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【読書感想文】バングラデシュの現実と向き合う希望のバッグ作り『裸でも生きる 25歳女性起業家の号泣戦記』

本書は、25歳で起業した著者がバングラデシュで直面した困難や挫折、そしてそれらを乗り越えていく過程を綴った奮闘記です。

大学時代にバングラデシュを訪れた筆者は、現地の貧困問題に衝撃を受け、従来の援助のあり方に疑問を抱き、途上国の人々が誇りを持って働ける環境を作ることこそが真の支援であると考えました。卒業後、バングラデシュに渡り、現地の人々の手仕事を活かしたバッグや革製品を製造・販売する「マザーハウス」を設立します。しかし、言葉の壁、文化の違い、資金不足など、様々な困難に直面するなど、その道のりは決して平坦ではありませんでした。工場スタッフとのトラブルをはじめ、パスポートを盗まれたり、嘘をつかれて工場ごと失踪されたりと、信じられない出来事が次々と起こるのです。

本書の見どころは、著者の挫折と成長の過程が赤裸々に描かれている点です。例えば、現地スタッフとの意思疎通がうまくいかず、自分の理想とのギャップに苦悩する場面があります。しかし、そんな経験を通じて、著者は、現地の文化や習慣を理解し、スタッフとの信頼関係を築いていくなど少しづつ成長していきます。

私は本書を読んで、社会貢献とビジネスの両立の難しさを強く感じました。なによりも著者は、単なる慈善事業ではなく、ビジネスとして成り立つ商品づくりを目指したのです。それを実現するため、途上国への同情に頼るのではなく、純粋に欲しいと思わせる商品を作ることに腐心します。

また、著者の行動力と決断力には目を見張るものがあります。25歳で、言葉も通じない異国の地で起業するという勇気は並大抵のものではないでしょう。失敗を恐れず、自分の信じた道を突き進む著者の姿勢には、本当に勇気をもらいました。

本書は、世界を変えたいと思う人々の背中を押してくれる一冊だと思います。

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