![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/135065418/rectangle_large_type_2_2ece9223282d0976051ad4ad67348aba.jpeg?width=1200)
ボクの体はスポンジやガラスです
じつは動物の大部分を占める、ほねなしこと無脊椎動物。背骨がないから姿形も生き方も自由自在な生きものたちです。
3月18日発売の『海のへんな生きもの事典 ありえないほねなし』(文 ひとでちゃん、イラスト ワタナベケンイチ)では、そんな知られざる動物たちの、ありえない、奇妙な世界をたっぷりとご紹介。今回は、そのなかから海綿動物を取り上げます!
![](https://assets.st-note.com/img/1710835132277-hjNVhkKcSZ.jpg?width=1200)
人間の体の約60%は水だといわれています。ですが体を絞ったら水が滴り落ちてくるなんてことはありえませんね。一方、海綿動物ではそんなことがありえます。海の綿、英語では「スポンジ」と呼ばれています。何を隠そう私たちが日頃使っている食器を洗ったり体を洗ったりするスポンジは、真のスポンジである海綿動物の体をマネしてつくられたものです。多くのカイメンは繊維状タンパク質でできた吸水性抜群な体の中に、小さな針状の骨片をたくさんもっています。
さて、ほねなしと言っているのに骨片? と疑問に思われるかもしれません。ほねなしの「ほね」はあくまで背骨のこと。骨片とはまるで様子が違います。まず、骨片は小さい。一つ一つは1㎜にも満たない、顕微鏡で視認されるサイズです。また、驚くことに多くのカイメンの骨片は二酸化ケイ素(珪酸)という一般的なガラスの主成分と同じものでできています。
ほとんどのカイメンは骨片で体の補強をしていますが、深海にいるガラス海綿と呼ばれる仲間は骨片同士がしっかりとつなぎ合わされた全身ガラスの骨格をもっています。まるで精巧なガラス細工のような生きものなのです。実物を触ったことがありますが、もちろんガラスですから尖った部分は痛い! そして壊れやすい! 柔軟なスポンジのような体だったり、繊細なガラスの体だったり、まさにほねなしの自由さを象徴するような動物です。
じつは身近なカイメン
モクヨクカイメンと呼ばれる骨片をもたない種は、昔から水を含ませることができる便利な物として人間に利用されてきました。郵便局で切手をぬらすスポンジなんかも海綿製だったりします。今でも入浴や化粧用に高級天然スポンジとして売られていることがあります。
![](https://assets.st-note.com/img/1710839893527-sPg0hEsxG6.jpg?width=1200)
海綿動物門 カイメンの仲間
Porifera
![](https://assets.st-note.com/img/1710840108815-etj0kTBBk8.jpg?width=1200)
生息地 海/淡水
種数 約7000
単体性
生活様式 固着/底生
大きさ 手で持てるくらい/ヒトより大
何かに固着し、スポンジのような体で海水を濾過して栄養を得る生きもの。襟(えり)細胞と呼ばれる鞭毛(べんもう)をもつ細胞があり、その鞭毛を動かすことで水流を起こして海水を取り込んだり排出したりする。神経も筋肉も内臓もなく、定まった形もないので、どこまでが1個体なのかあやふやなところがある。石灰質やガラス質の骨片やスポンジ状の繊維で体を支えている。淡水、浅海〜深海まで水辺ならばどこにでもいる。認識できれば意外と身近な生きもの。
ヘンなことってすばらしい!
宇宙人よりも宇宙人な”ほねなし”のありえない生きざま
![](https://assets.st-note.com/img/1710848329217-AIgm1l6i3C.jpg?width=1200)
内容紹介
「口と肛門が一緒」
「頭から足が生えている」
「体のほとんどが生殖器」
「腕一本から体全体が再生」
「あるとき、自分が2つに分裂」
まさに“ありえない”のオンパレード!
宇宙人より宇宙人な生きもの。それが地球にいる無脊椎動物こと“ほねなし”です。
ほねなしは、背骨がないから姿形も生き方も自由自在! なんだってあり!
ユニークな形態や仰天するような生態をもつ海のほねなしの魅力を、親しみやすいイラストをまじえてたっぷりとご紹介します。
最終章では全34動物門をイラストつきで解説。じつは約34に分けられる動物のグループのうち、33はすべてほねなし。つまり、ほとんどの動物はほねなしなのです。
驚くような生きざまの数々に、あなたの動物観も変わるかも!?
めくるめくほねなしたちの奇妙な世界へようこそ!
![](https://assets.st-note.com/img/1710840634532-tCB5zvtHGN.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1710840634587-pghuO5ULam.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1710840634620-EDJzBWOXZ4.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1710840634640-4hbfW843cJ.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1710840634556-grMsPjuutq.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1710840634596-gYksiIMovT.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1710840634626-1sl9zfImtG.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1710840634619-45LMc1NNfM.jpg?width=1200)
著者紹介
文・イラスト(part4) ひとでちゃん
1988年、栃木県生まれ。つくば市を拠点とする自然科学教育普及団体「地球レーベル」代表。ヒトデ研究者。新潟大学理学部生物学科卒業後、ヒトデの研究をすべく東京大学大学院理学系研究科へ進学。博士前期課程を修了し、公益財団法人水産無脊椎動物研究所に。退所後、海の生きものの魅力を伝えるための活動を開始。イベント講師や情報発信、イラストの制作などを精力的に行う。
イラスト ワタナベケンイチ
1976年2月18日生まれ。イラストレーター。右利き。1996年より立花文穂を師事。1999年西瓜糖にて初個展。2000年H Bファイルコンペ藤枝リュウジ大賞受賞。雑誌、広告、演劇ポスター等のイラストや、絵本、書籍などの装画・挿画を手がける。主な書籍に『暇と退屈の倫理学』國分功一郎著(太田出版)、『ギケイキ1・2・3』町田康著(河出書房新社)、『まいにちをよくする500の言葉』松浦弥太郎著(PHP研究所)など多数。