【読書感想文】銀行とベンチャー企業の裏側を暴く!花咲舞が神保町で挑む幽霊口座の謎『神保町奇譚 花咲舞シリーズ (Kindle Single)』
銀行の臨店指導グループに所属する花咲舞と相馬健。二人が神保町の寿司屋で一服していたところ、店を訪れた高齢の女性から不思議な相談を受けました。女性の娘は神保町にあるベンチャー企業に勤めていましたが、5年前にもやもや病で惜しくも亡くなってしまったとのこと。しかし、娘の死後、彼女の銀行口座には数千万円が振り込まれ、その後に全額引き出されているという不可解な記録が見つかりました。娘に何があったのかを知りたいという女性の願いに応えるべく、花咲舞は、学生時代のサークル仲間たちの協力を得ながら、幽霊口座の謎に挑みます。
私が本書でおすすめするポイントは、花咲舞の正義感と行動力です。彼女は、自分の仕事に誇りを持ち、間違っていることははっきり言う性格で、相手が誰であろうとも恐れずに立ち向かっていきます。それだけでなく、彼女は人の心にも寄り添える女性でもあるのです。一方で、そんな性格が災いしてか、彼女の周辺ではトラブルに事欠きません。私は花咲舞の活躍と彼女が巻き起こすトラブルをワクワク、ハラハラしながら楽しむことができました。また、上司の相馬健も花咲舞のサポート役として、彼女の行動をフォローしたり、ツッコミを入れたりします。こうした二人の掛け合いもコミカルで楽しく、ストーリーにアクセントを加えます。
本書は「花咲舞が黙ってない」に収録されている短編ですが、単独で読んでも十分に楽しめます。私は本書で初めてこのシリーズに触れたのですが、シリーズの他の作品も読んでみたくなりました。