【読書感想文】獅子は自分の権力を振りかざす『月夜のけだもの』
月の明るい夜、私は動物園の獅子の檻の前でうとうとしてしまいます。すると、夢の中で獅子が人間のように服を着て、杖を持って、自分の領土を巡回しに行きます。途中で、他の動物たちと出くわし、彼らの問題や争いに対して、自分の考えを押し付けて裁きます。狸は獅子の食べ物にされそうになり、白熊は獅子の友達になるために毛皮を剥がされ、狐は獅子の敵にされて象にいじめられます。夢の終わりに、獅子は檻に戻りますが、そこには獅子ではなく、私が眠っています。私は、獅子の夢を見ていたのではなく、獅子は私の夢を見ていたのだと気づきます。そして、私は目を覚まします。
この本のテーマは、「権力と正義」だと思います。この本では、獅子が自分の権力を使って、他の動物たちに自分の考えを強制しようとしますが、それは正義ではありません。正義とは、他者の立場や感情を尊重し、平等に扱うことだというメッセージが込められています。また、獅子と私の入れ替わりは、自分の立場や視点を変えてみることの大切さを示しています。自分の思い込みや偏見にとらわれず、他者の目線で物事を見ることで、新しい発見や気づきがあるかもしれません。
総評として、この本は、宮沢賢治の独特な想像力と文学的な表現力に溢れた名作だと思います。動物たちのキャラクターや会話がとても魅力的で、読んでいて楽しいです。しかし、その裏には、深い哲学や社会批評が隠されており、読み終わった後も、考えさせられる本です。私は、この本を読んで、自分の権力や正義について、改めて考える機会になりました。この本は、子供から大人まで、幅広い層におすすめできる本だと思います。