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【読書感想文】軽快な文体で描かれるダークな家族の秘密『ヘデラの花』

高校生の優子は、ある日、こづかいをふやすため、両親の秘密を探る計画を立てます。一見平凡な家族に見えながらも、その裏には驚くべき秘密が隠されていたのです。

この小説の魅力は、何と言ってもその巧みな構成にあります。 初めはほのぼのとした日常を描いているかと思いきや、徐々にそのベールが剥がれていき、読者を驚愕の渦へと引き込んでいきます。特に、優子が両親の過去に迫っていくシーンは、まるでミステリー小説を読んでいるような感覚です。

作者の描写力も素晴らしいです。 登場人物たちの心理描写が細かく、まるで自分が物語の中にいるような錯覚に陥ります。優子の不安や戸惑い、そして両親の複雑な感情が、リアルに描かれています。

特に印象に残ったのは、家族の愛の光と影の対比です。 優子の目から見た両親は、愛情深く穏やかな存在です。しかし、その裏には、決して語られることのなかった過去が隠されていました。家族の愛は、時に温かい光を、そして時に鋭い刃を私たちに突きつけるものなのかもしれません。

読み終わった後、しばらく放心状態でした。家族って何だろう、愛情って何だろうって、深~く考えさせられちゃいました。でも、重たくなりすぎず、どこかユーモアも感じられる。そんなバランスの取れた作品です。

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