【読書感想文】エラゴンとサフィラの運命と選択の物語、完結への序章『インヘリタンス 果てなき旅 上 (ドラゴンライダー BOOK4)』
ドラゴンとライダーの壮大な物語がついに完結へと向かう第4巻の上巻。邪悪な王ガルバトリックスとの最終決戦に備えるため、エルフ族が作った<死の槍>を手に入れたエラゴンとサフィラ。しかし、それはガルバトリックスの罠であった。敵の本拠地ウルベーンへと誘導されていくエラゴン達を待ち受けるものとは?一方、新しい命を宿したカトリーナと戦士ローラン、父亡き後を継ぐナスアダもそれぞれの危機に直面する。黒きドラゴン、シュルーカンのもたらす闇にアラゲイジアは支配されてしまうのか?未来を賭けた戦いが今、始まる。
この本の主要なテーマは、運命と自由でする。エラゴンはドラゴンライダーの使命、そして、自分の出生の秘密を知ったことで、自分の運命に翻弄され、苦悩しながらも、自分の意志で行動し、自らの信念に従って戦います。同時に、エラゴンは他者との関係や絆にも重きを置きます。彼はサフィラや仲間たちと共に成長し、愛や友情や敬意を学びます。彼は敵であるマータグにも理解を示そうとします。自分の運命に従うだけではなく、自分の選択によって運命を変えようとするエラゴンの葛藤と決断が本書の1番のみどころではないでしょうか。
さらに脇を固めるキャラクター達の、成長も見逃せません。ドラゴンのサフィラもまた、エラゴンと共に成長し、竜としての誇りや使命感を強く持つようになります。サフィラはエラゴンと心を通わせながらも、自分自身の意見や感情を持ち続けるのです。ローランやナスアダもまた、それぞれの立場や状況に応じて全身全霊で立ち回り、困難や危険に立ち向かいながらも、希望や愛を失いません。
本書はドラゴンライダーシリーズの完結編に向けての大きな節目であり、私はページをめくりながら、エラゴンとサフィラの運命に何度となく息をのむことになりました。