない僕が」だ。
そういう思いがあったので、7〜8年くらい前に「市民ライター」という仕組みを立ち上げた。一般の主婦とか高齢者とかがライターになって地域のことを取材して回ることで、主体的に地域に関わってもらおうという考えからだった。
市民ライターを導入したことで、地域のママたちが少しずつ地域を知り、地域に関わってくれるようになってきた。
[地域の中にあるたくさんのしがらみ、地域を編集するという概念]
僕はその間も取材を続ける…
地域の中で人と人との想いから立ち上がるイベントとか「事」を取材するようになると…みんなの想いを聞いていくことで、それぞれに考えていることがあり、過去の小さなすれ違いから人と人とがうまく交われなくなったりしてしまうことも知った。
うまく、そういう人たちが関わり合うことで「もっと大きな力にすることができないものかな?」と考えて「人と人とをどう繋いでいくか?」の大切さを考えるようになった。
僕一人ではできることは高が知れている。
でも、地域の中で同じ課題感を持って取り組む人たちが増えたら大きな力になる。
そういう人たちは、それぞれ自分でそういう課題に対して「解決していこう」と事業を立ち上げる。みんなが同じように抱える課題感を持ってそれぞれに事業化していく。メンバーを集め、会員を集め、組織を大きくしていこうと考えていく。
そしてすれ違う…
時に、会社だったり、ボランティア団体だったり、自治会や町会、商店街の中の人事であったりすることもある…
「地域のことを自分なりに一生懸命に考えた結果、良かれと思って立ち上げた事業によってすれ違う」という不思議。
たぶん、この先…
そういう地域内でのいざこざとかすれ違いをいち早く解決して前に向かっていった地域が強くなっていき、相対的に魅力を発信していけるようになるのだと思う。
いや…
もしかしたら、太古の昔からそうだったのかも知れない…
それに気づかないで、各自治体が隣接する市より人口を増やそうと躍起になってきた結果…
鈍感な僕でも肌で感じられるくらいに
「地域が持つ特性」を
みんなが「繋がること」で浮き彫りにしていき、
魅力を磨き、外に対して発信していかなきゃ残っていけない社会がやってきているのだと思う。
僕たちが生きているこの時代は、ある程度食べるものもあって、衣食住で困ることはそんなにない。(日本国内に限っては間違いなく)だからこそ、「より良い生活」を目指して消費をしていくため、いろんな贅沢にお金を使っていく。使ったお金で、「より良い時間を買っている」とも言える。
そうして買った「より良い時間」はなかなか手放せなくなり、「恐怖」を感じるようになる。
もしも…
「贅沢品」ではなく、「地域でのつながり(家族という最小単位の地域つながりも含め)」みたいなものにお金と時間を使っていく社会ができたなら…
地域の中でお金が回っていき、必然的に「時間」の余裕も生まれてくるのではないか?と思うのです。
僕は、まいふなという事業を通じて地域の魅力を関わり方を情報発信していくことで、「そういうこと」を形にしていきたいと思います。
また、「ちばごと」という千葉県内の情報発信者が繋がっていく事業を通じて「地域だけでは解決できない課題」を「互いに関わり合っていくことで解決していける仲間」を募って行けたらと思うのです。