【読書感想文】わらべうたで綴る、動物たちの温かな世界『アプリイ・ダプリイのわらべうた (ピーターラビットの絵本)』
ピーターラビットで知られるベアトリクス・ポターの世界観を色濃く反映した作品です。
物語は、パイをこよなく愛する小さな茶色のネズミ、アプリイ・ダプリイが主人公です。アプリイ・ダプリイは、ある日、誰かの家の戸棚へと冒険に出かけます。そこで彼は、ピーターラビットの妹カトンテールやお年寄りのハリネズミさん、穴掘り名人のモグラのホリベエさん、おしゃれなモルモットなど、個性豊かな動物たちと出会い、交流を深めていきます。
この物語の中で、ポターは好奇心を巧みに織り交ぜています。アプリイ・ダプリイの冒険は、好奇心がもたらす楽しさと、時には予期せぬトラブルをも描き出しています。一方で、カトンテールや他のキャラクターたちとの関係性は、仲間との絆の重要性を教えてくれます。
読んでいて感じたのは、ポターの描く動物たちが持つ純粋な心と、彼らが織り成す温かな関係性の美しさです。また、わらべうたという形式を取り入れたことで、親しみやすさとリズミカルな楽しさ、心地よさを味わうことができました。
本書を手に取ると、ポターの繊細な筆致によって描かれたイラストが目に飛び込んできます。ページの中で描かれた動物たちの表情や仕草は生き生きとしており、読むたびに新たな発見があります。特に、アプリイ・ダプリイが戸棚で見つけたパイに夢中になるシーンは、無邪気さと愛らしさを象徴していると感じました。
総評として、本作には、子どもから大人まで幅広い世代に愛される理由があります。それは、ポターが描く動物たちの世界が、私たちにとっても非常に身近なものであるからです。このような普遍的なテーマを、ポターは独自の魅力で表現しています。読むたびに心温まる、素晴らしい作品です。
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