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日本にはどれくらい危険生物がいるのか、知っていますか?|編集者の推し本。
みなさんは外に遊びに出たとき、虫に刺されたり、動物に噛まれたり、植物でかぶれたり、ちょっと嫌な経験をされたことはあるでしょうか。
暖かい時期であれば、蚊に刺されることはどんな人でもあるでしょう。家の周りでも運が悪ければ、ハチに刺されたり、毛虫を触ってしまったり、うっかりヘビに近づいてしまったり。また、アウトドアが趣味な人であれば、山でアブに刺されたり、海でクラゲに刺されたり痛い思いをすることは多いかもしれません。
実は、安全な日本であっても、家の外に一歩でも出れば私たちは知らぬ間に危険な生きものに近づいてしまうことがあり、そうすると「不快」「痛い」だけでは済まされず、時には命を失ってしまう事態に陥ることも。そして、それは毎年この国のどこかで、必ず起きていることなのです。
ということで、「とにかく日々、安心安全に過ごしたい!」という気持ちが大きめな私の推し本はこちらです。
野外毒本 被害実例から知る日本の危険生物
著者:羽根田治 山と溪谷社
この本では、野山の危険な動物・植物や、海の生物など、日本の危険生物を紹介しています。その数はなんと417種類。
そんなに!?と驚く数字でしたが、この中には、蚊のように刺されても数十分程度で症状が治るものものから、出会ったり・刺されたり・食べたりすることで人間が命を失ってしまう生物たちまで広く紹介しています。
そのため、とにかく近づかない方が良い・避けた方が良い!という生物全てを網羅している本と言ってもよいでしょう。
危険生物は、事典のように一種類ずつ丁寧に紹介。
本書のタイトルは「野外毒本」ですが、これはおそらく読本と毒をかけて「毒本」としているかなと思われます。全ての被害実例付きで、実際にその生物の被害にあった人のな経験談にドキドキしながら読むこともできるので、まさに毒を読む本ということですね。
頭には本書に掲載している生き物たちのカラー写真もついているので、ペラペラとめくってみてみるだけでも、どんな生き物が危険なのかがわかりやすいです。イラガとかよく見るな……。アジサイも毒あるんだ……。
いくつか驚いたページを紹介してみます。
アマガエルも実は毒を持っている。
子供のころはカエルを触ってもろくに手を洗っていなかった……。
ちなみにカエルじゃないですが、大人になってからでもイモリを触った手で目を触ったら、目が白いところがなくなるくらい真っ赤になって、めちゃくちゃ痛痒かった。生き物を触ったら、手を洗おう。絶対。
アマガエル。体表から毒液を分泌することがある。
山菜と間違えて毒のある植物を誤植するケースも多い
本書は危険生物を418種類紹介していますが、その中には植物も入っています。触ってかぶれるものもありますが、やはり多いのが食中毒。それも山菜と間違えて誤植するケースが多いようです。症状は救急車・入院・そして命を失うケースまでさまざま。山菜採りに興味がある方は、要チェックです。
痛みが海の生き物の中でトップクラス「オニヒトデ」
小見出しを見ただけでゾッとします。トップクラスの痛みって……! 毒以外に、痛みで失神→溺死という恐ろしいケースもあるようで、実例を読むのには勇気が必要です(私が怖がりなだけかもしれませんが)。
危険生物を知る大切さは、自分の身を守るためだけではないのかもしれない。
個人的にこの本を読んで感じたことは、本書で「危険生物」として紹介している動物たちは、あくまでも人間にとって危険なだけであり、
例えば、身近なヘビであるマムシやヤマカガシは毒を持っている生き物として本書に載っていますが、普段から凶暴ということはなく、こちらから何かをしない限りは襲ってくることはほぼないとのことです。
危険を避けるということ以外にも、うっかり茂みにいるのに気が付かず近づいてしまうことのないよう、人間と生物が上手く共存するために、野外では何が危険で、どんなことに注意しておく必要があるのか、知っておくことはとても大事なのだと思います。
マムシ。色が保護色で近くにいるのに気がつかないことがある。
この本は被害に遭わないための予防法や、実際に被害にあってしまった時の対処法もしっかりめに解説されているので、本棚の一員として置いておくと、「まさか」の時に活躍する日が………………来ないと良いのですが。