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“端っこ”がどうしても気になる人に読んでほしい本です

ヤマケイ新書『東京休日端っこ散歩』の著者・岩本薫氏は、本書の“はじめに”でこんなことを書いています。

「端っことは真ん中の熱気がゆきとどかない場所でもある。真ん中の熱量に取り残された、あるいは放っておかれている場所といってもいい。そんな端っこはときとして“思いもよらないなにか”を突きつけてきて、つまりはそこにたまらずグッとくるんだなぁ。そもそも真ん中なんて当たり前過ぎて野暮ったいじゃないですか。それよりも端っこですよ。太巻きとかピザパイとかも、ほら、端っこがおいしいでしょ? お散歩だっておんなじ。端っこのほうが味わい深い。端っこのほうがディープで楽しい。これからはみなさんも端っこへGO!」

そう、メインストリームから外れた“端っこ”には、なにやら気になるアレコレがひっそりと存在しています。海や山の地理的なハシに、鉄道や路線バスのハシに、都会の端っこのハシに、思いもよらない世界が広がっているのであります。例えば、Googleストリートビューで、ノルウェー最北端のノールカップとか、愛媛県の佐田岬の突端とかを見るのが好きな人、電車やバスの終点が気になってうずうずしてしまう人などは、間違いなく“端っこ散歩”にハマる素養をお持ちです。

そんなあなたに、いや、すべての好奇心旺盛な散歩好きのみなさんに『東京休日端っこ散歩』で紹介している“端っこ散歩”のおいしいところを、写真とともに紹介していきましょう。

『東京休日端っこ散歩』カバー_ライト版

ヤマケイ新書『東京休日端っこ散歩』304P 本体1100円+税
2022年2月17日発売


京浜湾岸の端っこ珍スポ・JR海芝浦駅へ(神奈川県横浜市)

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JR鶴見線・海芝浦支線の終点「海芝浦駅」は、東芝の工場敷地内にあります。ホームのキワは海。改札からは関係者しか出られないという、東京湾岸きっての珍スポです。工場萌えの人、鉄道ファンならずとも、ぜひ訪れたいスポット。昭和の映画セットみたいな「JR国道駅」(写真下)もあわせてどうぞ!

旧江戸川にある中州、妙見島へ(東京都江戸川区)

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東京都と千葉県を隔てる旧江戸川の中州「妙見島」は、東京23区内にある唯一の自然島。そのインダストリアルな佇まいに、著者の岩本氏はニューヨークのスタテンアイランドの風景を重ね合わせます・・・。ビリー・ジョエルの「ニューヨーク・ステート・オブ・マインド」を聴きながら、やや半目でこの景色を眺めたいものです。

歩いて渡れる巨大橋、東京ゲートブリッジへ(東京都江東区)

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東京都江東区の若洲海浜公園と中央防波堤をつなぐ巨大橋「東京ゲートブリッジ」。恐竜が向かい合っているようなトラス橋のデザインがステキです。この橋、歩いて渡れるってご存知でした? そしてけっこう揺れるんですってよ!


工場萌えワールド、川崎港海底トンネルへ(神奈川県川崎市)

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川崎市の千鳥町と東扇島をつなぐ「川崎港海底トンネル」には、ひっそりと人道トンネル(歩行者・自転車専用)が併設されています。長さはおよそ1km。トンネル内には「ココハ、ホコウシャセンヨウツウロデス。ジテンシャハ、オリテツウコウシテクダサイ」という、人工的な女性声アナウンスが繰り返し流れていて、なかなかに不気味。映画『ブレードランナー』的な世界観が体験できます。夜だとさらに・・・。

密輸阻止の最先端、東京税関「情報ひろば」へ(東京都江東区)

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密輸阻止の最後の水際で行われている攻防を覗き見できる、東京税関「情報ひろば」。007のジェームズ・ボンドか、はたまたミッション・インポッシブルのイーサン・ハントか。つかの間、エージェント気分を味わいましょう。


『男はつらいよ』の世界を堪能できる町、柴又へ(東京都葛飾区)

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東京やその近郊にお住まいの方で、柴又に行ったことがある人はそんなに多くはないと思われます。地名こそ聞いたことがあるけど、行ったことのない場所の代表的存在ともいえる「柴又」。言わずもがな映画『男はつらいよ』の舞台でおなじみの町は、まさに東京の東の端っこ。名所は帝釈天や寅さん記念館だけではありません。ちょっと変わったスポットがひっそりと・・・。

オーラが残る……五日市線岩井市線廃線跡へ(東京都奥多摩町)

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JR五日市線にはかつて、セメント運搬のために設置された「岩井支線」が存在していました。その痕跡をたどる廃線跡散歩を紹介。野に帰りつつある廃線跡を眺めていると、そこに敷かれてしたレールが眼前に浮かび上がってくるのです。

最大傾斜43°のモノレールで「小林家住宅」へ(東京都檜原村)

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檜原村は島嶼部を除く、東京都唯一の村。村域の9割以上が山。ここぞ正統派の端っこということで、じつに端っこ的なものがありました。それが「檜原村モノレール」。最大斜度43度という急斜面をガタゴトと上っていった先にあるものとは!?

本書では、上記コースを含めて全25コースの端っこスポットを紹介しています。なかなか遠出しにくい現在ですが、ちょっと視点を変えてみると、気軽に訪れることができるオモシロい場所がたくさんあります。『東京休日端っこ散歩』を片手に、ぜひ端っこならではの”妙味”を楽しんでみてください。